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効かなかった全身麻酔での意識の旅

私には現在5人の子供がいますが
実は6人目も授かっていました
産婦人科の先生はよく着床したねと
驚いておりました
高齢になると確率が下がるそうなのです

しかし喜びも束の間で
やはり成長する事はなく
お腹の中で静かに息を引き取りました

そうなると堕胎手術をすることになります
日程を決め手術の当日
全身麻酔をかけられました
遠のく意識の中このまま気を失うのかと
思ったのですが、なんと意識が
遠のく事はなくかすかに残ったままに

なんていうんでしょうか
景色がまるで砂時計の砂が落ちるように
粒子化し私はその中の一粒となり
他の粒子と共に流れていくのです
様々な形に姿を変えながら
どんどん流れていく
自分は宇宙の中の小さな一部でしかないんだ
何故かそんな事を思いながら流れていく

そんな砂が流れるような景色には
ちゃんと色もある
様々な色、形に姿を変えながら流れ続けると
それまでは明るかった景色が
突然暗くなってくる
それと同時に息ができないほどの
苦しみがやってきました
押し潰される!そんな苦しみが
しばらく続きます
しばらく押し潰される様な苦しみが
続いた後にようやく明るい色が見えてきて
私の思考がひたすら
"生きる!生きる!"
そう繰り返していました
"生きる!生きる!"
すると景色の中に花が咲き始めました
滝もできその中を流れていきます
もちろん砂が動きながら
形作っている世界です

とても明るい華やかな世界を
流れていくうちにだんだんその粒子が
見たことのあるもはや懐かしさを覚える様な
感覚で私の身体に形作られてきたのです


ようやく呼吸も戻り大きく息をし
"戻ってきたぁ"
その一言だけを発することができました
ようやく砂の粒子から私自身に
戻ったのです

そこからはまた意識は少し薄れ
私の身体が運ばれてるのが分かりました
おそらく手術台からベッドに
移動されたのだと思うのですが
私にはその景色までは見えない

少しすると景色が少しずつ見えるように
なってきたのですが
その瞬間は自分が何処にいるのか
分からなくて
何故かまるで宇宙船かなにかの中にいて
何かの実験をする部屋にいる
そんな風に思っていて
見える景色も白っぽく光っているのです
何処にいるのか何をされてるのかが
理解できないその時間は恐怖の時間でした

だんだんその白っぽく光ってる景色に
色がついてきて形ができてくると
それが棚であることがわかり
看護婦さんの声も聞こえる様になりました
でもまだ話す事はできず
うなずいて答えるのが精一杯でした

看護婦さんも先生も
私の意識がある事にかなり驚いていました
まだ麻酔から覚めるには早すぎた様です
でも実際は私はずっと意識が
あったのですけどね

やがて何もかもが元に戻り
私は無事に帰ることができましたが
あの不思議な砂の世界の中でもしあの時
"生きる!生きる!"
と思わなかったらどうなっていたのか…
そう思い返すと恐ろしいと思いました

どうやら私は "生かされた" 様です
生かされたことに感謝して
生きてゆかねばです…

それともう一つ不思議なことは
何故あんなにも宇宙を感じたのか…
それは未だに謎です

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