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ファンキー・キングとキミとボクと大親分

   2ステップの記事はまだあと1回あるのですが、全く進んでいないので、間に小ネタを挟みます。最近買った邦楽の7インチ2種プラスαです。

中村ゆうじ Feat. Funky King "Funky King Part I"

ファンキー・キングは'80年代から活動するお笑い芸人/俳優の中村ゆうじ(現:中村有志)が'80年代後半に音楽活動を行っていた時に名乗っていたキャラクター。もともとはANB系で放送されていた深夜番組「AVガーデン」内で始まったもののようです。
 レーベルの紅白は小林克也氏がクラウン・レコード傘下に設立したところ、アレンジはヤン富田氏。プロデューサーのトウカイエ・ナオヤス氏は詳細不明ですが、マネジメントを行っていたユイ音楽工房の関係の方のようです。
 ファンキー・キングは名前からも想像出切るように、ファンク/ファンキーの帝王、ジェイムズ・ブラウンを強く意識したもの。当時の私はその前に放送されていた深夜のバラエティ番組「GOOD MORNING」や「プレイボーヤクラブ」で活躍していた中村氏が大好きだったのですが、同時にファンクにも入れ込んでいた時期でもあったので、「中村ゆうじがファンクを演る(実際JBが大好きらしい)!」と聞いた時点で期待度100%。発売日にイソイソと8cmシングル(最初はアナログ12インチが出ていたことを知らなかった…)を買い込んだことを覚えています。

 曲はJBの有名曲"Sex Machine"をベースに、マーヴァ・ホイットニーやJ.B.ズの関連曲のフレーズをいくつか織り込んで、そのトラックをバックに中村氏がJBばりに日本語や英語(ところどころデタラメ)でシャウトするもの。"Sex Machine"の有名フレーズ"Get Up!/Get On Up"が「ギロッポン!/広尾な」になってしまっているのをはじめ、当時の「ギョーカイ的な」フレーズも多数。後半にはゲストのいとうせいこう氏が「マック・ザ・ボビー」なるキャラに扮してダニー・レイばりにやりとりする部分も。終盤の「何時だと思ってんだ!!」の絶叫や「キイイイ~」「クウォォォ」と言葉にならない叫びを繰り返すくだりは、なかなかの狂気を感じさせます。

  MVは現在は映画監督としても活躍する中野裕之氏が担当。これを見て気に入ったテイ・トウワ氏がディー・ライト"Groove Is In The Heart"のビデオも依頼することになったとか。

 

  カップリングの"Go Go King"はジョン・マクラフリン"Honky-Tonk Haven"をメインのねたに使いつつ、ワシントンD.C.のゴーゴー・ミュージックの曲からのサンプルも挟みこんだトラックをバックに中村氏がシャウトするもの。トラックはカッコイイのですが、ヴォーカルが厚い音に埋もれてしまって今イチですね…"Honky-Tonk~"のネタ使いがかぶるリアル・ロクサーヌ'86年のヒット"Bang Zoom (Let's Go-Go)"を参考にしているような気もします。
  "Go Go King"は動画が見つからないので、ジョン・マクラフリンとゴーゴー・ミュージックの代表曲として"Pump Me Up"、それにリアル・ロクサーヌの動画を挙げておきます。

  忘れていましたが、今回の7インチはレコード・ストア・デイ2022の復刻アイテムのひとつとして4/22に発売されたもの。オリジナルはアナログは12インチでしか出ていなかったので、そこそこ貴重なものと言える、かな?  中村氏もお喜びのようです。
  久々に聴いていたら、JBネタを多用したテンション高い音楽ということで、同時期のハブリック・エネミーを思い出しました…

ウン十年の時を経て、3枚のシングルが全てアナログで揃った~っ。


鈴木蘭々"キミとボク"

   "キミとボク"はCX系のTV番組「ポンキッキーズ」のエンディング・テーマとして'98年にリリースされたシングル。
 この曲は、全く知りませんでした。この手の子ども向け番組は「カリキュラマシーン」あたりがリアルタイム世代の私なので…ポンキッキーズは平日に休みが取れた時に偶然何度か見たことがある程度かな…

 そんな存在だった曲を知ることになったのが、数年前にアマゾンでケニー・ランキンのアルバム"Because Of You"のレビューを読んでいて、とある方のレビューでこの曲についても触れられていたこと。"Because Of You"はケニーの過去の曲やジャズ系のスタンダードを高音質(レーベルのチェスキーは録音の良さも売りにしていた)で再禄した内容なのですが、収録曲の"Haven't We Met?"について「これが"キミとボク"の原曲(?)かぁ~曲全体の雰囲気がソックリなのだ」と指摘されていたのです。
 私も実はこの"Because Of You"で"Haven't We Met?"を知って、その後オリジナルのアルバム"Silver Morning"に収録されたヴァージョンを聴いてお気に入りの一曲になった口。ジャズ・ボサ風味の演奏にのせてケニーが優しく唄う軽やかなナンバーで、後半のエコーがかかったスキャットの部分には、とろけそうな心地よさがあります。

  

 さっそく"キミとボク"のほうもYouTubeで検索してみると、ボサ風味のギター、ジャズ・ワルツ的な曲調、終盤のスキャット等、構成はそっくりですね。ケニーの曲は終始サラリとして軽快なのに対し、こちらはパーカッションやストリングス、コーラス等も後半に加わってきたり、詞の内容や鈴木さんのヴォーカル等も含めてより普遍的なポップスらしい内容になっていると思います。作詞・作曲はEPO、アレンジは清水信之。

   とても気に入ったのですが、当時ソフトとして出回っていた8cmシングルはそこそこプレミア値がついていて、今いち乗り気になれず…この曲を収録したポンキッキーズのオムニバスCDは廉価で普通に買える状態なので、いずれは買うつもりでそのまま忘れていました。
 今年4月に雑誌の広告でこの曲が7インチ・アナログとしてリリースされることを知り、さっそくソニー・ミュージックのサイトで購入。完全生産限定だそうで2週間ほどで品切れになってしまったようですが、いいタイミングで入手出来ました。




"Grandmaster Flash ReAction Figure"(Super7)

  最後はグランドマスター・フラッシュのフィギュア(!)
  こちらはアメリカのスーパー7社が今年に入ってリリースしたもの。同社から出ている"ReAction"という3.75インチのシリーズ物のひとつで、ヒップホップ系では過去にラン-D.M.C.(3体)やノトーリアスB.I.G.、シザーフェイス(Czarface)等が出ています。
 ヒップホップ系のフィギュアは見かける度なんとなく気になってはいたものの、即買い!となるほど思い入れのある人が出ていなかったのですが、初めて聴いたヒップホップの曲がフラッシュ&フューリアス・ファイヴの"The Message"だった私にはこちらはうってつけでした。

  買った現物はブリスター・パックを開封していないのはおろか、お店で入れてくれたビニ袋すら外していないので、画像の大半はスーパー7のサイトから頂戴したものです。

左手はコスリ中を現した形に。ターンテーブルが付属していますが、一体成型でいいからフェーダー付きのミキサーも付けてほしかった。
ジャケット背面にはフラッシュのロゴも。でもこれ無しだとすごくフツーのオッサンにも見えてしまうという説も(笑

フィギュアだからなのか、ちょっと微笑んでいるような表情なのがそれらしくないというか、ヒップホップ的でないですね。フラッシュならスクラッチをバッチリきめてクールなドヤ顔している感じが良かった。

むかし買った「スター・ウォーズ」のザコキャラIG-88と無理矢理の共演。ロボット型宇宙人に拉致されて困り顔のフラッシュさん。


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