キング・クリムゾン「Red」私的名盤解説その一

こんにちは。もう暦の上では夏が始まってしまいましたね。佐藤凌駕です。皆さんご機嫌麗しゅう。
最近音楽への愛情と憎悪が益々増え、Twitterにただひたすら衝動的に駄文を書きなぐってしまうことが増えてしまったので、noteにまとめたらいーんでね?と思い好きなアルバムの解説的なnoteを書いてみたいなーとは前々から思っていたので書いてみることにします。初回は丁度今聞いていてTwitterに書きなぐりそうになってしまったキング・クリムゾンのRedから始めようと思います。僕がキング・クリムゾンで一番好きなメンバーの時期のアルバムかつ一番好きなアルバムです。言うことも特にないのでレッツ話しまくりタイム!

1曲目 Red

クリムゾンの代名詞とも言えるハードなロックインストナンバーですね。
ロバート・フリップの荒々しく不気味なギターリフて始まります。5/8を交えた変拍子、まさしくクリムゾン節の聞いたリフですね。気持ちよすぎる。ここのコード進行はディミニッシュスケールから別なディミニッシュスケールに転調するという離れ業が披露されていてロバート・フリップの天才さには驚かされます。そしてギターリフが終わるとまた次のギターリフが。こちらは素直な8/8ですがハードかつメロディアスで歪んだベースが奥からこだまのように聞こえるミックスが大好きです。そしてそこからギターとベースの掛け合いのようなフレーズ、そしてその間を埋めるようなビル・ブルーフォードのドラミング…そしてだいたい似たようなフレージングと構成が繰り返された後にドラムが居なくなり、一転して弦楽器による静かなパートに入ります。そしてそれが終わったかと思いきやテンポが落とされて先程のリフがよりスローに、よりハードに演奏されます。ここでもメインメロディーであるギターの隙間を埋めるリズム隊のプレイが光る…マジで泣きそうになります。そしてまたそのギターリフが繰り返され段々激しくなっていき、最後はメインのイントロのリフに戻り、ベースもユニゾンし、この曲は終わります。まるでクラシックのような素晴らしい構成とハードでロックな素晴らしい演奏。プログレの良さが詰まっている大名曲です。

2曲名 Fallen angel

先程とは一転して不気味なメロトロンと弦楽器から始まり、ジョン・ウェットンの叙情的な素晴らしいボーカルと、それを彩るようなロバート・フリップの美しいギターと管楽器によるリードフレーズの絡み合いがたまりません。そして8/8から6/8に拍子が変わり、楽器隊も歪み、激しくなりサビのメロディーに突入します。そこからは叙情的なメロディーが続きながらも演奏とサウンドはどんどん激しくなっていき、そこにメロディアスな管楽器隊が乗っかり、また4/4の美しいメロディに戻ります。しかしその叙情的で美しいギターの上で歌われるジョン・ウェットンの素晴らしい歌声、優雅に吹かれる管楽器隊のフレーズそしての下を暴れる歪んだベースが交わりあい勢いは加速していき、その勢いのまままた3/4のサビのゾーンに突入します、そして歌声がなくなり各楽器が大きく暴れ回りながらアウトロはフェードアウトしていきます。素晴らしい世界観、泣けるプログレです。

3曲目 One More Red Nightmare

赤い悪夢、再び───。
ギターとベースがユニゾンする、1曲目を思い出させるハードなリフから始まる3曲目、金物を多用したメロディアスなドラミングも耳に心地よいです。そしてこの曲が一曲目と大きく毛色が違う点はインストではなくボーカルがある事です。イントロリフが終わったあとはジョン・ウェットンの歌声が響き、そしてAメロが終わるとまた間奏はイントロのリフのフレーズへと戻ります。同じメロディのリフながらもビルのドラミングが印象を変え飽きずに聞けます。
そしてまたAメロへ、この間鳴らされるパーカッション?の音がノリノリになれて気持ちいいです。そしてまたメインのリフに戻るかと思いきやアルペジオから始まるいままでと違う間奏になります、3/4拍子で同じように進むようで徐々にうねりながら変化していく各楽器のメロディが飽きさせず聞かせてくれます。そしてそのパートが佳境に入ったと思いきや最初のリフに楽曲は戻っていきます。ここでのドラムも最高です。ドラム最高しか行ってないな。俺。
そして楽曲はまたまたAメロに戻ります。変拍子の多いクリムゾンでは珍しくノリノリになれる良いAメロです。そしてAめろが終わるとまた3/4の間奏に戻り、管楽器がユニークかつメロディアスな旋律を聞かせながらギターも徐々に自由に暴れ始め、リズム楽器たちも自由に演奏しながら、即興演奏が繰り返され、お得意のクリムゾンタイムに入ります。そしてこちらのボルテージもどんどん上がってきたぞ!と思うところでそのままこの曲はブツ切りで終わります。悲しい。

