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ビンゴ大会の話

10月31日に出来なかったハロウィンパーティーのことも兼ねて、今日、学校のホームルームの時間でビンゴ大会をすることになった。
景品はお菓子。

しかし、私は昔からビンゴするのが遅い方だった。町内の納涼祭などでもそうだったし、なんならビリになっていた方であった。だから、絶対に1位になれないだろうと心のどこかで諦めていた。しかし、私はどうしてもピザポテトが欲しい。世界で一番美味しいと思うものを他人にとられてたまるか。

係の人が0~9の数字が書かれたカード2枚をシャッフルして出た数字を読み上げるパターンである。数字がどんどん読み上げられていく中、私は焦燥を感じていた。

ないのである。
適当に私の紙に書いた数字に該当するものがないのである。
リーチになった人は席から立ちあがっていくシステムなので、読み上げられていくうちにリーチの人がどんどん増えていくと、ますます焦る。
やり場のない焦燥感を胸に、私は読み上げられた数字が書かれた黒板を見つめていた。  
頼む。ピザポテトだけは無事でいてくれ。
しかし、その切実な願いも虚しく散っていった。

2番目にビンゴになった人に、ピザポテトを取られたのだ。
ピザポテト......お前だけは私を信じると思っていた。
しかし、泣いてもじだんだを踏んでもこれが現実なのだ。どうにもならない。
ピザポテトの消失によって精神的ダメージを大幅にくらってしまった自分。運命やいかに。

しかし、ここから大逆転を見せる。
私の運気が上がってきたのか、私の紙に書いた数字が当たるようになってきた。なんならリーチまで登り詰めた。
32が出ればビンゴ。私は張り詰めた気持ちで読み上げられる数字を聞いていた。
そして、時は一瞬だった。「32」と言われた瞬間、私の体は勝手に飛び跳ねた。印をつけるボールペンを持つ手が震えている。
4等賞。
町内会の納涼祭でビンゴになることが一生なかったであろうこの私が、早い段階でビンゴまで上り詰めたのである。私は今までに感じたことのない喜びに包まれていた。

景品には、ピザポテトはなかったが、私がピザポテトの次に好きなじゃがりことオレオが入っていたので、まぁよい。

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