✨📖勉強するのは何のため？ー僕らの答えのつくりかたー

高校1年生の生徒たちを教えていると、勉強する意味についてよく分かっていないんだなぁって思うことが多くあります。
かくいう私も高校生の時に勉強する意味なんてわかりませんでした。
浪人した時に、知識を得て成長するのって面白い！って感じてから、知識の吸収だとかにハマった気がします。
ということで、勉強する意味が見いだせない状態に戻すためにこちらの本を読みました。

「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」――この問いに、絶対的な「正解」はたぶんない。

「いい大学や会社に入るため」「忍耐力をつけるため」「論理的思考力をはぐくむため」……いろいろ答えは返ってくるだろうけれど、どれが正解というわけじゃない。どれもある程度正しいように思うけど、また同時に、どれもちょっと違う気もしてしまう。

こうした「正解」のない、でもなんらかの「答え」がほしい問題の数々をとにかくひたすら考えつづけてきたのが、「哲学者」と呼ばれる人たちです。哲学こそが、「正解」のないさまざまな問いに、「なぁるほど、そう考えればたしかに納得できるな」という「納得解」を与えてきたものなのです。

本書では、「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」という問いに、彼ら哲学者たちが(2500年もの長きにわたって! )積み上げてきたものをぞんぶんに駆使して、答えていくことにしたいと思います。

はじめに、より

一般化の罠と心理学

大学受験をする際に、父に心理学を学びたいと伝えたら
「心理学なんてやって何になるの？理系に行ったり、法学部に入った方がいいよ」
と言われたのはよく覚えています。何の根拠もないなと思ったのも覚えています。

学問を担当するっていうのは、その考えのスペシャリストになることだと思っています。
それがもし教授とかになるのであるならば「誰もが納得する答えを心理学的に探求する」ことが至上命題になると思います。

恋ってなんだろうという問いを考えた時、多くの場合、私たちはそれぞれの恋愛経験を一般化して語り合ってしまうものです。
もちろん恋というのはどこまでも個人的なものだから、私達は恋愛をまずは自分の経験からしか語ることができません。
でもまさにそれが個人的な経験であるからこそ、私たちは自分の恋愛経験を一般化して、それがまるで恋愛一般の真理であるかのように語ってしまう訳にはいかないのです。

24ページより引用

勉強っていうのはある種の主観性の排除のように思います。
自分が持っている経験を、過度な一般化せず、他人が蓄積してきた知識に基づいて判断するみたいな。
だから、勉強できるに越したことはないように、私は思います。

この論理に沿うと、頭が悪いなぁって思うのは、自分の経験を一般化する人ですね。
私は今までこうだったからこういうことしかできないみたいな。何の成長もない発言をする方もいらっしゃいます。
ただ、そうやって決めつけていることが最も成長からは遠い発想だと思います。
柔軟にかつ貪欲に知識をつけることによって、自分自身の成長の可能性を見出し、成長できるのではないでしょうか。

生きる理由は人それぞれ

さて、学問とは真理を探求するつまりみんなに共通することを見出すというお話をしていきましたが
本書では勉強する理由は人それぞれという言葉でまとめています。
これはとても共感。一般的な解が見つかると、私達は「そうあるべきだ」という義務的な思想に陥り、型にはまろうとします。
そして、その鋳型にうまく挟まらないでイライラしちゃうんですよね。
んだからこそ、自分が出す答えが正解となっているのが勉強する理由です。

ともかく、唯一絶対の答えを求めて、なんで勉強しなきゃいけないのと、問うんじゃなくて自分はどういう時に勉強に意味があると思えるんだろうとどういうことが重要なのです。
興味を持てない学習内容も何とかして、自分の興味関心に引きつけてみるとか、自分に合う先生を見つけて教えてもらうとか。条件整理もあるでしょう。
勉強する理由や意味に絶対の正解はありません、自分なりの正解をいくつも見つけて、その意味を実感するための条件を整えればいいのです。
ただし、あなたにとっての勉強する理由が他の誰かをひどく傷つけるようなものだったり、あるいは自分自身を苦しめてしまうようなものだったら、それはいい理由とは言えないから思い切って捨てたりは気を置いてしまったりした方がいいと思います。

68ページより抜粋

ステレオタイプからの解放と勉強する意味

私はジェンダーのことを色々勉強してきたので、たくさん疑問を持つことができます。
例えばなんで、レディースランチはあるのに、メンズランチはないんだろうとか
女性専用車両はあるのに、男性専用車両がないんだろうとか。
これはたくさん知識を持っているから疑問を持つことができると自負しております。

学ぶ理由は人それぞれと本書では語っていましたが、第2章の1部では一般解を述べています。
それは「自由になるため」です。

できるだけ納得してさらにできるなら満足して生きたいように生きられるという実感のこと、これが自由という言葉の意味です。

学ぶっていうことは、価値観をアップデートするということで
常に価値観をアップデートし続けることによって、世界を楽しんで見ることができます。
例えば先日大学模擬講義というものに参加し、機械工学について学んだのですが
人体を拡張することについての技術(義手など)を知ると、パラリンピックがもっと楽しくなるんだろうなと思いました。

結局、主観っていうのは不自由さに繋がるのではないでしょうか。
自分1人の狭窄な目線で物事を見ている。そして対象を理解しきれないジレンマ。

読書も同じような理由でしてるんだなって思います。
読書って簡単に言うと、マニアックな人との対話なんですよね。まぁ一方的に知識で殴られてるだけの側面もあるから対話じゃないかもしれないんですけど。
講演会みたいな感じっていうのが正解なのかな。知識ってあればあるほど、新しい世界が見えてくるから本当に面白いですよね。