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2 STEP SOUL 17:ランダム編

パート13までのレコード紹介は2020年の秋ごろには原稿を書き上げてあったので、それ以降に入手した盤をランダムに紹介していきます。


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リロイ・ハトソン"Love Oh Love"(1973)
2ステップの曲:"So In Love With You"

 インプレッションズから独立後初のアルバムで、ハトソンのソロ作中最もオーソドックスなソウル感覚漂う内容。ひんやりしたストリングスとシャープなリズム・ギターが絡む"So In Love~"が心地よい。個人的にもA面4曲は以前から愛聴していました。


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リロイ・ハトソン"Hutson"(1975)
2ステップの曲:"Lucky Fellow"

 こちらは特に日本でも人気の高いソロ3作め。ソフト・ロックなニュー・ソウル、といった印象の"It's Different"も良いが、白眉はハードボイルドなジャズ・ファンク調の"Lucky Fellow"。


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カーティス・メイフィールド"Never Say You Can't Survive"(1977)
2ステップの曲:"Just Want To Be With You"

 シカゴ・ソウルの親分も1枚ぐらいは取り上げねば、ということでこちらを。'70年代前半のファンキーなサウンド+社会派リリックのスタイルから、ラヴ・ソング中心の穏やかな作風にシフトしてからのアルバムで、"Just Want To Be~"もリラックスした演奏に愛をささやくヴォーカルが心地よい。

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カール・アンダーソン"Absence With Out Love"(1982)
2ステップの曲:"Buttercup"

 セカンド・イーグルというロック・バンドで活動した後、ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」でのパフォーマンスが認められてCBSと契約したシンガー。'80年代後半以降のフュージョン寄りポップ・ヴォーカル的な作品で知られているが、リチャード・ルドルフがプロデュースしたこのデビュー作はソウル色も強い。"Buttercup"はもともとスティーヴィ・ワンダーがジャクソン5に提供した曲だが、原曲になかったカリブ風味を加えて華やかに仕上げ、イギリスではヒットした。


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レオン・ウェア"Musical Massage"(1976)
2ステップの曲:"Share Your Love"

 以前"Rockin' You Eternally"を紹介済みだが、一般的な代表作といえばこちらか。マーヴィン・ゲイ"I Want You"をプロデュースした直後のアルバムで、同作に通ずるやるせなくメロウな感触にあふれている。"Share Your Love"はあまり話題にならない曲だが、循環するベース・ラインがステッパー好みな一曲。


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クリスタル・ウィンズ"First Flight"(1982)
2ステップの曲:"Love Ain't Easy"

 '70年代に2枚のアルバムを残したシカゴのファンク・バンド、ラスプーチンズ・スタッシュのメンバーだった二人が新たに男性シンガーを加えて結成したグループ。ラスプーチンズ~の頃とは大きく違い、AOR的にも思える爽やかな演奏にファルセットが絡む心地よいソフト・ソウル。


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モデュレイションズ"It's Rough Out Here"(1975)
2ステップの曲:"It's Rough Out Here"

 ストリート感あふれるジャケ写が有名なフィラデルフィアのヴォーカル・グループ。アルバム・タイトル曲はフィリー・ソウルの名曲群のおいしいとこ取りで作られたようなカッコイイ曲。メンバーのうちの2人、ウィリー・レスターとロドニー・ブラウンは'80年代以降はNYのダンス・ミュージック系プロデューサーとして活躍。


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フリーダム"Changes Of Time"(1981)
2ステップの曲:"I Give You Love"

 後にサンプリングねたとして多用される"Get Up And Dance"(本作には未収録)で知られる南部のファンク・バンド。ジャケ写のイメージ通りのディスコ・ファンク調が中心だが、"I Give You Love"は夕暮れ時が似合いそうな心地よいAOR風ミディアム。


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ズィンガラ"Zingara"(1981)
2ステップの曲:"You Sho Know How To Love Me"

 メジャー・デビュー前のジェイムズ・イングラムが参加していたといわれる(クレジットはなし)謎のグループ唯一のアルバム。ラモン・ドジャーのプロデュースで、オーソドックスなソウル感覚に'80年代前半的なアレンジがうまくミックスされている。


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トム・ブロック"I Love You More And More"(1974)
2ステップの曲:"I Love You More And More"

 バリー・ホワイト~ラヴ・アンリミテッド周辺に多数の曲を提供したソングライター唯一のソロ・アルバム。親分バリーのヌメヌメ低音ヴォーカルとは違い、ダニー・ハサウェイに通ずる中域の声質。"I Love You More~"はバリーの"I'm Gonna Love You Just A Little More Baby"タイプの緊張感あるトラックがカッコイイ一曲。


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タタ・ヴェガ"Givin' All My Love"(1980)
2ステップの曲:"You Better Watch Out"