4曲名 Providence

最初は遠くから聞こえてくるホラー映画のような不気味なバイオリンによるイントロが続きます。そして一気に盛り上がりそうで盛り上がらないような雰囲気を醸し出しながら2分ほどたちこっちもしびれを切らす頃合でゼンマイのような音とまるで叫び声のような歪んだベースが加わり、そこからはおもちゃのような、まるでイントロの弟とは真逆の可愛らしいおもちゃのような音が加わっていき、ドラムロールが入ったと思いきや無音になります。
そして深海から少しづつ昇ってくるような轟音が響いては消え、響いては消え、どんどん利き手の恐怖心を煽っていき、管楽器やギターがリズムの存在しない世界で不気味なメロディを奏で始めたと思いきやここで遂にドラムがマトモなリズムを叩き始めます。約5分間の恐怖に遂に終止符が…と思いきやそのドラムに合わせベースの音はさらに大きくなります。そしてひたすらベースが主役としてメロディを弾きまくります。ここでノイズ的な役割でありながらオカズ的なフレーズを入れるロバート・フリップのギターも素晴らしいです。そしてドラムとベースはどんどん水を得た魚のように生き生きと演奏し始め、その世界を守るかのようにギターも不気味なフレーズを多用し、MAXまで到達したかと思いきやベースの音はなりを潜め、代わりにイントロで聞かされまくったバイオリンが今度はリズムに乗せながら不気味なメロディを奏で始めた所でこの曲は終わります。
わかりやすい盛り上がりや盛り下がりが無く、まるで長編B級映画のように浸らせに浸らせる プログレッシブ・ロック特有の素晴らしい世界観です。
そしてこの世界観に浸った後にアルバムは最終盤に向かいます…

5曲目 Starleas

先に言います。プログレッシブ・ロック五本の指には間違いなく入る大名曲です。この曲のためにこのアルバムを聞いたと言っても間違いではありません。
メロトロン、ベース、金物による陳美なイントロがまず奏でられ、そこに先程あんなヘヴィなリフを弾いていた人間とは思いないような美しく、クラシカルなギターのメロディが乗っかります、そしてメロトロンの音が響き、一回いなくなったギターはまたその美しいメロディを聞かせるために現れます、そしてその美しいメロディが終わったと思いきや、さらに美しいジョン・ウェットンの深みのある美しい歌声が、美しいメロディを歌い上げますそしてそれを邪魔せずに彩る管楽器のメロディが隙間を埋めつつ、そのメロディラインはもう一度繰り返されます。ここの裏のベースラインも過度に盛り上がりすぎない、適度な盛り上がりを産み秀逸です。このベースラインを弾いて、こんな素晴らしい歌声も持つジョン・ウェットンは素晴らしい…そして短い感想を抜けるとまたロバート・フリップの美しいギターメロディが聞こえてきます。この曲のサビは歌声ではなくこのギターのメロディによって奏でられます。ロバート・フリップのギターは機械的なのに歌っているような不思議な美しさがあります。そしてまた歌のパートに戻り、美しいバイオリン、管楽器、ベースがそれぞれ聞かされます。そしてその美しい世界観はまさしく星の光を失ってしまった世界であるかのように一気に不気味なインストパートに移り変わります。リズム楽器としてのドラムがいなくなり、先程あんなに素直に美しいメロディを奏でていたギターとは思えない不気味なフレーズを奏で、ディミニッシュスケールを使ったベースによる不気味なフレーズがリズムを演出します。ここのリズムも素晴らしい秀逸な変拍子です13/8拍子ですね。そして繰り返ふようでありながらもハードなドラムが歌うかのようにどんどん盛り上げ、それに呼応するかのようにギターとベースもどんどん熱を上げていきます。そしてどんどん闇の世界が完成されていくと思いきや、一気に音が止み、ギターだけになり、そしてすぐに曲調が一転しアップテンポな曲調になります。アップテンポながら変拍子も混ざっていて凄く緊張感あるアンサンブルになっています。そしてその上を自由に歌いまくるイアン・マクドナルドのサックスも素晴らしい。そしてそのパートが弾けるように終わったかと思うと、16分を刻むドラムと、小さく聞こえるベースの音、そして先程はギターで弾かれていたメインのテーマのメロディを吹くフルートの音色がアップテンポのままに響き、それが終わるとまた即興演奏によるハードな間奏に突入します、ベースリフの上で自由に動き回るギター、ドラム、管楽器たち、そしてその演奏はテンポを落としながらメインのテーマである極上のメロディにまた辿り着きます。メロディは変わらないもののリズム隊はどんどん熱を帯びてそのメロディを益々神々しさを思わせるメロディに変えます。そしてそのハードなサウンドのまま一度間奏を挟み、最後にまたメインのメロディが鳴らされ、曲は終わります。そしてこれでアルバムも終わります。

最後に

ここまで読んでくれてありがとうございます。どうせそんな書くこと浮かばんやろと思ってノリと勢いで湯船に漬かりながら書き始めたところ、時間にして2時間、文字数にして4000文字という我ながらドン引きしてしまうくらい書きなぐってしまいました。のぼせそうです。でもそのくらいこのアルバムは大好きなアルバムで、各曲が8分くらいの長尺でありながら飽きずに聞けるプログレッシブ・ロックの大名盤だと思います。というか音楽界の大名盤。僕はこの時期の3人クリムゾンが一番好きです。リーダーのロバート・フリップの作編曲、演奏能力の天才さは勿論、ジョン・ウェットンのベースプレイと素晴らしいボーカルも聞けて、ビル・ブルーフォードのドラミングも冴え渡っているという…(個人的にはソロやYesとかで叩いてるやつよりもクリムゾンでのドラミングが一番好きです。個人的には。)そしてStarlessは大好きな曲なんですが冒頭の4分、不気味な間奏に入るまではジョン・ウェットンの作曲なんですよね。ジョン・ウェットン的にはそのまま叙情的な曲にしたかったそうですがほかのメンバーのせいであの地獄のような間奏が入れられたとの事。ジョン・ウェットンの気持ちを思えば可哀想ですが僕的にはあの間奏やらも含んでのStarlessだと思っています。クリムゾンによる即興演奏でしか得られない栄養素は確実にある。
初期クリムゾンのハードな要素もありつつ叙情的でシンフォニックな要素も兼ね備えたクリムゾンの最高傑作だと僕は思っています。次は何のアルバムについて語ろうかなぁ〜。またこんど!(やるかわかんないですけど!)

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