日本の借金は1000兆円どころではない!2500兆円だ!

 日本の借金は1000兆円位あって、これを国民皆で返していかなければならない。それには1人1兆円位返さなければならない。。。ってことを聞いたことありませんか?

 実はこれ間違ってます。主に額が。日本の借金はおおよそ2500兆円位あるので、国民一人当たりにすると2.5兆円位返さないといけない計算です。

 さてお国が言ってる額と弊記事で言う額になんで、ここまでの解離があるのでしょうか?

国が言ってる“国の借金”とは“国債”の事

 先ず、国が言ってる“国の借金”とは、“国債”の事を言っています。
 国債とは何かと言うと物凄く簡単に言うと確かに“国の借金”であってます。しかし、もう少し細かく言うと、“政府の借金”の事です。

 日本国債の残高は令和四年度の確定値で1043兆円あります。

 これを日本が払うべき借金だと国は主張しているわけですね。
 で、令和四年だと人口は約1.25億人います。

 従って、10430000億円/1.25億円ですので、国民一人当たり8344億円を返す計算になります。
 すごい額ですね。でも、弊記事ではこれが更に2.5倍になると言ってるわけです。

“国の借金”は国債だけではない

 さて、実は“国の借金”と言う広い言い方をした場合、“政府の借金”である国債だけでは済みません。

 ところで皆さんは日本銀行(日銀)って知ってるでしょうか?“銀行の銀行”なんて説明は聞いた事はあるかも知れません。
 日銀とは、“政府の下部組織“の1つで、日本におけるお金のやり取りを監督するのが仕事となります。

 この日銀の主な仕事の一つには“発券銀行としての業務”があります。
 お札をよく見て頂くと「日本銀行券」と書いてあるのが分かると思います。これは「この券は日本銀行が発券しました。」と、そのままの事実を示しています。
 しかし、日銀はなんでこんなものを発券しているのでしょう?
 それは、政府が日本銀行券と引き換えに、物を入手したり、民間企業に仕事をしてもらったり、人を雇ったりするためです。

 要すれば、日本銀行券とは
「これを持っている人には、書かれている額面の分だけ、その人に日銀は借りがあります。」
と、言う証明書なのです。

 こう言った性質から、日銀の貸借対照表では世の中に出回っているお金を「発行銀行券」として負債、詰まり借金として計上しています。

 さて、このお話の始めの方に、日銀とは、
“政府の下部組織の一つ”
と言うお話をしたかと思います。
 日銀は“認可法人”と言う形の歴とした民間企業です。株式も発行していて、これを民間人が入手することも不可能ではありません。要すれば、民間人でも日銀のオーナーになれるのですね。
 それでは、やっぱり政府の下部組織ではなく民間企業なのでは?と、思われるかも知れません。しかし、これでも政府の下部組織である理由が3つあります。

1.日銀が認可法人であること
 先ずは日銀が認可法人と言う企業形態だと言うことですね。
 認可法人とはなんぞや?と言うと、政府がある事業をしたい時に法律を作って、政府とは別の組織(別の会計、別の責任としたい時)として設立された法人の事です。
 似た様な物に特殊法人と独立行政法人と言う物がありますが、先ず特殊法人は完全に政府主導で設立されるものに対し、認可法人は民間人に設立を丸投げして、その人は作った後に政府の認可を受けると言う違いです。
 独立行政法人とは、政府内で進めていた企画や事業を政府から切り離して別の組織としたものです。特殊法人・認可法人との大きな違いは独立行政法人には政府は税制優遇や資金援助が義務付けられず、それ故に業務に際して政府から監督を受けたり、政府への報告義務がないと言う点です。
 逆に言うと、特殊法人・認可法人は政府からの税制優遇や資金援助が義務付けられていて、政府への報告義務があり、政府からの監督を受けなければならないのです。
 詰まり、認可法人とは政府が民間人に任せて作った会社で、政府の監督下にある会社だと思ってくれれば良いです。

2.役員の任命権が日銀にはない
 役員、詰まり組織の方針や目的のあれこれを決める人達ですが、これは日銀側で勝手に決められず、内閣の任命が必要になります。
 要すれば、内閣の意に反するような事をする人は日銀の役員にはいなく、基本的には内閣の方針に日銀の役員は従うと言うことです。
(日本銀行法第23条)

