見出し画像

素人家庭教師 GTA

こんにちは、2ndPASSの秋野です。

パーソナルトレーナー出身の僕ですが、実は元々、保育士さんを目指していました。

中学生から高校生くらいまでは自分で保育園を作って、園長先生になりたい!そんな夢を持っていたんです。

子供がとにかく好きで、教育にも興味がありました。

大人になった今、会った人に伝えてみるとまず誰も信じてくれません(笑)

あまりに今の僕のイメージとは大きくかけ離れているのでしょう。

僕に対して持たれているイメージが、ほんわかしている、温かみがある、よりもキリっと鋭い、冷静で淡々としている、そんな感じだからかと(笑)

でも、保育士を目指していたのは本当です。

その後にいろんな経験をしてみて、パーソナルトレーナーになりたい!という目標に切り替わり、今に至ります。

そんな内容をパーソナルのお客さんにも言っていたんです。

あきの「実はね~、ぼく、保育士目指してたんですよね~」みたいな感じで。

まあ、いつも通りビックリされるのですが、1人だけ全く違うリアクションだったんです。

その方がクライアントのOさん。

Oさん「えー!保育士目指してたんだ。たしかに秋野くん、子ども好きそうだし、接するのも得意そう」

あ~Oさんはよく分かってるな、と思いました。

おっしゃる通り、好きだし得意なんです!(根拠はない)

続けてOさんがこう言いました。

Oさん「秋野くんさあ、もし空いてる時間あるんなら、家庭教師とかもやってみない?向いてる気がする」

実はOさん、家庭教師の派遣事業をやっていて、ちょうど講師が不足していたみたいなんです。

そんな状況もあって、家庭教師のオファーを受けました。

あきの「いいですよ!小学生くらいなら教えられます!」

僕自身、勉強はそこまで得意じゃなかったですが、トレーナーとして、教えるスキルは自信はありです。

早速、小学生3人を担当することに決まりました。

つい先月まで担当していた家庭教師が辞めたらしく、新しい先生をずっと待っていたみたいなんです。

そこでふと、僕はOさんに聞いてみました。

あきの「前に担当していた人は辞めたんですか?大学生だから、就活とかで忙しくなった的な?」

すると、予想していなかった返答が。

Oさん「実はねえ、この3人を担当していた先生たちは、全員すぐに辞めちゃうのよ。自分には絶対無理ですって言うの」

Oさん「とりあえず1回授業しに行ってみてよ。どういうことか分かるから」

これは悪い予感しかしません。 ホラー映画の序盤かよって感じ。

全員がすぐに辞めて逃げ出す!?

相手は小学生なのに?どゆこと?

何も分からないまま行ってみました。

担当する3人うち、まず最初はMちゃんの家です。

当時は小学4年生の女の子でした。

そして、行ってすぐに分かります。

過去の先生たちが、フライアウェイした理由が。

(あ、仕事を飛んだという意味です)

なのに、机にも座らずゲームしている。

先生(自分)に対しては呼び捨てだし、授業はじまったばかりなのに、帰れコール。

相手は小学生、こちらは大人ですよ?(笑)

その子のお母さんは申し訳なさそうに、「何とかお願いします(;'∀')」と一言。

『お願いします(;'∀')じゃなーい!』

『勉強以前の問題なんですけど!』

そんな叫びは心の中にとどめて、このMちゃんと向き合うことに決めました。

聞くところによると、学校の勉強にはついていけず、担任からも問題児扱いをされているそう。

家族に対してもずっと反抗的だし、イライラすると物を壊したり、暴言を吐くこともよくあるみたいです。

とはいっても、所詮、小学生4年生の女の子。

家庭教師である僕は、何とか机で勉強することだけでも当たり前にしようと決心し

ました。

気分は鬼塚英吉です。GTOならぬ、GTA。

(一部の人しか伝わらない…)

家庭教師ド素人ながら、作戦を練りました。

最初に考案したのは「お菓子作戦」。

5問解くと、お菓子を1個あげるルールです。

たくさん駄菓子を買って、チラつかせました。

しかし、Mちゃんは手ごわい。

Mちゃん「お菓子1個じゃ頑張れない、もっとちょうだい」

あきの「えーじゃあ仕方ないなあ、2個にするよー」

そんなこんなでエスカレートしていき、最終的に、1問で1個あげていました。

袋にいっぱい駄菓子を詰めていたのに、帰るときには袋ごとなくなってる…。

1か月ぐらい続けて分かったのですが、お菓子を取られ過ぎて、僕が赤字という….

家庭教師の時給よりも、お菓子代が上回っていたんです…(笑)

お菓子作戦、敗北なり。

お菓子ルールを辞めると途端に、Mちゃんのやる気は無くなります。

そこからまた、やりたい放題。

Mちゃん「ウェーイ!こっち向いてよ、今TikTok撮ってるから」

Mちゃん「ヒマだからさー、無印連れてってよ、買い物したい」

Mちゃん「勉強はいいからさ、秋野、何か面白い話してー」

うんうん、僕、大人ね?

