なかなか難しい流通チャネル戦略

流通チャネルに関する本を読みました。

前職で、販促関連の支援をしていた経験があり、流通に関してはわりかし知識があるつもりだと思って読みましたが、自分が知っていることと違いました。なので、読むのが大変でした。

顧客のニーズに基づいたサプライチェーンを構築する事で、さらなる価値を創造し、成長と利益を生み出す事ができるが、実際のところ、企業の流通チャネルは、根本からは変化しておらず、小手先だけ変えてしまっているだけの状態が多い。本書の中にも「マーケティングの4Pというフレームワークの中で、流通チャネルの戦略はほとんど行われていない」という記述があるのも、企業のマーケティング活動がプロダクトベースで行われていて製品をどうやって届けていくのかという視点から考えられていたのかなと思っています。

そこで本書の中では、企業は、顧客ニーズに基づいて市場へのアプローチ方法を変えていく「チャネル・スチュワードシップ」を提唱。「チャネル・スチュワードシップ」とは、流通チャネルの関連者のうち、誰か一人がリーダーとなってチャネル戦略を作り上げ、顧客のニーズを満たすとともに、チャネル・パートナー全員が利益を享受できるようにするようなことです。(ただ、流通チャネルを変更するには、多くの関係者を巻き込む必要があり、数多くの要因が影響しているのもまた難点。)

結局、流通チャネルに関わる人たち全員が利益を享受できるような体制を築くのは大変そう。メーカー側は、直接に顧客と関わる接点がないため、流通業者から顧客情報を得ようとしたいが、流通業者は顧客コントロールを失う事を恐れて、情報提供をしない。なぜなら、メーカーが直接販売に乗り出したり、他の流通業者につなぐ可能性があるからである。

このnoteでは何回も出てくる映画でふと考えてみたのですが、映画製作→配給→映画興行(もっといろんな要素が絡んでいると思うのですがざっくりわけると)の流れで考えたとき、顧客ニーズに基づいて考えると

【1】話題作やテレビで紹介されている映画をとりあえず観ておきたい人
【2】単館作品で上映されているような映画が観たい人

のような人たちがいた場合、【1】のような映画作品を製作をしている場合、配給会社もTOHOシネマズやMOVIXやイオンシネマのような興行会社に作品を上映してもらえるように動く。そうすると、顧客のニーズも満たすし、チャネルに関連する人たちも売上があがり、利益を得ることができる。

【2】の場合であれば、配給会社は単館作品を上映している興行会社を中心に動く。そうすると【2】のような映画作品に観たい人たちに届き、顧客ニーズが満たされる。(興行会社の顧客情報で大手でも単館系の作品内容によってはウケそうな可能性がある劇場があれば大手でも流せる可能性があり、配給会社も配給したいというニーズもありそう。)

これくらいある程度わかる感じだと考えやすいなと思ったのですが、流通チャネルって難しいなと思いました。というかそもそもこういうことなのかも少し不安に思ったり。

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