劇団平成商品 第13回公演 「私にとっての、愛しい宇宙人~これでお終い~」
この劇団の脚本と演出を手がけるきむらゆうかが別のところで書いた芝居が「文学」で脳みそを殴りつけてくる様なものだったので、足を運んでみた。
ミュージカル的な要素とか、私好みでない部分のあった序盤は伏線だと思って乗り切り、回収に入る中盤からは引き込まれて見た。
なんだろう、普通の客を飽きさせない為に盛り込まれているような部分は蛇足な様にも感じたのだけれど、終わってみると気にならないと言うか、別のもので上書きされて印象として残っていない。
そのあとで突きつけられたものだけが残る。
追い詰められた時に見せる醜態で地金を露わにしていく人々。
共通の言語で話しているのに、共通の話題なのに噛み合わない会話。
擦れ違う感情と交錯する思惑、非論理的な結論を論理的だと思ってしまう心理。
骨格の部分の「文学」が、私の心を捉えるのだと思う。
「ミュージカル要素」「ゲーム要素」などの糖衣にくるまれては居るが、提供されるのは基本的に人生の鹹味・苦味・酸味なので、長く口の中にあるうちに漏れ出したそれが舌を侵す。
繰り返される科白の語尾が現在形から過去形になることで幸せな日々が過ぎ去ったことを示したり、死角から石が飛んでくる。
感情が揺さぶられ、削られる。 痛い。
細部まで詰めているようで投げっぱなしの謎などもあり、わかったようで分からない。
たぶん私は分かっていない。
きむらゆうかの書く芝居は、矢張り「文学」であった。
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