📖✨世界の見方が変わる50の概念

大学に入って何をしたいという生徒に尋ねると、サークルなどと答えることはよくあります。
あと、アルバイトですね。しかしながら、大学生の本業は勉強だと私は考えています。
実際に部活やアルバイトに明け暮れていた友人は、なんで大学生の頃にもっと勉強しておかなかったのかと後悔をしています。
大人になればなる程、概念を理解していることによる強さというものに直面します。
本書の、こちらの引用も私の意見を強固なものにしてくれています。

概念を知って味方につけると、世界がくっきりと見えてきます。新しいものの見方で自分や社会や世界を見ると、これまで思っていたことと違うことが見えてきて、今までモヤモヤしていたのがスッキリする。概念には人生を楽にしてくれる効用があります。

16ページより引用

私自身、心理学を学んだことにより生きやすさがとんでもなく変わりました。
意外と人間って考えて行動していないんですよね。直感的な思考回路というものが何かというものを理解しているので、誰の言葉を信じて、誰の言葉は信じなくていいのかを見分けられるようになったと思います。

概念を身につけると、この世界に対処する処方箋が見えてきます。

16ページより

本書では色々な概念を紹介してくれています。面白いと思った概念について、列挙していきたいと思います。

オリエンタリズムbyエドワード・サイード

自分が大学受験をした時に、オリエンタリズムという概念は絶対的に押さえておかなければいけないものと先生に教わりました。
その際、エドワードサイドという人は100%出てきます。
オリエンタリズムとは、西洋が世界の中心であって、未開発の東洋を教育していかなければならないという概念です。
一方、極東である日本は脱亜入欧を掲げて1足先に西洋化を進めたため、なんとなく自分たちはアジアと違うからとおこがましい考えを持っています。

日本には四季があって、季節の堀ヨリにこんな美しい景色風景がありますと紹介されますよっ、考えてみれば緯度が同じであればどこの地域や国でも日本と同じように季節はめぐります。ほとんどの所に季節がある訳です。
日本人は西洋を意識するあまり、自国のものを西洋にないものと思いすぎる傾向があります。

35ページより

私も中学生の時に英語でエッセイを書くタイミングで日本の四季の美しさを書いたら、世界にも四季があるよと言われて驚いた思い出があります。
おこがましさは教育業界にもはびこっているんですね……

快感原則と現実原則 byフロイトー欲望の出せるがままに生きていないか

フロイトは超超超超有名な心理学者です。
エスエゴスーパーエゴに関しては心理学の基本中の基本です。

さながら快感原則と現実原則も非常に面白いです。

幼児の世界は基本的に快不快、好き嫌いで構成されています。気持ちのいいことを望んでそれが満たされないと駄々をこねたり泣いたりする。これを快感原則といいます。
快感原則で動いていた子供が大人になるにつれて社会的な自我が出てきて、現実感覚で物事を見るようになります。これを現実原則といいます。
現実を認識して行動すること、つまり快感原則から現実原則に履行することが成長や成熟につながります。

76ページより引用

大人になるっていうのは現実的に物事を見るようになることだと思います。
64ページにて紹介されていた不条理を受け入れるというチャプターでも多少の理不尽を受け入れていく必要性が述べられていました。

この現実原則を身につけることができるのが、学問だと思っています。
学問とは簡単に言うと、真理に近いものだと思っています。みんなが調査したことによって実証されている真理。
だからこそ、学問や研究に基づいて判断することができるっていうのが現実原則だと思います。

快感原則で動いている大人って意外と多いなと思います。
好きの感情を出すのはいいとは思うのですが、嫌いという感情や不快という感情で物事を対応していくことにはいささか疑問が残ります。

一方で現実原則にのみ基づいて動いていくと心が疲れてしまうのも事実です。
大人になればなるほど、現実原則で動けるようになるので、きちんと快感原則をプライベートでオンモードにできるように自分自身をコントロールする必要がありそうです。

