[恥ずかしい失敗談あり]マイティ3で採用しているボトルキャップの使い勝手と耐久性について
現在マイティ3で採用しているボトルとキャップは、約3年前からずっと国内一流メーカー品を使い続けています。
(齊藤〇美装の他商品のボトルキャップも全て当てはまります)
そのせいもあって非常に高い品質を誇っています。
採用してからトラブルは1件もありません。
仕入れが高いですが。
今でこそ色々と知恵がつきノウハウも持っていますが、この仕様にたどり着くのに実は紆余曲折がありました。
恥を忍んでお話ししていきます。
初期ロットで起きたトラブル
初期ロットでは「出来る限りコストを抑えたい」と思って、様々なボトルキャップメーカーさんとやり取りし選定を行っていました。
しかし、初期ロットで採用したトンガリキャップでは、ちょうど夏の暑い時期ということもあり破損の問い合わせが相次ぎました。
新発売の商品にもかかわらず手に取って頂いたお客様には感謝と同時に、ご迷惑をおかけしたこと申し訳ありませんでした。
さらにはトンガリキャップの紐の部分も勝手にポキッと折れるトラブルも多発しました。
これらトラブルが発生し始めた当初は、落とした際の衝撃でトンガリキャップが破損しているのではないか?と考えました。
ですが落としてないのに破損する事例も出始め、これはトンガリキャップ自体が抱える問題だと次第に明らかになっていきました。
ちなみに当時はマイティ3version1なので液色が茶色です。現在は黄緑色です。
初期ロットのトンガリキャップ破損で起きるトラブル
トンガリキャップが破損しては気密性を保てなくなり成分が抜けてしまいます。今度は中身のマイティ3にまでトラブルが及びました。
一般的なケミカル剤と同様に、時間経過とともに成分が分離するのは仕方がないことですが、ボトルを振って撹拌すれば問題なく使えるというのが通常の仕様となります。
上の写真のように撹拌しても分離したままとなっても使うことは出来ますが、粘度が上がっているので使い勝手が悪くなり施工性も良くはありません。
この初期ロットのトンガリキャップ破損を受けて、その対策としてアルミキャップを購入者全員に発送しました。
たしか総額20万円くらい掛かった記憶があります。
キツかったなぁ。
初期ロットのボトルに現行アルミキャップの組み合わせで起きた新たなる問題
対策として送ったアルミキャップでしたが、
「アルミキャップが締まらない」「締まってもめちゃくちゃ固い」
そんなお問い合わせがすぐに何件か頂きました。
僕の手元にあるボトルでは普通に締まるんですが、個体差や若干の膨張などがあったのかもしれません。
放置するわけにもいかなかったので、再対策として平キャップと穴明き栓を購入者全員に発送しました。
お客様から「問題なく締まったよ」という報告を受け、ひと安心しました。
今回の平キャップの送付では、さらに追加で20万円以上掛かった記憶があります。
キツかったなぁ。
実は初期ロットのボトルにも問題があった
先ほどのトンガリキャップの破損だけではなく、ポリエチレン(PE)製ボトルからも成分が少しずつ抜けているようでした。
マイティ3に限りませんが、
ボトルがベコッと凹む現象がある
ボトル表面に汗をかくよう現象がある
そのせいでボトルに貼ってあるラベルが時間経過とともに剥がれてくる
もしくは簡単に剥がせてしまうフタをしているにもかかわらず内容物のニオイがする
こういったことが起きているようなら、成分が少なからず抜けていると言っていいと思います。
いかに国産だったとはいえ、100円均一にも置いてあるような安価なボトルキャップを安易に採用するのは結構危険だなとこの時思い知りました。
ボトルキャップ選定の難しさ
ボトルメーカーさんのカタログなどには下にあるような樹脂特性表を提供しているところもあります。
ボトルメーカーさんの担当者と話し込んで分かったことですが、ボトル素材に使われている樹脂が何に強くて何に弱いかというのは、この表から読み取れる程度の一般論的なザックリしたものでしかありません。
ちなみに初期ロットで採用したボトルメーカーはこのような表すら持っていませんでした。
仮に内容物の成分等を全て明らかにしても、使用に耐えられるのかどうかをボトルメーカー側で検証し保証するのは難しいとのこと。
だからボトルメーカーは無料サンプルとしてボトルを提供し、それであらかじめ確認をした上で購入してくださいと言ってくる訳です。
ですが確認したとしてもすぐに問題が起きるとは限らないところが難しいところです。(一体いつまで検証すればOKと判断できるのか)
ボトルメーカーの担当者さんとお話ししていく中で次の候補に挙がったのが、ポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルとポリ塩化ビニル(PVC)製ボトルでした。
そして両方ともテストして問題はなさそうでした。
しかしポリ塩化ビニル(PVC)は環境ホルモンやダイオキシンの問題によってすでにカタログからは姿を消しつつある素材でした。
なのでポリ塩化ビニル(PVC)の上位互換的な存在であるポリエチレンテレフタレート(PET)を採用することに決めました。
スーパーやコンビニに売っている飲料にも使われるPETボトルですが、あれだけ安いのは大量生産しているからだというのがよく分かりました。
(つまりボトルに掛かるコストが跳ね上がったということです泣)