 NY生まれだが十代の頃にLAに移住、いくつかのバンドでの活動を経てモータウンと契約した女性シンガー。どちらかというとディスコ/ガラージ方面で評価されているタイプで、実際B4"(I've Got My) Second Wind"fはセオ・パリッシュのお気に入りだそうだが、2ステップで人気なのは"You Better Watch Out"。グウェン・オウエンスのノーザン・ソウルをレゲエ・アレンジでカヴァーした。


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ギャビン・クリストファー"Gavin Christopher"(1979)
2ステップの曲:"We'll Always Be Together"

 シカゴ出身でアマチュア時代はチャカ・カーン等とバンド活動し、その後ルーファス周辺のソングライターとして頭角を現してソロ・デビューしたシンガー。レーベルがRSOということもありディスコ系の曲も多いのだが、"We'll Always Be Together"は夕暮れ時が似合いそうなアーバンなバラード。


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チャック・ジャクソン"Through All Times"(1973)
2ステップの曲:"Through All Times"

 ドゥワップ・グループを経て'60年代初頭からソロで活動するヴェテラン・シンガー。'60年代はセプター系列のワンド・レーベルに所属、ということからわかるようにややポピュラー・ヴォーカル的な嗜好もある人だが、'73年の本作はマイケル・オマーティアンのプロデュースによるプレ・AOR的な感触。アルバム・タイトル曲はバリー・ホワイト"I'm Gonna Love You Just A Little More Baby"を翻案したようなファンキー寄りの音。


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ボビー・ブルーム"Livin' For The Beat"(1984)
2ステップの曲:"Let It Go"

 NY出身のジャズ・ギタリスト。ソニー・ロリンズのライヴ時のサポートを長年つとめてきたことでも知られる。セカンド・ソロになる本作はジョージ・ベンソンよろしくヴォーカル・ナンバーも多数含まれるR&B寄りの内容で、"Let It Go"はブヨブヨのシンセ・ベースとヴォーカル/ギターの絡みが心地よい曲。デヅ・パークスがオムニバス"Rare"で紹介して以降ロンドンではポビュラーになった。


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ジーン・ハリス"Astralsignal"(1974)
2ステップの曲:"Losalamitoslatinfunklovesong"

'50年代後半からスリー・サウンズのメンバーとして活躍したジャズ・ピアニスト。ソロ名義に転じた'70年代初頭ごろの作品もUKジャズ・ファンク・シーンで人気が高いそうだが、ジェリー・ピータースのプロデュースで同時期のスカイ・ハイ・プロダクションやハービー・ハンコックあたりの音に接近した今作も素晴らしい。品よくかつ黒さもたたえた心地よさ。""Losalamitoslatinfunk~"はラテン風味とサイレンのような効果音が印象的。


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3ピーシズ"Vibes Of Truth"(1975)
2ステップの曲:"If Only I Could Prove To You"

 ドナルド・バードがプロデュースを手掛けたワシントンDC出身のジャズ・ファンク・グループ。同時期のスカイ・ハイ・プロダクションの音に通じる音だが、コーラスやストリングスはやや抑えめでファンク寄り。2ステップで人気の"If Only I Could Prove To You"はストリングスも華やかなミディアムですが。


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リチャード・エヴァンス"Richard Evans"(1979)
2ステップの曲:"Funky Day"

アラバマ出身でもともとはベーシストとして活動していたが、チェス・レーベルと契約してからはアレンジャー/プロデューサーに転向しマリーナ・ショウやソウルフル・ストリングス等を数多く手掛けた人物。拠点をLAに移した'70年代後半以降はポップス~フュージョン系を中心に多数の作品に係わるようになり、今作はその時期の数少ないソロ名義のアルバム。えぐいジャケ写とは対照的に内容は上品なポップ・フュージョンで、"Funky Day"はリラックスした音に和める。UKジャズ・ファンク界では"Burning Spear"や"Capricorn Rising"も人気だとか。


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プレジャー"Future Now"(1979)
2ステップの曲:"Thoughts Of Old Flames"

 ギタリスト/シンガーのマーロン・マクレインを中心に、ウェイン・ヘンダーソンのアット・ホーム・プロダクション周辺で'70年代後半に活動したグループ。フュージョン寄りのファンクに時折マーロンのロック的なギターが炸裂、といった曲調が中心だが、"Thoughts Of Old Flames"はイントロのファルセットから雰囲気を作るE,W&F風のメロウなミディアム・ナンバー。


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ジョン&アーサー・シムズ"John & Arthur Simms"(1980)
2ステップの曲:"Love Will Getcha'"

 ボルチモア出身でソフトーンズのメンバーを兄に持つという兄弟デュオ。'80年という微妙な時期、アクのないヴォーカルでどうにも捉えどころのない内容だが、"Love Will Getcha'"はソフトな持ち味がいい方向に出たAORソウル。現在はフランス在住でガブリエル・ヤレド等のレコーディングに参加。


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MCB"MCB"(1983)
2ステップの曲:"Time Is Right"