きみは子供で、僕は大人ね?

そんな常識が通じる相手ではありません…(笑)

完全に舐められていました。

でも、幸いなことに、好かれてはいたんです。

Mちゃんは僕に、いろんな話を振ってきます。

Mちゃん「ねえねえ秋野さ~、小学生のとき、好きな子とかいた~?」

Mちゃん「来週さ~、バレエの発表会なんだけど、もう緊張しててさ~」

そんな会話もしたりして、「害のない大人認定」はもらえていました。

たわいもない話の中から、小学生ならではの苦悩も分かってきます。

いつも反抗的なMちゃんにも、ひとりきりで抱えていた悩みがあったんです。

よくよく聞いてみると、親からは他の子供と比較されて、自信を失っている、何をやっても上手くできないダメな子だと思っている、本当はママに褒められたいけど、素直になれないそれ以外にもたくさんありました。

そりゃ辛いよな…反抗的になるよな…と、切ない気持ちで締め付けられます。

そこでふと聞いてみたんです。

あきの「Mちゃんはさ、将来やってみたい仕事とかないの?」

Mちゃん「えー…やってみたい仕事かあ…あるけど、どうせ私には出来ないから…」

やってみたい仕事はあるけど、自信がなくて諦めている。

そして、誰にも言わず、ずっと隠し続けていたそうです。

あきの「あるんだ!いいね!どんな仕事なの?こっそり教えてよ」

害のない大人認定を受けている僕から さら~っと聞いてみました。

するとこんな答えが。

Mちゃん「実はさ、飛行機のCAさんにずっと憧れてるの」

Mちゃん「家族旅行で飛行機乗ったときに、キレイで優しくて、この仕事をしたい!って思った」

なんと…!誰にも言えてなかった 将来の夢がMちゃんにはあったんです。

僕はめちゃくちゃ感動して、 すぐにこう言いました。

あきの「めちゃくちゃいいじゃん!!最高!絶対Mちゃんならなれるよ!」

あきの「実際にCAさんとは、お話ししたことあるの?」

Mちゃん「うーん…飛行機のときにちょっとだけ…」

そこである提案をしてみました。

あきの「実はね、トレーナーの方のお客さんでCAさんいるから、1回会ってお話ししてみない?」

Mちゃんにとって憧れのCAさんに会ったら、もっと頑張ろう!とモチベーションが上がるのでは?!

そんな期待を持って、CAをしているクライアントさんにお願いをしました。

そして、次の授業のとき、 MちゃんはCAさんと会うことになります。

会うと、Mちゃんもいろんな質

問を投げかけます。目の前には憧れの対象がいるのですから。

野球少年にとってのプロ選手みたいなもの。 目をキラキラさせながら話していました。

僕と話す時とは違って、 Mちゃんはずっと敬語も使っています(笑)

そして、CAをしているRさんはこう言いました。

Rさん「CAさんになろうと思ったら、勉強は頑張らないとね!でも、Mちゃんだったらきっと良いCAさんになると思う!応援してるね!」

その一言で、Mちゃんのやる気バロメーターは爆上がりです。

苦手だった、割り算の筆算も頑張りはじめて、 ほんの少しずつですが、成長していきました。

CAさん効果、恐るべし。

お菓子作戦の100倍パワーがありました(笑)

それと当時に、お母さんとも色んな約束をします。

・自分がダメなママだと思わないこと

・周りの子と比較をしないこと

・子どもの本音に耳を傾けること

・褒めるだけではなく、感謝を伝えること

・甘えさせてあげる時間を作ること

たしか、そんなことを話したはずです。 どれもMちゃんにとって必要なことでした。

そして、僕は関東へ引っ越すことを決め、 家庭教師を卒業することになります。

その頃には、Mちゃんも、お母さんも、 そして、親子の関係も、 多少は良い方向に変っていました。

家庭教師ド素人から挑戦した GTA(グレートティーチャーあきの)としての ミッションは完了です。

悪戦苦闘しましたが、良い経験になりました。

そして、当初にMちゃんに限らず ふと思うことがあります。

子どもでも大人でも関係なく、 自分でさえ、自分の可能性を疑いたくなる。 そんな時って誰しもある。

自分なんて何やっても上手くいかない。 自分が人の役に立つなんて無理だ。

失敗したとき、ひどい言葉を言われたとき、 どう頑張っても落ち込んでしまうもの。

しかし、人生の主人公はいつだって自分。 どんな時でも、自分が自分の味方でいる。 とても大変なことですが、大切なことです。

そして、僕が好きなラッパーの言葉で こんなフレーズがあります。

きっと自分がこの人生を終える頃には『完璧だった』『全てが全ての布石だった』『よくできたストーリーだったね』って思えているはず。

個人的にめちゃくちゃ好きな考え方です。

全てが全ての布石。 今の辛さも含めてストーリー。

僕にいろんな学びを与えてくれたMちゃん、 自分なりのストーリーを描いていると思います。

僕の人生で出会えて良かったと思える1人です。

ではでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?