マイティ3のボトルキャップ変遷(へんせん)
以上のようなトラブルと試行錯誤があって、比較的短期間のうちにボトルキャップの仕様は移り変わっていきました。
ボトルもキャップも高品質なものに変えるとなるとどうしてもコストアップは否めません。そしてちょうど消費税が10%に上がるタイミングでもありました。
販売価格を上げざるを得なかったのですが、その代わりに容量もアップさせてお客様への安易な負担とならないようにさせて頂きました。
ボトルキャップを刷新して半年経過したときに、そのボトルキャップがビクともしないというツイートをしました。
時間が経ってみないことには本当のところは分からないという中での新採用でしたので、ホッとしたことを今でも覚えています。
そして3年ほど経った現在もビクともしていません。
あの時の選択は間違っていなかった。
よく頂くお問い合わせ
以上のような経緯はあってもみんながみんなそれを知っている訳ではないので、当然もっと便利なキャップにして欲しいというお問い合わせも来ます。
おそらくこういうタイプのキャップのことを仰っているのだと思います。
こういった親指で押し上げて開けられるキャップの方が使い勝手が良いことは僕も同感です。
そう思って、国内一流メーカーの使い勝手のよさそうなキャップでテストもしてみましたが、破損することはありませんでした。
初期ロットのトンガリキャップも同じポリプロピレン(PP)樹脂ではありましたが、肉厚であることと、材質が高品質だからということで違いが出たのかなと思います。
ですがそれでもアルミキャップを採用し続けることにしました。
それは他に懸念することがあったからです。
現在のボトルキャップの仕様を頑なに変更しない理由
その懸念とは、クルマの中にマイティ3を保管する人が結構いるからです。
製造販売する立場からすると品質保持の観点から「冷暗所で保管」して欲しいです。切にそう願っています。
それは商品ラベルにも記載してある通りです。
特に夏の車内はものすごい高温となります。
ボトル内が高圧になり、開けた時にブシュッと噴き出ることがあります。
そして成分が抜けやすくなります。
一日中陽の当たる、真夏の炎天下での車内保管を検証したことがあります。
アルミキャップであればかなり耐えます。
夏の間中テストしてみましたが、漏れることはありませんでした。
微妙にアルミキャップが歪んでいるような気がしましたが。
しかし、これがトンガリキャップやフタ付キャップだと高温で圧が掛かると成分が抜けているように感じました。もし横に寝かせて保管していたら内容物が漏れたりするかもしれません。
勘違いして欲しくはないんですが、いくら検証では問題が起きなかったからと言っても、車内保管は推奨も保証も何も出来ません。
冷暗所保管しなかった場合のトラブルは自己責任です。
ですが仮にそういった環境下であっても少しでもトラブルが起きるリスクを減らしたいという想いからアルミキャップを採用しています。
使い勝手と品質保持どちらを優先すべきか?
僕自身こんな経験があります。
直射日光の当たらない倉庫にしまってあった、しばらく使っていなかった他社製ケミカル剤をひさしぶりに引っ張り出したら、ボトルやキャップが破損していたり成分が抜けて粘度が変わってしまって使えなくなっていたことがありました。
商品を購入する際にコスパを気にする方は大勢いると思います。
(購入価格÷内容量で計算する1㎖当たりの単価)
しかしそれは使い切ったという事実が前提にあってこそです。
使い切れないとコスパもクソもありません。
使い切れなければ単なるムダで終わります。
1ヶ月で使い切る方がいる反面、使い切るまでに何年間も掛かる方がいます。
だからこそ僕は使い切れる状態が維持できるよう、ボトルキャップを安易には変えられないと考えています。
そして2022年8月現在で3年間一切のトラブルがないという実績は大きいです。
使い勝手は大事ではありますが、より大事なのは品質保持だとしています。
と言ってもアルミキャップでもそれほど使い勝手が悪いとは思えません。
僕が推奨するパチンコ玉半分の量を出すにしても、スポンジ慣らしするためにスポンジ一面にマイティ3を広げるにしても、特に不便なくむしろ使いやすいとさえ思います。
ここまで品質保持にこだわる理由
先ほど申し上げたコスパについてはお客様の立場に立った時の理由です。
それだけではなく、商品を提供する側としての矜持もあります。
それは「お客様が商品を使い切った時に真の意味で売上となる」という考え方からです。
商取引としてはお客様から注文が入った時点で売上を計上する、というのが会計ルールではあります。
でも商品が使い切られていない内は、お金はお客様から預かっているに過ぎないという考え方です。
少し真面目過ぎるかもしれません。
損をしやすい考え方かもしれません。
悪意を持つ人からすればいいカモかもしれません。
高校生の時の恩師、簿記の原田先生から教わった考え方です。
僕はこの考え方結構好きなんです。
だからちょっと嫌なことがあったとしても続けることが出来るんです。
ご覧いただきありがとうございました。サポートしてくれた方のメッセージ読ませてもらっています。洗車のプロである僕が「何を見ていて」「それをどう判断し」「行動に移すのか」、YOUTUBE動画では解説し切れない頭の中のことをアウトプットすることで皆さんの参考になればウレシイです。