3.株式の過半数を政府が持つ事が決まっている
 日銀は株式を発行していて、それを我々も手に入れる事は不可能ではない事を先程お伝えしました。
 しかし、日銀の資本金は1億円と決まっており、この内5千5百万円以上を政府が出資しなければならないと言う事に決まっています。   
 日本銀行法では、出資者に経営に口を出せる権利を認めておりませんが、出資者が出資した企業の持ち主と言う事は変わりません。でも、過半数を政府が譲ることは有り得ないので、日銀の持ち主は必ず政府であると言えます。(日本銀行法第8条)

 さて、長々とではありますが、日銀が政府の下部組織である事をお話ししました。要すれば日銀は、政府が作って、政府が偉い人を決めて、政府が過半数を出資しているので、間違いなく政府の下部組織だと言えるわけです。
 ここまでで、お金(日本銀行券)が「日本銀行券を持っている人には、書かれている額面の分だけ、その人に日銀は借りがあります。」と言う証明書である事と、“日銀が政府の下部組織である”と言う事をお伝えしました。
 この二つからこう言う事が言えるでしょう。

「日本銀行券を持っている人には、書かれている額面の分だけ、その人に“国”は借りがあります。」

そう、実はお金とは国が持ってる人に“借り”がある事を証明する書類なのです。詰まる所、お金とは国の借用書の一つです。

お金は幾らあるのか?

 さて、前の項でお金が国の借用書である事をお話ししました。
 では、お金って幾らあるのでしょう?前の項で日銀の貸借対照表にお金は「発行銀行券」と計上されてることはお伝えしました。これは令和5年10月31日時点だと120兆8338億7689万3000円あるそうです。

 「発行銀行券」で計上された額と、国債を足しても2500兆円には全然届きませんよね?
 実は「発行銀行券」は“実際にお金を刷った分”しか計上していません。
 お金には“実際に刷られた分”と、“数字のみで存在している分”があります。そう、お金は実際に現金として出回っているよりも多くが“数字だけ”で存在しているのです。
 何故こんな事が可能かと言うと、銀行に預けている間は現金として存在していなくても、数字だけで管理が可能だからですね。
 これを預金と言います。
 預金は実際に現金として存在しなくても、通帳にはその事がしっかり書かれていますので、現金と同じく「書かれている額面の分だけ、その人に“国”は借りがあります。」と言う事の証明が可能です。
 詰まる所実際に現金として存在していない預金額も、国の借金だと言えます。
 では、預金額を含めたお金って幾らあるのでしょう?当然政府もこれを知りたいのです。お金は国の借金ですからね。
 実は預金って政府の意思とは関係なく、勝手に増えていってしまいます。
 何故かと言うと民間の銀行を含めた金融機関は、お金を貸しているからです。
 
貸しただけでは増えないのでは?と思われるかもしれませんが、、、皆さんはお金を貸す時には借用書を書くかと思います。
 さて、お金って国の借用書でしたよね?借用書には先ずそれだけで、お金になる可能性があります。この貸し手が借用書を受け取った時点で借用書はお金になってしまうのです。
 そして借り手が完済しきると、それが確定します。これを信用創造と言います。これが繰り返される事で、どんどんお金は増えていきます。
 この信用創造は国にとっては由々しき事態なのです。自分の借金がどんどん膨れ上がっていくのと同じですからね。
 なので日銀はこれをマネーストック統計と言う形で、現金や預金、その他借金の額を常に計っています。令和5年10月の時点ではこの額は2,115.4兆円です。(広義流動性) 

https://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms2310.pdf

じゃあ国債とマネーストックを足して、国債が1043兆円でマネーストックが2115.4兆円だから、3158.4兆円だ!。。。あれ?2500兆円より600兆円多い。。。?

それは“国の借金”じゃあない!

