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MP3化するレコードを考える

   最近アナログ・レコードの音源をMP3化するのに使うケーブルを買おうと思って、手持ちのレコードから最初に何をMP3化するかを考えてみました。
   目的はデータ化して携帯プレイヤーに入れることなので、既にCD化されているもの、特に自分でもCDを持っているものは対象外。CD化されていなくてもデータDL版なら販売されているものは手間や音質面から劣るのでこれらも除外。2010年以降の新譜はフィジカルが出ていなくても音源DLが可能なものが殆どなので、最初から対象外になってしまいました。
 その上で自分が好きなもの、外出時にも聴きたいと思うほどお気に入りの曲となると意外なほど少なくなりました。結果としてアルバムはCD化されているけどこちらはデジタル化されていない12インチ・シングルの曲、また12インチでもCD化の時にボーナス・トラックで追加されるようなことの少ないニッチなジャンル、マイナーなアーティストの音源ばかりになってしまった…カリブ~ラテン系と12インチ・シングルのリリースが盛んだった'80年代のニュー・ウェイヴ系が中心です。


ジャスト・アイス"Na Touch Da Just"(12")(1988)
  '80年代後半から'90年代にかけて活躍したブロンクス出身のラッパー。この曲は当時のダンスホール・レゲエの人気リディムが一分ずつぐらいで次々に替わっていく上をダミ声でラップしていくもの。アルバム・ヴァージョンは2つ目のリディムで強引にフェイド・アウトしてしまうが、オリジナルは4つ目まである。真っ先に(MP3化の)候補として思い浮かんだのが何故かこの曲でした。



P.J.ラボイ"Baya Latinos"(12")(1979)
  全編スペイン語でしゃべる最初期のラテン・ラップ。主役のPJ・ラボイはこのシングル一枚のみで詳細不明、プロデュースのダグ・キングはポップス~ソウル畑の人で、本格的なヒップホップというよりディスコ系のトラックにコンガ等のラテン・パーカッションを加え、スペイン語のしゃべり(韻は踏んでない)をのせてみました…程度のポップなつくりだが、「ラッパーズ・ディライト」のヒットと同年に早々とこんな曲が作られていたことに驚く。


サイモン・トッピング"Prospect Park"(12")(1985)
  UKのニュー・ウェイヴ系グループ、ア・サートゥン・レイシオ(ACR)でトランペット/ヴォーカルを担当していた人物。ソロ名義では唯一になるこのシングルは、ACRとは異なるかなり本格的なラテン・ジャズ。マチートあたりのホンモノと並べてかけてもそれほど違和感のないいい出来で、それ故にかえって話題にならなかった(?)。


スティーヴ・ワシントン"Like A Shot"(LP)(1984)
  オハイオ出身のファンク・バンド、スレイヴのメンバーだったトランペッター/プロデューサー。グループ脱退後は奥方のシーラと組んだシヴィル・アタックで活動したり、この後はP-ファンク周辺に関わったりするのだが、こちらは唯一のソロ・アルバム。スレイヴ~オーラ直系のヘヴィな打ち込みファンクだが、ややキャッチーさに欠けるのが難か。レコード・デビュー前のデイム・ファンク(Dam-Funk)が、LAのブギー好きDJとして「Wax Poetics」誌に登場した際にお気に入りの一枚として紹介したアルバムでもあるのですが…


ライオット"Welcome To The World Of Riot"(LP)(1974)
'70年代にモータウン周辺で活躍したソングライター/プロデューサー・コンビのニック・ゼッシズ&ディノ・フェカリスが結成させたラテン・ロック・バンド。メンバーも元エル・チカーノのジョン・デルーナ、カルデラのメンバーだったエクトル・アンデラーデ等実力者揃いで、レア・アース風の白人ロック系からトリッピーなインスト・ラテン、ヘヴィ・ファンク、バラードまで多彩な曲を聴かせる。



ウォルフギャング・プレス"Mama"(12")(1991)
  4ADレーベル所属のロック系グループ。今作は4枚目のアルバム"Queer"の初回プレス分にオマケとして付いていた12インチで、アルバム収録曲の"Mama Told Me Not To Come"のカヴァー(ランディ・ニューマン作)をレーベル・メイトのマーティン・ヤングが大胆に編集&リミックスしたもの。原曲のサビ部分を残してその前後を大幅に拡大し、ゴリゴリのベースと高揚感ある女性コーラスを強調したヘヴィなファンク・ロックに生まれ変わらせている。



キング・エリソン"Life"(7")(1972)
  バハマのナッソーで生まれ、その後LAに移りスタジオ・ミュージシャンとして活躍、ソウル~ジャズ~ロック畑まで幅広くレコーディングに参加しているパーカッショニスト。自身のソロ名義の曲も多数発表しているが、今作は'72年にUAからリリースした比較的初期のナンバー。彼のいちばん得意とするカリプソ路線の曲で、中盤にはスティール・ドラムのソロも入って盛り上がる。ちょっとヤケッパチなヴォーカル、どこか雑な荒々しさもいい味。



E.U."E.U. Live:2 Places At The Same Time"(LP)(1986)

  今やすっかり「過去の遺物」的な扱いしか受けなくなってしまったワシントンDCのゴーゴー・ミュージックですが、ときどき無性に聴きたくなります。このアルバムも中古屋で500円ぐらいで買ったものですが、スライの"If You Want Me To Stay"のフレーズからふくらませていくインストB-2が好きです。



イクォータブルス"African Soca"(12")(1978?)
  '80年前後にNYで活躍したソカ(カリプソ)のアレンジャー、フランキー・マッキントッシュの子飼いのグループ。アフリカンと銘打っている部分はパーカッションが大きめにミックスされている程度で、基本的にはオーソドックスなノリノリのソカです。久々に聴いてみたら思ったほどカッコ良くなかったけど、CD化等はあり得ないジャンルだし、まあいいか…



オレンジ・ジュース"Flesh Of My Flesh"(12")(1983)
  エドウィン・コリンズを中心としたグラスゴー出身のロック・グループ。ネオアコの代表的存在のひとつのように語られることが多いが、この頃はデニス・ボーヴェルをプロデュース/ミックスに迎えてダブ的な音処理を聴かせる曲も多い。この曲はセカンド・アルバムからのシングルだが、デニスがリミックスしてドラムやチャイムのような効果音を強調し、テープ逆回転等の加工で大幅に生まれ変わっている。



 前回までの2ステップ系に関しては、曲単位までバラすとかなりの割合でCD化されているので、ほとんど候補には入りませんでした。今回はウォーターズのシングル"What's On Your Mind"とアイヴィの"Tell Me"、UKソウルの項で取り上げたダイアナ・ブラウンのシングルをMP3化することに。


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