大らかな心を生み出す渾身の秘策【#22】

私には家がありません。愛車とともに毎日移動を続けています。

いつも旅ということは、旅の同伴者たちとは常にいつも一緒ということです。一般的に家族の構成員はそれぞれの生活があるため、１日のうち数時間は別々に過ごします。しかし恐ろしいことに、我が家はいつもいつも一緒にいるわけです。

これは結構大変なことです。例えば子どもとの関係でいえば、どんな親でも少し子育てから離れたいタイミングはあると思います。特に私はひとりの時間が必要なタイプの人間です。
（ひょっとしたら、子どもにとっても同じかもしれません）

物理的な距離を取れない以上、なんとか工夫してお互いに大らかに過ごす必要があります。

そこで編み出した合言葉があります。

人間らしくてかわいい

これです。人間らしくてかわいい。悪気はなくともついしてしまう、相手のこまった行動に対して使います。

一番言われるのは、実は私です。私には少々特徴的なクシャミをする性質があり、どうやらはたから聞くとだいぶ可笑しいらしいのです。

まわりの人々曰く、何か集中して読書や仕事をしている時にこのクシャミを聞くと、気が抜けてしまいご迷惑とのこと。

合言葉の使い方としてはこうです。

例１）
クシャミが聞こえる
↓
人間らしくてかわいいね！
（元気いっぱいな感じで）

応用すると、以下のようになります。

例２）
例えば楽しい場所に行ってはしゃぎ過ぎ、少しうるさくしてしまった息子の場合

うるさくする
↓
人間らしくてかわいいね～
落ち着いてね〜（軽くたしなめる）

例３）
おやつが食べたくて仕方ない息子、しかし取り合わない母に不満をのたまう
↓
人間らしくてかわいいね～
でもおやつは昨日食べたから、また今度（ゆるく、しかしぴしゃっという）

という感じです。

悪気はないのです、クシャミにしてもはしゃいでしまうのも、おやつを食べたくなってしまうのも。
（三大欲求的な欲については特に）
おやつのくだりなんかはしょうもないのですが、人間らしくてかわいいね、と言っているうちに、なんだか可愛く思えてくるから不思議です。コトダマというやつの仕業かもしれません。

いつも大らかに軽く言える場面ばかりではありませんが、ひとまず平和に旅は続いています。

---

（937words）
@Hayabusa,Tottori