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SFショート

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黄瀬が書いた、空想科学のショートストーリー
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#SF小説が好き

鑑賞者

「ごらんください。あちらがブラックホールに飲み込まれる恒星です」  クラーク15号の展望デッキにひとびとが集まってくる。  みな豪壮ないでたちをし、肩をそびやかしている。  船体から飛び出た、試験管のような細いデッキは、  またたく間に群衆にひしめいた。  わずか数光時かなたに、  今まさに、吸収が始まった恒星が見える。  青白い光が、細く引き延ばされ、  漆黒の球の中へと引きずり込まれている。 「ほう、なかなかの奇勝であるな」 「悠遠をめざす旅で、久方ぶ