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私はいつも突き放していた

私は思いやりの無い女だ。

今となって思う。
母の亡くなる3カ月前位からおかしな事を口走り始めた。

お父さんが、浮気していないか見張っている。
〇〇と出来ているって言われるの。
携帯をいじっていると、「彼氏にメールか?」と言われる。

耳を疑う内容ばかりだ。
父からは、「別れて欲しいから慰謝料よこせ」と言われたと聞いた。

年寄の被害妄想か。狂っていたのか。
何処までが真実か。全く分からなかった。

末期癌に侵されると、そんな風になってしまうのか。
そんな母を私は冷たく突き放してしまった。
声を荒げて怒ったりもした。

あれは病気からの事だったのか。

あの最後の数か月、寄り添ってあげる事をしなかった。
私は冷たかった。
とても後悔している。
具合の悪そうな母、ろくに口も利かずにすぐ帰ってしまった。
辛いのに。寄り添う事もせずに。
本当に、本当にあの最後の数か月。
お母さんごめんね、寄り添ってあげられなくて。
冷たくしてごめんね。
何もしてあげられなくて、ごめんね。


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