舞台「蜘蛛の糸」

はじめに


2023/4/11〜16にオメガ東京にて開催された舞台「蜘蛛の糸」。友人が役者として出演するということでお誘いをもらい、大千穐楽を観劇してきました。
本日一緒に行った友(以下S)は初日も参加しており超絶考察を一晩で完成させていた(そして演出家さん含む多数の方から反応をもらい焦っていた)のですが、観劇後4時間弱Sと今回の舞台について語りあうという我ながら困惑する展開を開催しまして、せっかくなら私側の感想も纏めたいと思い初めてnoteにログインした次第です。
なお考察とネタバレ関係はSに全投の勢いで、私からの感想は主に演出面になります。
まあネタバレはもちろん入りますが大千穐楽後だからいいですよね!(すみません)

蜘蛛の糸、中学or高校の教科書でやったぶりでした。



大前提として(私について)


若干特殊(?)なので事前説明をいれておきます。
元々は文芸部や趣味で小説を書いていた文字書きです。大学の演劇部に友達がいたこともあり、演劇部の学内公演(部室棟の最上階に今回のオメガ東京のような舞台と座席がありました)は何度か見に行ってました。
またメジャーデビューはしてるけどそこまで売れてる!というわけではない推しバンド(音速ラインをよろしくお願いします。宣伝。)が下北沢や新宿の小さめな箱でライブを開催する際にはよく足を運んでいました。
現在は社会人をやりながら声優と二次元アイドルコンテンツのオタクをしています。コロナ禍になる前は結構な頻度で声優さんの朗読劇に参加しており、今回より少し広い程度の箱で地声で演技をするという場を何度も経験してきました。

ここまで読んだ方はなんとなく察したかもしれませんが、私は狭い箱で開催される「生音や振動が直に届くステージ」が大好きです。勿論豊洲PITとか中野サンプラザとかSSAとか東京ドームとか、そういう大きな箱で浴びるステージも最高ですが、マイクすら必要ないような狭い箱で繰り広げられる世界には魅了されることばかりです。
そんな私なりの感想を、拙いながら記しておきたいと思います。

Sと共にここの写真撮ってたらキャストさんが
「記念に写真撮りますか?」って聞いてくれました。
キャスト友人とSと私の3ショット、宝物です。

オメガ東京


いや会場としてめっちゃ好きです。

最後列という名の大きな箱なら実質最前列みたいな距離バグが起きるこの感じ。縦5列、横も8〜9列くらいでしたかね、どこの席でも舞台全体が見えやすいのが良い。強いていうなら最後列は天井の位置とか前の座席の高さと相まって見づらいところがありそうってくらい。普段このくらいの劇場だと後ろ2列めくらいに座って舞台の全体像を把握できる状態で観劇するんですが、今回は迷った末に下手側3列目にお邪魔しました。ここでも十分全体が見えました。
そして舞台。舞台なんだけど、客席からの高さが10センチもない。もちろん柵もカーテンも緞帳もないので、客席との距離感が近いにも程があるくらい近い。あと黒い床のどこか使い古された感じというか、いろんな劇団が使ってきたんだろうなと感じられたし、天井照明のゴツさもはっきり見えたし……いやここら辺で剣舞したら天井照明壊しそうだなとかいう思考がよぎってすみません。

あと余談ですが、Sから情報をもらって急遽発注して贈らせてもらった人生初の楽屋花が、楽屋じゃなくて階段のみんな通るところにがっつり飾られてて我ながらビビりました。もうちょい自立するやつにすれば良かったですね、次回から花贈る時の参考にします。

青谷さん宛なので青い花入れたかったけど時間がなく、
「青」山フラワーマーケットさんに頼りました。
いやしかしこんな形で届くとは思わなかったよ。

感想という名の好きだったポイント


殴り書き箇条書き順不同です。ご了承ください。
あとパンフ見ながら書きますがお名前の変換間違えたらすみません。

  • 開幕前に流れていたカランカランみたいなBGMが雰囲気出てて良かった。BGMも開幕に近づくにつれて少しずつ不穏になってる……?お釈迦さまを感じるカラカラ?チリンチリン?表現難しいけど、その音が謎の怖さを誘ってる感じがすごかった。

  • 剣詩舞未経験者なので最初の舞×2の説明があって割と本気で助かりました。

  • カンダタの最初の舞、木刀?が空を切る音が聞こえて思わず息を呑んだ。あと着地の振動が3列目でもはっきり感じられるのも小劇場ならではって感じ。あの木刀の長さで天井ぶつからずに舞えるの本当にプロ……!