 実はマネーストック総額と国債の総額には、国の借金とは言えないものが入っています。
 先ず国の借金には、“国債”と“マネーストック”があることはお伝えしましたそれぞれ、国債が“政府の借金”、マネーストックは、総ての日本銀行券(=日銀の借用書)を表していますので、謂わば“日銀の借金”の総額と言えます。
 所で皆さんは“国庫”をご存知でしょうか?まぁ読んで字の如く“国の金庫”です。国の金庫ですから、この中にはお金(日本銀行券)が入ってます。
 さて、日本銀行券は国の借用書の1つですね、詰まり国庫の中には“自分の借金”が入っています。
 自分が自分にお金を借りる事はできませんから、先ずこの国庫にある日本銀行券は国の借金とは言えず、これは借金から除外しなくてはなりません。
 これは令和3年度で69兆4636億8500万円あります。

https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2021/national/fy2021gassan.pdf

 次にもう1つの国の借金、国債ですが実は国債って日銀も持ってるんです。
 “政府の借金”である国債を“政府の下部組織”である日銀が持ってる、詰まりこれも自分が自分に借金してる状態です。
 自分には借金できませんので、この分も国の借金とは言えませんので、除外します。
 令和5年10月31日時点でこれは、594兆8528億3139万2000円あります。実は国債の過半数って日銀が持ってるんですよね。

 さて、ここまででようやく国の借金を計るのに必要な物が揃いました。
 国の借金は
国債総額+マネーストック(広義流動性)総額‐国庫保有日本銀行券額‐日銀保有国債額
で、分かります。
それぞれ当てはめると、
1043兆+2115.4兆-69.463685兆
-594.852831392兆なので、
2494兆834億8360万8千円になります。
詰まり大体2500兆円が国の借金と言うわけです。
一人当たりが返す額は2494834.83608000億円/1.25億人ですから1995867.868864億円、詰まり1人当たり1兆9958億6786万8864円、大体1人2兆円返さなきゃいけないわけですね。

で、誰に?

誰に返せば良いのか?

 先ず国債から見ていきましょう。
 国債の返済先は当然、国債を持っている人です。1つは先程もお話しした通り日銀です。約595兆円分は政府が日銀に返さなくてはいけません。が、これは国でみれば自分が自分に借金してる意味の無い状況なので除外します。
 では、残りの448兆円は誰が持っているのでしょう?
 これもしっかり国は追っています。先ず国内の銀行が10.8%、国内の保険会社が19.1%、公的年金が4.5%、年金基金が2.8%、家計が1.2%、その他が1.1%、後、海外が7.3%です。

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

 詰まる所、国債の92.7%、959.56兆円は日本国内の誰か(日銀含む)に返せば良いわけですね。海外に返す分は7.9626兆円です。

 では、日本銀行券はどうでしょう?誰に返せば良いだろう?
 これの答えもマネーストック統計にあります。マネーストック統計は4段階に分かれております。
 先ずM1、これは現金と国内の普通預金だけの統計。
 次にM2、これはM1に定期預金を加えたもの。
 次にM3、これはM2に海外の預金を加えたもの。
 最後に広義流動性、M3に債権(借金を受け取る権利)を加えたもので海外の債券も含まれ、この広義流動性が総てのお金と言えます。
 当然、後の方になればなるほど、額は大きくなります。
 要すれば、マネーストック統計の広義流動性からM2と日銀が持ってる国債を引けば、海外にある日本円の大体の総額が分かるのです。
 令和3年10月時点だと広義流動性は2115.4兆円、M2は1235.1兆円、日銀が持ってる国債は595兆円なので、2115.4-1235.1-595で、最大でも285.3兆円が海外にある事が分かります。(正確にはこの中には日本国内企業が出した社債等も含まれる為、海外にある日本円はこれより少ない)
 詰まる所、日本銀行券での借金の内、1829.7兆円分は、日本国内の誰かに返せば良いわけですね。

 さて、筆者先程から政府と日銀は同じ“国”だから、その借金のやり取りは自分が自分に借金してる状態なので、国の借金から除外しなくてはならない。と、言ってきました。
 所でこれをお読みの皆さん多くは日本国民かと思われます。日本国民、詰まり国の一部ですよね?そうです。

国の借金と言う表現をした場合、日本国民が別の日本国民にしてる借金は国の借金から除外しなくてはいけないのです。

 なので、国債の円建て分(日本国内の誰かに借りてる分)959.56兆円と、日本銀行券の国内流通分1829.7兆円は、国の借金に当たりません。
 詰まる所、国の借金とは、外国に返さないといけない、7.9626兆円+285.3兆円=293.2626兆円だけです。国民一人当たりだと234万6100.8円

うん。行けるんじゃね?

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