1年間生き延びた話(春コミ感想)

※読む人によってはご不快な思いをさせてしまうかもしれません。予めご了承ください。

先週末、1年ぶりに春コミに行ってきた。

1年ぶりにというか、まあ春コミは年に1回なのでどうあっても1年ぶりになのですが、とにかくおよそ1年ぶりの春コミが無事開催されたのだ。よく晴れて、気温も暖かく、梅は盛りを迎え、2月とは思えない小春日和の1日だった。
ちなみに去年の今頃も、わたしはサークル側として春コミに参加している。その時に出した本を引っ張り出してきたら、奥付の日付は令和2年2月23日と書いてあった。春というより冬だ。オリンピックを予定していた年で、例年よりかなり前倒しで春コミが開催されたのだということを思い出した。

そうか、もう1年経ったんだなとも思ったし、こんなに色々あったのにまだ1年しか経ってないんだなとも思った。たぶん、多くの人にとってこの1年はそういうものだったんじゃないだろうか。

去年のイベントのことを思い出してみた。ちょうど緊急事態宣言が発令される直前で、参加を自粛する人は当時もかなり多かったけど、記憶を辿る限りまだマスクの義務化はなかった気がする。
だって当時はコスプレもOKで、「お掃除スタイル」と称してコスプレの上にマスクをした自ジャンルのレイヤーさんを沢山見たのだから。マスクをせず人前に出ること自体が最早ありえなくなった今となっては「そんな頃もあったんだな……」と思うばかりだ。


マイナー界隈に身を置きながら母体ジャンル自体はそれなりに大きなところに居たので、あんなに人の居ないイベント初めてだと随分衝撃だったのを覚えている。
緊急事態宣言が初めて東京で発令されたのは2020年4月7日で、当時東京の染者数は100人にも満たない数だった。それでもあの頃はまだ、わたしたちは聞き慣れない横文字のウイルスに対して漠然とした恐怖感を抱き、正誤を含め様々な情報が飛び交っていた。街は閑散として静まりかえり、商業施設はすべて休業し、テレワークが導入され、通勤電車はガラガラだった。今思うと、乗車率200%の電車に乗って毎朝通勤していた日々が正気の沙汰とは思えない。いやもうあれ絶対ほんと今思うと人権ないにもほどがあるだろ二度とやりたくない。とにかく本当に、いろいろなことが変わったなぁと思う次第だ。

何もかも初めて見る光景ばかりだったあの春から丸一年。行われた今回のイベントは、思った以上に多くの人が参加していた。正直こんなご時世なので、一般参加は殆どないだろうと思っていたし、どうしたって「盛り上がる」=人が多いということなので、手放しではしゃいではいけないことだとも思っている。けれど、一年前に「不要不急」として真っ先にあげられた娯楽が、こうして少しずつだが形を変えて戻ってきたとわたしは感じたのだ。それが、やっぱり少しだけ嬉しかった。

わたしはオタクなので当然イベントには出るし、東に推しの舞台があれば行って鑑賞し、西に推しのミュージカルがあれば団扇とペンラをふりまくる。旅行が趣味だったし、飲みに行くのも大好きだった。
この世で最も優先されるべきは人命なので、非常事態下でそういったものが自粛されるのは理屈としてもちろん分かる。それでもこの1年間、ミニシアターや馴染みのお店が暖簾を下ろすところや、好きなブランドの会社が破綻するニュースをいくつも聞いてきた。そういう中で開催されたイベントだった。

あの頃にはなかったセパレーションパネルや配置されたアルコール消毒、検温、感覚をあけて配置された机。様々な工夫を凝らし形を変えて、それでもなんとか開催された。
イベントの、あの賑やかな空間がわたしはとても好きだと改めて思った。ひとつの作品に熱量と愛情を傾け、日夜狂い続けた結果生まれたさまざまな性癖を印刷して頒布する場所なんて、この世の一体どこにあるだろうか。よくわからないパッションに満ちた奇跡みたいなあの空間が、わたしはとても好きなのだ。ああイベントだー、としみじみ思ってしまった。

この感想を呼んで、あまり良い気持ちにならない人は当然いるだろう。仕事柄行きたくても行けなかった人もいるし、そんな場合じゃないともいう声もすごく分かる。
だけど、この1年いろんなことがあって、本当にいろんなことがあって、一時はもう二度とイベントなんて開催されないんじゃないかと本気で思ったことがあって、それでもこうして無事にイベントが開催されたのを見て、形を変えて少しずつ、良い方向に向かっているとわたしは思った。そうだと信じたい。もう戻らないものはきっと沢山ある中でそれでも、何もかも止まったままじゃないんだなと思ったら、ちょっと胸がいっぱいになって深夜のテンションで今これ書いてます。

相変わらず趣旨が迷子ですいません。何が言いたいかと言うと春コミ本当にお疲れ様でした。参加した方も自粛した方も、これからも好きなことを楽しむためにどうぞお身体を大切になさってください。わたしも、我ながらよく1年生き延びたなぁと思います。いやほんとうに。もう生きてるだけで偉い。
ちなみに去年の今頃わたしまだ羅小黒戦記見てないんですが、この1年で本5冊(コピー含む)出したのかと思うと結構元気に狂っていたなとしみじみしました。たぶんまだもう少しだけ、沼にいるだろうなと思います。
それでは。

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