  • 開幕、黒子たちが淡い光の中でひたすら歩いてるの、光も相まって顔が全く見えない、黒い雑踏が広がる感じで、さらに恐怖感煽られた。

  • Sに聞きましたが一番最初に黒子で語り部やった方、堂本さん?スタダの方なんですね?良いお声でした……(推しキャラ担当声優さんの所属事務所なので思わず反応してしまった)

  • 舞の時に使う扇、銀一色と銀+金/赤とか、場面によっての使い分けで一気にその空間の持つ意味が変わるの、純粋に美しかったです。血の池と針とか。あとどうやったらあんな対角線に上手く投げられるんですか??

  • 台詞も動きも少ないのに圧倒的存在感を誇る将校。わずかなその動きが美しすぎました。あとあの純白。綺麗。映えまくってた。

  • 剣詩舞チームとカンダタで人を斬り殺す場面、私の思い違いだったら申し訳ないが、カンダタは他の人より斬り方に躊躇いを感じるというか、刃ではなく峰を多く使ってる気が……?蜘蛛を殺さなかったシーンでは特に思った。あと銃で撃ち殺す時も溜めが結構長くて躊躇いを感じた(S曰く初日より溜めが伸びてたらしいけど、それでも溜めがあったことに変わり無いなら、ね)

  • 蜘蛛の糸が伸びてきた際、真横まで糸(ロープ)がやってきたが、その描写を最初からその糸ではなく真上にある小さなスポットライトに必死に手を伸ばすという形で表現してたの、本当に好きです。小劇場なのでその小さな光の点がすぐ届く先にある感じがより一層引き立てられてて美しかった。

  • 蜘蛛の糸の張り方、複雑でありながら綺麗にまとまるの、まさに芸術でした。あやとりの箒の要領っぽいよねーとSとは話しましたが、それをあの長さ大きさで再現できるの凄すぎる。青谷さん全力疾走お疲れ様です。

  • 将校が蜘蛛の糸を垂らす時に首吊りのような形にしたの、最後の糸が切れるシーンで伏線回収してきたか……!となった。原作描写だとブチっと切れる感じだけど、その残酷さは緩和されてたかな、結び目が解けることで綺麗に「切れる」表現。首吊りという考察面からすると苦しくなるところもあるけど、あの場面で下手にハサミや刀で切断する描写がなくてホッとしてた。

  • どこの台詞のところか忘れたけど、下手から糸が伸びてきて、黒子さん→真ん中に立つカンダタ→黒子さん→上手って流れで張られてるシーン、めちゃくちゃ糸の張り方綺麗で好きだった。全体的に糸の張り方は目を見張るものがあったけど、個人的にここがダントツで印象に残ってる。

  • 個人的には杉山さんの立ち姿がすごく美しくて好きでした。

  • 最後の蓮池を将校が離れる際「悲しそうな顔をして」という地の文が読み上げられる中将校の表情は背を向けていて全く見えないの、思わず「うわうっま」と言いかけました。見えない方が解釈一致というか解釈膨らむというか……

  • アフタートークのわちゃわちゃ感が「本当に素敵な座組だな、今後も応援したいな」と思わせてくれるようなアットホーム感と楽しさに溢れていました。こういう劇団が好きなんです。

  • 終演後あそこまでキャストが近くに来るなんて思ってなかった(真顔)。齋藤さんお話ししていただきありがとうございました!



『舞台』


今回個人的に一番印象に残ったこと。
話が進んでいく中で「ああ、これは演劇であって演劇でない、剣詩舞であって剣詩舞でない、本物の『舞台』だ」と感じました。演劇としての面ももちろんあるし、剣詩舞としての面ももちろんある。どちらの面もありながらそのどちらとも言い難い場面が多々ある。境界線が解けて複雑に結び絡み合っているよう。それは今まで感じたことのない不思議な空間だった。
感情を露わに、足音と道具と舞と言葉と台詞とダンスと表情を駆使し、あの狭い空間を「蜘蛛の糸」という作品の新たな世界観を舞い示すための台(ステージ)として観客を魅了させてきた。
それはもう、今まで見てきたどの演劇とも違う、「舞台」という言葉はこういう作品のためにあるのではないかと思ってしまうほど。
一度しか観劇しなかった自分が勿体無い、と、ここまで思わされたのは本当に久しぶりだった。


終わりに


普段ならTwitterでタグをつけて5ツイートくらいに分けて感想を呟いたりする程度なのだが、久しぶりの小劇場での舞台だった上に初日に見たSの興奮具合、友人の初舞台、いろんな想いが混ざり合い、初めてnoteというものを使用させてもらった。口調すら統一できない勢いで書かせてもらったので読みにくいかと思いますが、ここまでのものを与えてくれる舞台に出会えたことに最大級の感謝を。

改めまして舞台「蜘蛛の糸」、11公演お疲れ様でした。
BOWの皆様、役者・剣詩舞スーパーチームの皆様、この公演に関わってくれた全ての皆様、本当にありがとうございました。またいつか、皆様の作り上げる『舞台』に触れられますように。

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