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きゃわふるTORNADO ワンマンライブツアー2019「The 反撃!」FINAL(2019.12.03)

きゃわふるTORNADOのライブツアーの掉尾、クラブチッタ川崎である。

平日のクラブチッタは、中堅以下のアイドルグループにとっては鬼門と言うか、なかなか集客が難しいことで知られており、斯界に知られたところでも上手く行かないことがままある。
宇都宮、京都、浜松と、凡ての会場で札止めになったが、川崎はハコの規模が違う。

きゃわふるTORNADOの送り手の仕事ぶりには端倪すべからざるものがあり、期待半分、不安半分で経過を見ていたが、手売り用に確保していた分も、プレイガイド委託分も売り切った。
(私は売り切れ直前にプレイガイド委託分を入手。)

18時過ぎに会場へ、休みにして早めに行った知己の話では、待機動線なども含めて早めに準備が進んでいたとのこと。
何故早めに行くのか。 気が散って仕事にならないからである。

休みの取れる連中は休みを取って。早めに現地入り。
台風の日に用水路の様子を見に行く老人のように会場周辺を徘徊したり、心を落ち着けたり喉の乾きを癒やしたりするために0次会を始めたりしている。

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入場は思ったより早く進み、然程待つことも無く場内へ。

ドリンクはアルコール無しだったが、その分選択肢は多くなっていた。
未成年のメンバーの居る現場は特に、アルコール抜きで良いと、私は考えている。

入場は滞り無く終わったのに、会場内にはなかなか入ってこない。
これまでの衣装であったり、顔ハメバネルであったり、スタンドフラワーであったり、そう言った物を見たり、写真を撮ったりする人が多かったようだ。
ステージが高いので、「近さ」にさえ拘らなければ、会場のどこでも快適に見られるし聴ける。

開演が迫ると、じわじわ、じわじわと埋まってくる。
ほぼ定刻に開演。

ステージ前方に張られた幕に映像が投影され、オーバーチュアへ。
チッタのスピーカーを鳴らし切る感じの音作りが、素晴らしかった。
低音で、空気がザワザワ、皮膚にビリビリくる感じ。
聞こえると言うか、風がサーッと吹くような。

その幕が切って落とされ、ライブが始まる。

GAME
Psychology
これまでここから

聴かせて魅せるこの三曲で、序盤から勝負を掛けてくる。
宮瀬しおりのソロパートから始まるのは意外だったが、しっかり歌になっている。
杏斉ゆかはきっちり整えてきていて、叫ぶように歌った後でも安定。
別所佳恋がソロパートを担えるようになった事で、石川野乃花の歌い方が変わってきたように思う。
「らしさ」を突き詰めつつある。

3曲終わってMC。
「ただいまー」と地元出身の道地文子、「おかえりー」と客席。
前日のうちに珍しくライブ観覧に於ける禁止事項の告知があったが、敢えてそれを無視する手合に「ルールを守って」盛り上がるよう、やんわりと
盛り上がりに水を差さずに窘める言葉撰びだったが、惜しむらくは言った相手がだったこと。
このあたりはスタッフの職分でもあり、そちらはそちらで素早く対応していた。

「はしからはしまで」、「ぶったおす」と石川、「めろめろにする」と宮瀬、「歌声を届ける」と杏斉。
石川に乗っかる宮瀬と杏斉、通常営業。

トビキリナミダ

スモークが盛大に吹き出して、大箱のライブハウスであることを改めて感じる。
開演して暫くすると、背広を着た客が増えてくる。
休めなかった連中は休めなかった連中で、仕事をなんとかして押っ取り刀で駆けつけたようだ。

I LOVE YOU. Summer Day
オレモレモン
SUPERHERO

ここまでで前半終了、あっという間だった。
暗転して会場側面のスクリーンでブレイク映像。
ワンマンライブツアーのこれまでを振り返るもの。
今日は一寸構成の方向性が異なることに気付く。
「きゃわふるTORNADOはこんなグループです」と言うのを分かりやすく見せて、内輪受けやケレンなし。

HANDS(※新曲)

後半は新衣装で、初披露の新曲から。
初めて聴く・見る曲に戸惑いつつも、必死に食らいついて盛り上がろうとする客のいじらしさ。
歌い終えて舞台中央に並び立つメンバーの上から、メンバーカラー6色のライトが上から照らされる演出に唸る。

Silent Voice
NEVER ENDING STORY
Onion Link

激しい曲を続けてからOnion Linkでは、側面のスクリーンに「サバイバルツアー」(※「NEVER ENDING STORY」のCD売上だけでツアーを乗り切った)や、レコーディング風景を編集した映像。
映像の中とステージの生歌唱がリップシンクする凝り様。
この曲の持つ濃密な物語を思い起こし、感涙に咽ぶ。

ALIVE

有志の配布したオレンジのサイリウムの光で客席が埋まる。
普段アイドルのライブを見に来ない客層が特に後方で多かった為、光る棒を持つ習慣のない人が殆ど。 この曲の間だけ客席全体に灯りがともる。
舞台上から見た「会場全体が同じ色の光で埋まる」光景は、我々が感じる以上のものだったのでは無いかと思う。

きゃわ騒ぎのやつ

ナルホドな選曲で、明るく楽しく激しく盛り上がって本編終了
道地文子が〆の挨拶。
ご当地演出などは無かったが、その分要所々々で地元出身の道地文子に花を持たせていた。

