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いのうえのぞみ×福島裕二展#01

ぽっかり空いた時間に予約が取れたのでアトリエYへ。
いつも遅れぬよう、早すぎぬようにするのに苦労しているのだけれど、裏手にカフェが出来ていた。
次回は時間を潰してから伺おうと思う。

昭和のマンションの一室なので天井も梁も低いが、圧迫感は無く、照明に角度を付けられない割に眩しさを感じることはなく、見る際に邪魔に感じることもない。
(このあたりはLED照明の進歩もあると思う。)

この季節は空調の管理も難しく、エアコンの吹き出し口や加湿器の近くではパネルに皺が寄ったり反ってしまったりしがちなのだけれど、最小限に抑えられており、然程気にならず。

但し、特にモノクローム作品のシャドーの部分に目立ったのだけれど、白い埃状のものが付着。
湿度が低く、静電気を帯びやすい状態にある影響であると考えられるが、室内の清掃は行き届いており、床もフローリングなので埃が立ちやすい訳でもない。
もしかすると、煙草の灰が舞ったものかも知れない。
室温設定が高め(必然的に湿度低め)なのは、快適に見て欲しいと言う心遣いからなのかもしれないが、このあたりは作品優先で良いと思う。

午后から夜にかけての、神奈川県と思しき浜辺。
衣装は藤色のワンピース(浜辺に出る前と思しきものにのみ、カーディガンを羽織ったカット)
夕暮れからは手に半透明の器に入った灯りを持たせて。
光量が一定で且つ明るいことから考えて、電気で灯るものだと思われる。
顔がほの明るく照らし出される。

作品はこれまでとは一寸違う切り口。
ピントや露出より、空気や雰囲気を切り取ったカットが多い。
ただし、「ここぞ」と言うカットでは、ピタリと合わせてくる。

風に靡いた髪や、モノクロームで寄って撮ったときの肌に年齢を感じさせるものが出ているところはありつつ、例に依って糊塗せず暴かず、今のいのうえのぞみにしか出せない、年相応の美しさが切り取られている。
「時分の花」。

北面の壁に貼られていた10枚、特に横顔を切り取ったものに唸る。
私は沢渡朔のような「信用させておいて、一寸だけ裏切る」ような写真が好きなのだけれど、福島裕二は裏切らない。
これが、どう切り取るかを委ね切った写真に現れてくるのだと思う。

一つ一つが大きいので、点数としては多くないが、それでもじっくり見て回ると40分から経っている。
堪能して退出。

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(2020.02.09 記)

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