ともあれ、アイドル楽曲大賞は滅ぼされるべきであると考える次第である。
アイドル楽曲大賞なるイベントが、今年も開催されるようだ。 残念でならない。
主宰者はその年のアイドル楽曲の把握と、投じられた票の数ではなく、投票者それぞれが選んだ「理由」に意味と価値があり、単なる人気投票イベントではないと詭弁を弄しているが、実質的に「単なる人気投票イベント」として位置付けられ、投票が呼びかけられ、多数派の多数派に依る多数派の為の祭りに堕してしまっている。
アイドル楽曲大賞なるイベントに於いて、唯一評価に値するのはノミネート表である。
アイドルというものの定義が拡がり続け、アイドルとアイドルでないものの境目が曖昧になるとともに、その年に発表されたアイドルの楽曲の全貌を把握することも不可能になってしまっている。
それを可能な限り把握しようとする試みが、推薦に依るノミネート表の作成である。
主宰者側で把握しきれない部分を集合知で補おうとし、完璧ならざるまでも最善を尽くそうとする営為は腐すべきで無いし、編まれたリストは貴重な資料となる。
しかしそれは、人気投票を機能させるための誘引剤の副産物に過ぎず、功罪を天秤に掛ければ、罪の方に傾くように、私には感じられる。
人気投票の結果だけが抜き出されて販促に使われる。
投票に至る動機や理由は閑却され、楽曲の良し悪しが人気の多寡に依って規定されてしまう。
集合知によるアーカイブには意味があると思うが、楽曲の価値を量的な基準で決めつける仕組みに誰も異議を申し立てないのは、私の理解の外にある。
ともあれ、アイドル楽曲大賞は滅ぼされるべきであると考える次第である。
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