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ジュエリーを買う(3)「身に着け始めて変わったこと」

ほとんど毎日ジュエリーを身に着けるようになって変わったことがある。

最初は自分の手元のジュエリーだけを眺めて、満足していた。

そのうちにささくれや何も手入れしていない爪が気になり始めた。

ハンドケアをしてマニキュアを塗ると、手元が整っているのに対して髪がぼさぼさなのが気になり始めた。

毎日ちゃんとドライヤーを使って髪を乾かしてワックスで髪をまとめると、いつの間にかフェイスパックまで買うようになっていた。

服はプチプラで締めるところは締めるが、毛玉を取ったり洋服ブラシをかけたりして清潔に見えるよう努めるようになった。


私は数年前まで上記のような活動にほとんど興味がなかった。

ジュエリーを着けるという習慣が私に変化をもたらしたのだ。


ジュエリーを着けること……に限らず自分を飾ることの理由は大きく「内」「外」「上」の3つに分けられると私は思っている。


装身具の発生の起源としてよく言われるのは「自己異化」(個性を表現する)と「自己同化」(自分の所属する属性を表現する)だ。

それに加えて「呪術的理由」「人間としての自然な欲求」なども挙げられる。

上記の説を知ったのはジュエリーの歴史を勉強し始めたごく最近だが、それ以前にも「内・外・上」については度々考えることがあった。


「内」はこれが好き・という全く個人的な満足。

似合おうが似合うまいが、これが着たいから着る、着けたいから着ける、という気持ち。


「外」は他人からの視線を意識し、TPOに合わせて仕方なく、或いは対外的なイメージをコントロールするため時には楽しみながら、外面を作ること。


「上」は一般的に言われている呪術的理由に近い。

一言で言ってしまえば祈りかな。


「あんまり派手なネイルは男受け悪いよ~?」「いやあなたに受けるためにやってるわけじゃないんで……」というありがちなモヤッと案件は、その人の着飾りがどこを向いているのか全く理解していないから起きるのだろう。


また、「内・外・上」の3つは単独で存在することはあまりないのではないだろうか。

例として自分自身のことを考えてみる。


私は身に着けるものに寒色や黒ばかりを選ぶ傾向にある。

そして、小学校に上がってから今まで、自らの意思でピンクの服や持ち物を選んだことは一切ない。

私はピンクではなく黒や青が好きだし(内)、ピンクではなく黒や青を身に着けた姿を他人にも見られたい(外)。


ライブやイベントに行く時は、推しカラーの服を着る。

これだけファンがいるのだと運営や他の人に見てほしいし(外)、推し色で臨む方がよりテンションが上がる(内)。

何かに熱狂している様は催事というより祭事に近いので、上向きの着飾りとも言えると思う(上)。


昨年セミオーダーでリングを2本、それぞれ別のデザイナーさんに作っていただいたのだが、どちらも青いサファイアを中石に選んだ。

青は大好きな色だし(内)、我が子の誕生石であるサファイアのリングを見るたびに可愛さを思い出して、自我が出てきてイヤなの!を連発する子供にイライラせず穏やかに接せますように……接するよう頑張ります……という願掛けのつもりでオーダーしたものだ(上)。


自分のため、他人のため、祈りのため、どの理由が良い・悪いということはない。

しかしジュエリーは服や靴と違い、無くても生活ができるものだ。

だからこそやっぱりとびきり大好きなものを選びたい。


長々と書いたが、冒頭の「私に起きた身なりに気を遣うようになったという変化」の原因はごくシンプルで、

大好きなジュエリーをよりきれいに見せたい

大好きなジュエリーに釣り合う自分でありたい

それだけなのである。

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ヘッダー:moemi sugimuraのファセット翡翠K10リング

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