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バカと無知

私は評価が高い作品を見る癖があります。
みんながいいって言ってるものって大抵いいんですよね。映画とかも同じような感想を抱きます。
ということで、ネットにいいって書いてあった本を紹介します。最終的にはそんなに感動する本ではありませんでした。

正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だ。しかし、希望がないわけではない。一人でも多くの人が人間の本性、すなわち自分の内なる「バカと無知」に気づき、多少なりとも言動に注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるはずだ。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。

Amazonより引用


この時点で自分と相性が悪いことに気づけばよかったです。
私は結構綺麗事が好きです。なぜなら、教師という仕事は綺麗事を語る仕事だからです。
不条理の事も世の中にはありますが、それが当然だと思いたくありません。自分たちでそういう不条理な世の中を変えていくっていうのが大切だと思っています。



キャンセルカルチャー

間違いが起こるとすぐ辞任辞任という世の中ですね。
芸能界の袋叩きも同じようなもののように思います。
英米圏ではこの文化をキャンセルカルチャーと呼ぶのですが、日本ではあんまり名前がないような気がします。


社会心理学では、人は無意識のうちに世界は公正でなければならないと考えてみる、これが公正世界理論だこの信念によって私達は不正に対して怒りを感じ、それを正そうとするように進化した。
ここれで話が終われば1件落着だが、そう簡単にはいかない、誰もが身に染みて知っているように世の中には公正なことがたくさんあり、個人の力はあまりにも弱い。勧善懲悪の物語に人気があるのは、現実の世界では悪がのさばって、善は肩身の狭い思いをしているからだ。
俺は認知的不協和と呼ばれる心理状態で矛盾した二つの考えを同時に抱くとものすごく不快に感じられる。

30ページより引用


私はこの文化に危機感を覚えています。なぜなら、人間が1度失敗をすると非難を浴びると、人生が立ち直れなくなるように思うからです。
これを学校文化に適応すると、絶対失敗したくないから無難の道を選ぶということに繋がります。

もちろん法律を犯した場合は、法律に準じて処罰されるべきです。
しかしながら、芸能人の不倫問題等は本人達の中で解決されればそういうことなのではないかなと思うことではあります。
私刑を下したがる話は正義中毒という本でも言及したように思います。
私は職業柄クラスで起きた過ちなどに関しては罰を与える立場ですが、その立場ではない人がしのごの言うのは違うように思います。


行政とリテラシー

①先進国の成人の約半分は簡単な文章が読めない
②先進国の半分以上が小学校3年以下の数学的思考力しかない
③先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人しかいない
日本は高い偏差値ばかりが注目されるが、人口のおよそ6人に1人は偏差値40以下である。税務署から生活保護の申請まで、説明を読んで役所の書類を正しく記入するまてには、偏差値60(march)が必要となる。

83ページより引用

こちらは初見の情報だったので、面白かったです。
偏差値が高く、リテラシー能力が高いことって大人になってお金がかからないと思います。
だって、自分で能力があるから解決できるんですもん。
逆にリテラシー能力とか判断能力がないと、他人に流されてしまい、金銭的に損することは少なくありません。
思考力判断力があることとは物知りであることとイコールではありません。
一つの分野を探求したからこそ、理解できることが多くなるはずです。
だからこそ、私は大学で学問を探求することにより思考力が身につくと考えています。




厄介な自尊心


自尊心が重要とされる根拠の一つに、自己肯定感が高いと幸福度も高いがある。
自尊心が低いと、パートナーと長続きしないとも言われる。これは悲観的だとこう言う人と別れたり離婚しやすいためだ。
このように考えると、自尊心と言われるものの多くは楽観的、悲観的なパーソナリティーで説明できそうだ。


第2章では、自尊心について論じられていたが、全体的にあまり肯定できる内容ではなかった。
というのも、全体的にエビデンスに欠けている印象があった。自尊心と楽観性悲観性が同じであったら、言葉が存在する意味がない。
どうも、自尊心という言葉に対してネガティブな印象を抱いているように感じた。筆者は自尊心と自己肯定感の違いなどをきちんと区別できるかという点も疑問である。

それとなく実験を出して証明をしている感じがするが、専門性に片足を突っ込んだ言及は理論性に欠けるのでやめた方がいいと思う。
筆者は作家であるので、作家としてのものの見方を提供してほしい。
なぜなら、心理学についての言及は心理学者がきちんとしてくれるからだ。生半可な知識は付け焼き刃に過ぎない。
ちょっと残念に思っちゃったんで、である調になっちゃいました。



コラムを切り取ったものなので、全体的に中身が浅いなという印象がありました。
加えて一つ一つに対する言及もパンチがないというか。こんなことあるんだよ、怖いでしょびっくりみたいな感じで話が進んでいきます。
実験の話などは面白いので、筆者の主観的な感想に流されず、こんなこともあるんだと流し読みするくらいでちょうどな本だという印象でした。

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