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闇の王 2022

東急プラザからルデコへ。
過渡期の渋谷は動線もへったくれもなく東西南北が満遍なく分断されている。
バスターミナルを跨いで246も歩道橋デッキで渡り、下に降りてから線路を潜り、潜ったところの階段から渋谷ストリームに上がり、端まで南下。
このルートが今のところ一番ストレスが少ない。

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「闇の王」は、HASEOが主催のグループ展。
4階から6階までの開催なのだけれど、受付は4階。
上の階の展示は、階段もしくはエレベーターで上がらない見られない。
この配置の謎は、6階に上がって解けた。

カメラで撮った下絵に加筆して絵画的に仕上げる手法の人々のグループ展なので、それに沿った物だけが集まっている。
創作物として琴線に触れるものは皆無で、世の中で何が流行っているのかの観察に徹する。

創作物の巧拙以前の問題として鼻に付いたのが、宗教的モチーフの安易な引用。
おどろおどろしさを作品そのもので表現できず、透明なプラスチックで作った卒塔婆に梵字を朱で入れたものに頼る。
詰まる詰まらない以前に無様ですらある。
石が多めの玉石混交。

6階に上がって、歪な空間構成の理由に得心。
フロアの半分くらいが、実質的にHASEO個展。
柱や梁の制約は上の階の方が少なく、空間構成もしやすいから個展は6階に。
受付は混み合うので4階に。
主催者のエゴと短絡的思考での施策。

出展者の在廊も多く、作品を見に来る人・出展者に会いに来る人も多い。
動線や作品と観るものの距離は考えず、単純に壁面積を割り振っただけ。
隘路にも展示を詰め込む

HASEOの展示スペースと、HASEOフィルターの紹介コーナーはゆったり。
混み合う部分は混み合い、スカスカな部分はスカスカ。

6月に見た HASEO個展 /リアルポートレート東京 での難点

写真の巧拙以前に、写真展の設営が拙劣。
動線が全く考えられていない。
広い所は広く、狭い所は狭い。
敢えて作られた隘路ではないので、当然滞留するし、それ以前に作品との距離を見る側が調整出来ない。

が再現。
主催の PASHA STYLE が全面的に悪いのだろうと考えていたが、HASEOも同程度には頓痴気である事、パシャスタイル抜きでやってもより悪く、本人に写真展を開催する能力が無いのが分かったのは収穫だった。
しかし大盛況、人を集めるのは上手い。

「闇の王」とは、HASEOの事であった。
エピゴーネンを周りに侍らせると、HASEOのホンモノぶりは際立つ。
下絵がしっかりしていて、盛り込みつつ刈り込んで画面を整理。
写真を下絵にした絵画としては、やはり頭抜けて上手い。
「こうなりたい」人が多いのも頷ける。

私には縁のない世界の展覧会だった。

(2022.10.01 記)

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