暗転から暫くして、アンコールの声と手拍子。
ヘゲモニーの奪い合いや自己満足の口上などは無く、自然発生的に始まるのが、このグループの居心地の良さを象徴している。
一枚岩と言う訳ではないが、バラバラでもなく、統制も支配もないが一定の秩序は保たれている。

横のスクリーンでインタビュー映像が流される。

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「浮き沈みの激しい一年だったが、知ってくれる人が増えた。」と神咲くるみ。
神咲くるみのツインテールは何時にも増して気合の入った縦ロールで、最後までダレず。

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「怪我での休みが長引く中、5人だとフォーメーションが組み直しになり、歌割りも変わるのだけれど、ライブでやる殆どの曲をやってくれた。」と別所佳恋。

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「(別所)佳恋のパートの歌割りは難しかったけれど、おかげで成長できた。」と宮瀬しおり。

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「きゃわふる後のビジョンが浮かばない」と道地文子。 夏フェスに出られた喜びとともに。

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「メンバー間では『今年が勝負』と話していた。」「(いろいろあるが)人生楽しくさせてくれているのがきゃわふる」と石川野乃花。

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別所佳恋が長期休業になり、グループを「支えようとしたけれど、支えきれなかった。しんどかった」と杏斉ゆか。

上手く行ったあれこれと、上手く行かなかったあれこれ、下半期で大きくプラスに振れたと私は考えているのだけれど、私などは所詮傍観者。 当事者としてはより深く思うところがあるのだと思う。

そして、ステージに戻ったメンバーが照明に照らし出される。

撮可のうた 〜SEASON 1〜

アンコールでは、Tシャツに着替えて・・・と言う演出であることがままあるが、新衣装のままで。
ライブに興じていた客の中の「撮る人」も、ここぞと本気のカメラを鞄から出して来る。

星空ディスティネーション

別所佳恋の成長ぶりが分かりやすく出ているのがこの曲の歌い出し。
今日もしっかり歌えている。

2曲終えて一と息。
以前書き初めで書いた「京都でワンマン」と言う夢が叶ったと杏斉ゆか。
今回はできなかったけれど、地元の千葉の山奥でもやりたいと宮瀬しおり。

虹の向こう

いよいよ最後の曲。
スモークやチャフ(※輝くリボン上のもの)は会場の設備を使用していたが、風船はスタッフ総出の人海戦術で。
LEDが仕込まれた風船もあったが、思ったより目立たないのと、通常の風船より重いため、上手く舞い上がってくれない。
それでも殆どの風船は曲の終わりまで宙を舞っていた。 拾っては弾き、拾っては弾きする「人の好い客」。

名残惜しげに手を振り続けていたメンバーが下手から捌け、客電が点いて客が帰り始めたところでまた暗転。
横のスクリーンでエンドロール。

撮って出しの映像も使われており、よく短時間で纏めたものだと思うが、流されるタイミングがちょっとわかりにくかったのが疵。

あっという間だが、濃密。 良いライブではあった。

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以下雑感
石川野乃花、インタビューに入り込んでいくと、口調と表情が変わってくる。
アイドルとしての「はきはきした石川野乃花」ではなく、自分の内面を覗き込んで奥底にある感情や思考を言葉として汲み出す、作り手としての部分が垣間見える。
このあたり、一と皮剥けた感じ。
歌の方も言葉の粒が立って、意味がより強く伝わるようになった。

言葉の意味がより強く伝わるようになった歌唱は、石川以外のメンバーそれぞれにも当て嵌まり、6人とも歌詞が流れず、言葉としてしっかり届くようになって来た。

もちろんボイストレーニングなどが効いているのだとは思うが、今日のライブでより明確になったような気がしたのは、オケとマイクのバランスなどを厳密に調整していたからでもあると思う。
高音から低音まで、クラブチッタのスピーカーを余すところ無く使い、鳴らしていた。

開演前の会場は、前方にいつもの客。
吊るしライトに照らされた中央付近では感情の高まりを抑え切れない数人が自家発電的に盛り上がり、ライブ慣れしていない人々はそれを避けて入口付近から奥に進まず。
その流れで開演したので、光る棒を持ち、振る習慣のある者は前方に、無い者は後方に。
ライブの構成は内輪向けの演出を排して、後方に居る「いつもの客ではない人々」にも分かりやすい、楽しさを伝えやすいものになっており、実に良かった。
この先開拓していくべき客層は、これまでもアイドルを見に来ていた層以外の部分になると、私は考えている。

「いつもの客」以外が増えると、「暗黙の自治」のようなものは成り立ちにくくなり、それを狙った跳ねっ返りも流入してくる。
それを見越しての前日の「ライブ観覧に於ける禁止事項告知」だったのだと思うし、大きくならないうちに、盛り上がりに水を差さずに芽を摘む当日の現場スタッフの動きも悪くなかった。

訳知りには感涙モノのツアーダイジェストやインタビューなどの映像は説明不足で、きゃわふるTORNADOをよく知らない層には響きにくかったのではないかと思う。
音楽や演出での盛り上げ(不自然な)が無く、淡々としているのは良かったが、些か長いように感じられた。

ともあれ、この先を見据えて、どう広く知って貰うかを考えてチケットを売り、協賛を集めてきた果実としてのツアーファイナル。
大きく実を結んだと思う。

来年2月の周年ワンマンに向けての次の一手を注視したい。
(※「可処分所得の範囲内で、今後も足を運びたい」の意)

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(2019.12.07 記)

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