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Photo Exhibition 『Drama』 Yumi Sugimoto× Tadao Mazda

様々なカメラマンによる、杉本有美を被写体とした写真展は数多く開催されてきたが、写真集の刊行などに併せたものではなく、写真展単体としての開催は今回が初めてとの事。

ステートメント

tokyoarts galleryは写真展 -Drama-杉本有美×松⽥忠雄を開催いたします。⼆⼈の共作は前作yumimono-chomeから実に10年ぶりです。⼥優として成⻑し活躍する杉本有美。ポートレイト、グラビア、ファッションなど幅広く活躍中の写真家 松⽥忠雄。本展では、松⽥⽒が幼い頃、魅了されてきたTVドラマをオマージュし、杉本有美が、その美しく魅惑的なヒロイン役を演じます。今の時代より少し怪しくて危ない、そして⾊気のある⼤⼈のヒロイン。幼い頃夢中になって観ていた、現実とは異なる世界への郷愁を感じつつ、2⼈が作り上げた懐かしくも新しい物語を是⾮、ご覧ください。

松田優作の「探偵物語」など、フィルムで撮っていた時代のテレビドラマの風合い。
今の杉本有美でこそ演じられる、妖しさや危うさ、湿り気のある色気。
場内BGMも、「あの頃」を想起させるもの。

ギャラリーALの右奥。
少し窪んだところに、拡大コンタクトプリント。
その前に置かれたライトボックスの上には、デュープが置かれており、ピークのルーペで見る趣向も楽しい。
ライトボックスは薄型の比較的新しいものだが、プラスチック部分の色味に「時代」が掛かっており、デジタルに移行してからの年付を感じさせられる。

合間々々に撮られたものだとは思うが、撮影の流れや、何を採って何を棄てたのかが垣間見られるのも良い。
(※棄てたカットはシネカリ的に潰してある)

松⽥忠雄の作り上げた「場の空気と光」。
そこに配された杉本有美が妖しく、艶めかしく、時にコミカルに振る舞う「ワケありの女」。
表情そのものは明るいものが多く、見終えて心地良い。

銀箔張りの紙にプリントされたモノクローム作品など、図録には載らない、載せても風合いは伝わらない、直接見ないと分からない質感。
写真を活かして損なわない特注の額縁、精査された配置、間隔、高さ、光の当て方etc...
写真展でしか実現できない特別な体験を実現する tokyoarts gallery のセンスと技術。

閉廊間際に短時間しか見られなかったのが心残り。
都合がつきさえすれば何度でも見たい写真展であった。

(2024.07.13 記)

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