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富士山麓電気鉄道への譲渡車は?


2024年度中の車両更新が明らかに

富士山麓電気鉄道 安全報告書 2024
設備投資額 2024年度(計画)安全投資の内訳
(https://www.fujikyu-railway.jp/pdf/anzen2024.pdf)

2024年8月13日に公開された「富士山麓電気鉄道 安全報告書 2024」の「設備投資額 2024年度(計画)安全投資の内訳」に「車両更新等」の記述が確認されたため、6000系 6702F(元205系3000番台 ハエ81編成)以来、5年ぶりに車両更新を実施することが明らかになりました。

また、鉄道車両工業(2023年10月号)にて、2024年度に富士急行で車両生産(新車の製造)があるとの記述が無かったことから、中古車と見て確定的な情勢です。


現行車両の顔触れ

|富士山麓電気鉄道(富士急行線)の既存車両|
┆普通車┆
・1000形(←京王5000系):2連1本
・1200形(←京王5000系):2連1本

・6000系(←JR東日本 205系):3連7本

┆特急車┆
・8000系(←小田急 RSE):3連1本
・8500系(←JR東海 371系):3連1本

※括弧内は改造元の形式名

今回の置き換え対象は、1000形・1200形(←京王5000系)各2連1本と予想されます。かつては主力車両として活躍していましたが、6000系(←205系)の導入により、2012年から徐々に置き換えが進められていました。

富士急1000形 1001F
(画像はWikipediaコモンズより)
富士急1200形 1205F「富士登山電車」
(画像はWikipediaコモンズより)

現在も残っているのは、1000形 1001F(京王色)・1200形 1205F(快速「富士登山電車」)の1本ずつです。2019年以降は6000系の導入は行われず、5年間に渡って残り続けていました。


譲渡車の候補

① 205系1100番台(3連2本、JR東日本)

205系1100番台(ナハT15編成)
現在は中原車両センターに疎開中

205系の中で既に余剰になっているのは、205系1100番台(3連2本、ナハT15・T17編成)です。鶴見線用の車両でしたが、2023年12月にE131系1000番台に置き換えられ、他の編成が郡山へと回送されて廃車解体となる中、この2本はなぜか約8ヶ月間、中原・国府津の車両基地を右往左往する日々が続いています。これを譲渡に向けた動きと捉えることもできそうです。

同じ205系&1000形・1200形の残存数(2本)と一致するため、有力候補とされていますが、6000系と異なる点も存在しています。

|205系1100番台 ↔ 6000系で異なる点|
① 機器構成
6000(205)系:クハ204+モハ204+クモハ205(種車)
205系1100番台:クモハ204+モハ205+クハ205

② 補助電源装置
6000(205)系:MG
205系1100番台:SIV

205系(6000系)自体、車齢40年を迎えようとしている老朽車で、近い将来に置き換えを迫られる点を踏まえると、今から仕様を増やすことはハイリスク・ローリターンです。


② 211系(3連5本、JR東海)

211系(東海車)

211系は、205系の近郊型で、現在は315系の導入によって、JR東海の静岡地区で置き換えが進んでいます。JR東海の211系は(JR東日本車とは異なり)DC-DCコンバータを採用していますが、富士急では既に8500系(←371系)でDC-DCコンバータの整備歴があり、他社と比較すると導入のハードルは低いです。

三岐線用車両譲受について
(https://sangirail.co.jp/files/211kei.pdf)

JR東海の211系は、三岐鉄道が3連10本の譲受を既に済ませており、既存の元西武車を全て置き換えるほか、予備車を2本確保しているため10年程度は活躍させるようです。

実は、富士急は元々「205系ではなく211系を希望していた」という過去があります。しかし、田町車の付属編成の新潟地区への転用中止等の計画変更にも振り回され、結果的に205系が富士急に手渡されました。田町車の付属編成は解体されたものの、それ以外のJR東日本の211系は(長野車の6連以外は)延命工事を受けて向こう数年は続投する見込みです。

あくまで211系は205系とは別形式であり、富士急が買い取った場合も形式を分ける必要がありますが、205系と同年代の車両でこちらも先は長くありません。車種統一を成し遂げた三岐鉄道とは車両事情も懐事情も異なりそうで、今後数年に渡って余計な手間を増やすことになりそうです。


③ 70-000形(10連8本、東京臨海高速鉄道)

東臨70-000形

70-000形は、209系(JR東日本)ベースのVVVF車で、車齢も22〜29年と若く、内装や床下機器の更新も行われていて状態の良い車両です。

りんかい線に新型車両71-000形を導入します
(https://www.twr.co.jp/Portals/0/resources/info/2023/20231106_information.pdf)

しかし、2025年度下期〜2027年度上期にかけて、71-000形に置き換えられる予定となっています。それ以前から新型車両導入の話は上がっていて、状態の良い70-000形の今後を疑問視する鉄道ファンも数多く居ました。

そして、2023年6月。乗りものニュースの記事にて「他社への譲渡」を含めて様々な可能性を検討するとの記述が確認され、11月の記事では改めて「他事業者への譲渡」も含めたリユースの方法を検討するとされました。

筑肥線(筑前前原〜西唐津)用 103系1500番台
(画像はWikipediaコモンズより)

70-000形の譲渡が発生するのは確定的で、複数の事業者への譲渡が見込まれそうです。一部媒体では、JR九州(筑肥線・筑前前原〜西唐津)への譲渡も噂されています。

伊豆急3000系(画像はWikipediaコモンズより)

その反面、房総地区の209系2100番台を譲受し、3000系(アロハ電車)として運行している、伊豆急行も有力視されていますが、70-000形に改造を施すよりは、209系2100番台の捻出を待った方が効果的でしょう。

一方で、20m車が入線できる中小私鉄では、状態の良さを買い、例え先頭車化改造を強いられても購入に踏み切る会社が現れそうです。仮に富士山麓電気鉄道が、1000形だけでなく6000系も含めて、VVVF車への一斉置き換えを目指しているのであれば、70-000形の大量購入に踏み切る可能性も十分にあり得ると思います。

東京臨海高速鉄道 第33期 有価証券報告書
(https://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/ednr/20230628/S100R8AT/20230628S100R8AT.pdf)

置き換える71-000形は、2025年度下期にデビューし、10連4本を2026年3月までに導入する予定です。

また、J-TREC新津事業所にて、71-000形の前面オオイが目撃されています。70-000形の予備は2本ですが、仮に年内に1本目が落成し、かつ70-000形に年度内で譲渡の予定があるのであれば、今年度中に捻出すること自体はできるかもしれません。

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