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青春18切符

2日あれば、神戸にいける。奈良にいける。敦賀にいける。諏訪にいける。浜松にもいける。

すこし頑張ったら、岡山にいける。徳島にもいける。和歌山にも行けるけれど、そこから先は車がないと厳しい。金沢も物理的にはいける。山梨にもいける。静岡だって三島だって沼津だって行ける。けれど、座席は横長型で疲れるということも、時間がとてもとてもたくさんかかることも身をもって知っている。

とんぼ帰りでいいなら在来線で広島もいける。長野だっていけるし、きっと神奈川もいける。だけどちょっとアレはあまりに疲れる。だからやらない。

青春18切符をはじめて手にした3年前。あの頃はなにも知らなかった。北に進みたいという気持ちだけでとにかく北に進んだ、地名に引かれて何もないところで降りてみたりした。駅の案内表示をみてわくわくした。米原からは一本で姫路にいけるんだ!と知った。降りたことのないたくさんの地名にわくわくした。大垣。関ヶ原。垂井。長浜。敦賀。鯖江。はじめてきく駅名ばかりだった。この駅はひとがたくさんおりているから降りてみよう、そんなノリで行動を決めていた。
計画性を持つ気がなかったし、予備知識もなかった。だから存分に無計画をやれた。

今のわたしはあのとき降りた駅では、何もないあの駅ではもう降りない。次の電車まで1時間待ちで歩きで行ける圏内には何もない、田んぼしかないことを知ってしまっているから。

知るということは、世界に向けたレンズを絞っていくことに似ている。どの範囲に居ればわたしは心地よく居られるかを経験から学び、範囲を絞っていく。一定範囲の中で、生きて知って、絞って、生きて、知って、生きる。

レンズを絞って深める。この工程がきらいなわけじゃない。でもすこしだけ刺激がない!、かもね。

冒険していたい。たまには身体にとって不快なこともしたい。ハズレの宿にとまりたい。鍵無しの満喫に泊まって他人のいびきをききながら寝たい。くたくたに疲れたい。予期しないことに疲れ果てたい。知らない世界、まっさらでなにもしらないところに飛び込んでわからなさに不安になりたい。
「もうおうちに帰りたい…」と「知らないこといっぱい!たのしい!」を繰り返して限界まであるき回りたい。それで最後には家に帰れてよかった、を味わいたい。そんな旅がしたい。

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