クラシックな人生

20年以上、唯一没頭しているものがある。
ピアノだ。

気づけば24年の歴になっていたのを考えると驚くけど、歴が長いからといって特別上手いわけではない。
なんと、楽譜も読めない。

これに関しては、20代前半まで没頭していたバレエがあったので、先生の気遣いでピアノがバレエの支障にならぬよう、耳と暗記力が良かった私はとりあえずガンガン弾くスタイルで今までやってきた。

私は昔から先生を変えていない。
ピアノをこれまで嫌いになったことがないのは、どう考えても今の先生のおかげなのだ。

楽譜の読めない私に、真摯に向き合ってくれる、付き合ってくれる。
弾きたい曲を弾かせてくれる、私に合いそうな、好きそうな曲を提案してくれる、教えてくれる。
弾くことの楽しさをただただ教えてもらった。

けれど、短大が音大だったのでピアノの授業があり、地元のピアノ教室は一度その時に辞めてしまった。
辞める時、3歳から習っていたのに意外とあっさりしていて寂しかったのを覚えている。
手紙なんて書くようなキャラじゃなかったけど、どうしても感謝が伝えたくて書いた手紙には、「先生のおかげでピアノを一度も嫌いになりませんでした。」と書いたのも覚えている。

短大の先生はあまり相性が良くなかったけど、単位のために仕方なく受けていた。

短大を卒業し、しばらくピアノのない生活を過ごしてみた。
するとだんだん、毎週月曜日30分のレッスンのために練習しなくていい心のゆとりと、私はこれでいいのか?このままでいいのか?と自問する日々がやってきた。

気付いたら私は先生にメールしていた。
「もう一度ピアノを再開したいです。」

そこからが私のピアノ生活大人バージョンの幕開けだった。

あの時メールした自分には感謝している。
おかげで10代のころ夢だった、「26歳くらいになって結婚とかしててもピアノはずっと続けたい」というのが叶えられている。(これは旦那にも感謝)

27歳になった自分は、さらにクラシックが好きになった。
特に今一番好きで、リスペクトをしているピアニストは辻井伸行さん。
彼のドキュメンタリーを片っ端から見た。

有名なピアニストや評論家が口を揃えて言うのが、「彼は心が綺麗だから。それが音楽に出ているんだよ。」という言葉。
無論、私はまだ音源でしか彼の演奏を聴いたことがない。
でも確かに、どんなドキュメンタリー映像を見ても、どの姿も辻井さんの心が綺麗だと感じる瞬間が随所にある。
それは発する言葉から仕草までも、それを感じることができる。

私は楽譜を読めないけど、辻井さんは鍵盤すら見えないのだ。
本当に、どの演奏の映像を見ても信じられない、奇跡の天使だと思っているが、このハンディキャップを背負ってもここまでの演奏ができるということは彼は心からピアノを愛し、そして愛されているのだと感じる。

人柄から演奏まで、とっても好き。

そんな辻井さんの生演奏を、来週やっと聴きにいけるのだ。
しかも演目は大好きなラフマニノフのピアノ協奏曲2番。

今でも信じられない。
毎日欠かさずに30分聞いているあの音楽を生で聴けるなんて・・夢のよう。

私の周りにはクラシックを好きな人がなかなかいないのだけど、もっとみんなにクラシックの素晴らしさを知ってもらいたいなと思う。
でも考えてみれば、バレエとピアノを3歳からやっていたおかげで週の半分以上はずっとクラシックを聴く環境にいた。
次男もチェロをやっているし、長男はサックスをやっているからおのずと演奏会に行く機会もある。
きっと関わりやきっかけがないとクラシックって難しいのかな。

自分にとってクラシックはこころの安定剤!


というわけで、私も私なりに引き続きピアノと向き合い好きな曲を気持ちよく弾けるようになるため練習を重ねよう。

試験や発表会も出ないし、完全に今は自己満足だけどこのスタイルも気に入っている。
誰に聞かせるためでもない、自分のためだけに練習するのだ。

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