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ベクアステラ 「2021年 ♮ 謹賀新年」公演

年が明け、アイドル初めはベクアステラから。
三が日にしては相対的に少な目ながら、絶対的には矢張り人の多い渋谷の街。
「人ごみに出たくない・怖い」と言う抑止力と共に、好むと好まざるに関わらず、職掌柄行動に制限が加わっている向きも多い。

開場から入場まではつつがなく。
連絡先の事前入力をした画面を保存していなかった
(PCから入力したので、当然ながらスマートフォンには存在しない。)
ので、確認で躓いたが、そこは向こうも慣れており、電話番号の下4桁を申告してデータを呼び出していた。

ステージ前2列に椅子が並べられ、その後ろは立ち見。
自由に動けるので、整理番号が若くても立ち見を選ぶ人も多い。
今回は撮影可では無かったので、視界の確保を優先して椅子席を選択。

11:25に開演。

kanami の髪型が黒髪ショートボブに変わっていて驚く。
ピンクのボブ → 黒とピンクのロング → 黒のショートボブ。
その時その時できっちり作り込んでおり、今回も良い。

その kanami の司会でトークコーナーから。

どんな年越しをしたか
「スマホゲームの中の、ボカロのバーチャルライブを見ていた」(天)
「ももクロの「ももいろ歌合戦」を家族で見て、年越しの瞬間は「怪盗少女」のエビ反りジャンプをしていた。」(早)
「(ダイエット中だが)、炭水化物を食べて自分を甘やかした。」「(高級)食パンをそのまま食べた」(紬)
「寝てしまっていて、目覚めたら年を越していた。「夢の中で」迎えた」(五)
「土日がライブの自分と土日が休みの家族とは普段予定が合わないが、どちらも休みだったので北海道の家族とリモート飲み会をした。」(k)

2021年、どんなところに重点を置くか
「みんなを引っ張れる存在になる」(紬)
「明日どうなるか分からない世の中なので、一回一回のライブ、一日一日を大切に生きる。」(天)
「自己肯定感を上げたい。自分に自信を持ちたい。」(早)
「寝てないキャラから抜け出したい。しっかりしている人になる。」(五)
「常に病んでいる。つらい中を大切に生きていく。」(k)

ベクア神社初詣(客席を神社に見立てて願掛け)
「私たちがみんなを笑顔にしていく存在になりたい」(紬)
「もっと面白いアイドルになりたい」(早)
「皆さんと、一年健康で過ごせますように。」(五)
「一人暮らしが出来ますように。」(天)
「(五十嵐マイとかぶってしまったとボヤキつつ)私と皆さんが健康で過ごせますように。」(k)

後半はライブ
セットリスト

夢の中で
いつの日にか
もっとずっと
煌めく流星群
夜空の物語

開演までは静かにオケが流れていたのだけれど、打ち込みだけでなく「ここぞ」と言うところで生楽器を使ってきちんと作ってあるので、オケだけでも聞くに堪える。
特に「煌めく流星群」。 年末は色々あって足を運べず、今回が初見だったが実に良い。
今後もしばらくは続くであろう「客が声を出せないライブ」が続くことを見越してか、ボーカルに呼応する形で入る「泣きのアルトサックス」が効いている。
「夜空の物語」と合わせて、始動から半年でキラーチューンが手札として二枚あると言うは大きい。


「前向き」で「明るい」紬麦みほが加入して、話も面白い転がり方をするようになった。 私は基本的に後ろ向きで暗い性格なので、なぜそこまで前向きでいられるのか理解できない部分もあるが、新鮮で面白くはある。
ダイエットをしていると聞いて、最初は疑問に思ったのだけれど、ライブを見ていて得心が行った。 太い細い、重い軽いではなく、「動ける身体」が欲しいのだと思う。
他のメンバーにはそれぞれの前史に於いて、何らかの手段でそれを手に入れて来ているのだけれど、舞台の上に立つ人としての人生が始まって日の浅い紬麦みほは、これからそれを獲得していかなければならない。
肘が外側に大きく曲がることもあり、しなやかに見せているが、動きそのものの線は太い。
振り付けが乱れたり遅れたりすることは無いのだけれど、それは「頑張って動く」ことによって成立している。 それを一切表情には出さないところまで含めての「頑張り」。
頭で考えずに出来る事、頑張らずに出来る事が増えると、振り付けを覚えるのに掛かる時間が減らせたり、舞台の上で何かをしながら周辺を見るゆとりが出てくる。
無理のない範囲で前に進んで欲しい。

五十嵐マイはソロパートがあるところで振りに情念が濃く乗るのが面白い。
語るが如く歌い、演ずるが如く踊る。
前史としての役者の仕事が生きているし、並行して役者の仕事も続けているのであれば、歌って踊っている経験が生きてくる場面もあると思う。

早瀬さくらは「善なるもの」であることが、発せられる言葉の端々から伝わってくる。
散文的で練られてはいないが、その時々の生の感情が溢れており、くるくると変わる表情も含めて面白く、愛らしい。
振り付けで興味深いのは、立っている時は踵重心なのに、踵を飛ばすような動きはきちんとできているところ。
意識して爪先に重心を置けると、振り付けの動きの中で自然に舞台を移動できると思う。

kanami は配信で培われた「その日その時の気持ちを言葉にする力」が過剰に働いて、時間の隙間を言葉で埋めようとし過ぎるところが無くはないが、抱えている「生き辛さ」のようなものをなんとか飼いならして生きて行こうとするところには同質性を感じる。
「後ろ向きで前に進む」のも悪くない。
髪型の変遷からも感じられるが、アイドルとしての「華のある自分」を創り出し、きっちり作り込んでから舞台に立っている。
「きっちり作り込む」部分は振り付けにも出ていて、激しく動いてもピタリと止めてくる。 直線的な動きでも、手首と指先で彩を添える。

天乃さやは、アイドルをやっている以外の部分を語る時のぐうたら感と、アイドルで在るときの克己的なところのコントラストが良い。
のび太がのび太の愛嬌を保ったまま、出来杉くんに豹変する。
腕を振り回すような振り付けでは、止めきれずに勢い余るような場面もあったが、前後左右に出し入れするような動きはスーっと動いてピタリと止まる。
肘から先、特に手首と指先で付けるニュアンスには、いつも唸らされる。 曲線の、美しい動き。

1月23日に、初めてのワンマンライブを行うベクアステラ。
新年の第一歩としては上々。
今後も可処分所得の許す範囲で足を運びたい。

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(2021.01.04 記)

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