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振り向く君の横顔が、 透明のビニール傘越しに見える。 一歩、歩くごとに揺れる雑踏の景色。 揺れ動くのは、夜の街の匂いに当てられた人々と、 甘く、あでやかなネオン。 それらは、 ゆったりと幕を下ろす、ひかめな雨に乱反射して、 万華鏡の模様のように見える。 頬を膨らます君。 「どうしてくれるの」 云い訳をするわたし。 「だって仕方がないじゃないか」 「仕方なくないよ、あなたの所為でしょ」 わたしが雨女であることは、重々承知のはずなの