キャメオのメンバーだったアーロン・ミルズとジェリル・ブライトによるグループ。キャメオからアクを抜いた爽やかなファンク/ディスコな曲が中心だが、"Time Is Right"は細かく刻まれるビートとベース/ギターのアンサンブルが面白いミディアム・ナンバー。


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エディ・ケンドリックス"Slick"(1977)
2ステップの曲:"Intimate Friends"

 全盛期のテンプテイションズでリードをつとめたファルセットのシンガー。今作はソロに転じて9枚目のアルバムで、やや人気も下降気味の時期の作品だが、イントロのエレピが印象的な"Intimate Friends"はヒットした。この曲は後にヒップホップ系のメロウ・ナンバーでもねたとしても多用されることになる。


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デレゲイション"Delegation II"(1981)
2ステップの曲:"In Love’s Time"

 プロデューサー/ソングライターのケン・ゴールドが面倒を見ていたUKのヴォーカル・グループ。甘々な"Oh Honey(本作には未収録)"で知られているが、"In Love’s Time"はEW&F路線のアーバンなバラード。


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ウィリー・ビーバー・ヘイル"Beaver Fever"(1980)
2ステップの曲:"Groove-On"

 芸名から「リトル」が取れ、本名の間のミドル・ネームになってしまったリトル・ビーヴァー、通算5枚目のアルバム。トレード・マークだったリズム・ボックスを封印して。いくらか洒落た音に模様替えされている。"Groove On"は女性コーラス隊とのコール・アンド・レスポンスも微笑ましい、サラッとしたパーティ・チューン。


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プリンス・フィリップ・ミッチェル"Make It Good"(1978)
2ステップの曲:"Make It Good"

 '60年代からドゥワップ・グループで活動したのちソロに転向、複数のレーベルからシングルを発表するがヒットに恵まれず、'77年にノーマン・コナーズのアルバムにゲスト参加して注目されることになったシンガー。今作はソロ名義では初のフル・アルバムで、LAの腕利きミュージシャンを多数起用し、作曲家としても非凡な才能を持つ人なので全編クオリティ高く仕上がっている。"Make It Good"はマーヴィン・ゲイを意識したと思しき心地よいミディアム・ナンバー。


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ニューモニクス"Rollin'"(1982)
2ステップの曲:"You Lied"

詳細不明だが、ヴォーカル・グループ好きからは人気の高いLAの4人組。'82年の作だが、打ち込み等は最小限に抑えてオーソドックスな音作りに徹している。"You Lied"はイントロから繰り返されるタメの効いたベース・ラインが気持ちよいミディアム・ナンバー。


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オージェイズ/モーメンツ"O'Jays Meet The Moments"(1974)
2ステップの曲:"Sugar,Sugar"

 '70年代にソウル/ブルース系でしばしば見られた「対決もの」。プロデュースやスタジオから見てモーメンツ側主導で作られたもののようだが、各々の曲が順に並んでいるだけで直接の競演はなし。"Sugar,Sugar"はエレピの粘っこい音色が印象的な、モーメンツにしてはファンキーな曲。


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デビー・テイラー"I Don't Wanna Leave You"(1975)
2ステップの曲:"I Don't Wanna Leave You"

アルバムは1枚しか発表していないが、パワフルなヴォーカルで評論家からも高い評価を受けているシンガー。今作は'75年にアリスタからリリースされたシングル・オンリー曲で、ドラマチックな演奏にデビーの熱唱が光る直球のバラード。B面の"Just Don't Pay"もUKでは人気が高く、何度か再発されている。


 当時ブリクストンにあったとあるレゲエ中心のレコード店では、「ソウル」の7インチ・コーナーでは↑のデビー・テイラーの曲と、↓の"Unwanted Company"、それにパート11で紹介済みのディー・エドワーズ"(I Can) Deal With That"の3枚だけをず~っとプッシュし続け、ロング・セラーになっていたとのこと。女性シンガーということ以外あまり共通項のない3曲ですが、イギリスでの「レゲエ側からのソウル観」からを考えるとなかなか興味深いセレクトです。


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ジーニー・レイノルズ"The Phones Been Jumping All Day"(1975)
2ステップの曲:"Unwanted Company"

パート5でセカンド・アルバムを紹介済みのデトロイトの女性シンガー。今作はそのセカンドの少し前にリリースされたシングル・オンリー曲。ゆったりしたシャッフル・ビートと抑えたブラス隊がいいウネリを作り出している。


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キャプレルズ"Dotty's Party / What You Need Baby"(1975)
2ステップの曲:"What You Need Baby"

'70年代前半にピッツバーグで活動していたヴォーカル・グループ。自身のレーベルBANOから5枚シングルを出したのみで詳細は不明の人たちだが、ミディアム・テンポの心地よいナンバー"What You Needf Baby"は'80年代後半にロンドンではリヴァイヴァルした。

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