メソテース(中庸) byアリストテレスー両極端に傾いていないか

未熟な人はどうしても両極端に傾いてしまうものですですから、殖産にある方と極端にない方を考えて大体この辺りがいいという中庸を選ぶ生き方、その思考習慣を身につけることは大切です、ひげにも自慢にも傾きすぎないでその中庸である誠実を見つける。

81ページより引用

この仕事をしていると、〇〇が絶対正しいという意見をよく聞きます。
それは教師からも生徒からも聞こえますね。
例えば隙間時間を使って勉強するのが絶対に良いと述べる人がいます。
これは今隙間時間に全く勉強していないというところが問題として提起されます。
つまり、ゼロからイチに持っていこうというところです。一方で隙間時間に勉強だけしている生徒を見ると、不安にもなります。
理由はもちろん簡単で、休憩時間は休憩するものだからです。その中庸をとっていくことが大事です。
他人の意見を理解できない時も、全く理解できないんではなく、部分的に理解しようとする気持ちが大事だと思います。
まぁ、誹謗中傷とか全く理解できなくていいと思うのですが……

世の中はスペクトラムているので、白黒ではなくグレーで判断するのが正解という意見も面白かったです。
これは正義中毒というものにも関わりますね。

型ー型通りではいけないと思っていないか

私の仕事は生徒を育てるというより、生徒が成長する環境作りは情報提供をしていくことだと思っています。
勉強に関して言うと勉強の型を教えていきます。例えば25分勉強して5分休憩するポモドーロ学習や英単語帳は7回見るという回数を増やしていく方法などですね。
型があるというのは、それまで多くの人達が同じ方法で成功したということです。
型にはまりすぎないことはすごく大事だと思うんですが、まずは型にはまってみるということがないんだと思います。
そこから、なぜはまらなかったんだろうと考えてみることが大切です。

創造性というのは、形の集積によってできています、型を身につけることは、実は感覚を磨くことにもつながります。型通りによることで感覚が磨かれ、創造性を発揮できるのです。

111ページより引用

離見の見by世阿弥 ー自分の見方が絶対だと思っていないか

離見の見とは能の心得として世阿弥が説いた言葉です。「自分の芸を、観客の目で見なさい」という意味です。演者自身の目で見る自分の姿は主観的な見方(我見)です。我見にとらわれていては、観客を満足させられません。

140ページより引用

学生のうちに培ってほしいスキルが「自分で自分自身を修正する機能」です。私は考査のふりかえりなどで実践しています。このスキルを培うためには離見の見が必要です。
自分を遠くから客観視するとどのような存在なのか、俯瞰して物事を見るスキルは必要不可欠です。
よく、それは自分が言われたらどうよ……？されたらどうよ……？みたいなことがあります。離見の見に欠けている行為ですね。これはメタ認知にも近しいです。

メタ認知とは？【意味をわかりやすく】メタとは？

メタ認知は学生の方が50代以上より出来ているなと感じます。認識に対する認識。
時代に即した生き方なのかもしれません。最近よく叫ばれてる気がする。

上機嫌byラフカディオ・ハーン

日本人の微笑みは念入りに仕上げられる、長年育まれてきた作法なのである。相手にとって一番気持ちの良い顔は微笑している顔である。広く世間に対しても、いつも元気そうな態度を見せ、他人に向かいそうな印象を与えるのが生活の基本とされている。たとえ心臓が破れそうになっていてさえ、凛とした笑顔を崩さないことが社会的義務なのである。

ラフカディオ・ハーン「日本人の面影」

私はいつもニコニコしようと心がけているのですが、というか不機嫌な状態を他人に見せないように強い意地を持っているのですが
意外とトラディショナルジャパニーズの考え方なんだなって思いました。
一方で昨今は不機嫌さで相手をコントロールするような人も多いように思います。
でもそれって子供がミルクが欲しくて泣いているのと同じような感じなんじゃないかなって思っていて
私は、自分のモットーを誇りに思っています。

本書にもありますが、ご機嫌はトレーニングです。

日日是好日といいますが、日々ハッピーに生きたいですね！