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吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』 

世の中的には今更なんでしょうけど
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』 
を思い出した

主人公の少年に叔父さんが伝えた言葉

「からだをこわしたらいちばんこまる人たちが、いちばんからだをこわしやすい境遇に生きてるんだ。粗悪な食物、不衛生な住まい、それに毎日の仕事だって、翌日まで疲れを残さないようになどと、ぜいたくなことは言ってられない。毎日、毎日、追われるように働きつづけ生きていくのだ」
中略
「ただ、いまの君として、しっかりわかってなければならないのは、君のようになんのさまたげもなく勉強ができ、自分の才能を思うままにのばしていけるということが、どんなにありがたいことか、ということだ」

戦前に書かれたものですが
今も変わらないどころか悪化している部分も感じています。
なかでも苦しい思いをしている人が
更に苦しい思いをしている人を叩く
っていう構図はその顕著なところ。

本書が当時「君たち」と呼びかけたのは生き方を選択できる人間が数の限られた特権的な男子であったらしい。
今、NHKの朝ドラ「虎に翼」で描写されている時代といえばイメージがし易いでしょうか。
現代は自分の未来が当時に比べ格段に選択できるようになってはいる。

でも自分の実力だったり、家庭環境だったり、運だったりで思い通りにいっていない人のほうが多いのではないか?中には「こんなはずではなかった」という状況の人もいるでしょうし、
多くはないのでしょうけど満たされている人もいるでしょう。今、もし満たされているならその幸せのおすそ分けで誰かに手を差し伸べることができるのでは?と思うのですが
どのような価値観のもとで育って来たかというのは大きな影響があると思います。

「君たち」に該当する人は自分の幸せのみを追いかけるだけの人生を選んでは欲しくないと思うのです。

仏教説話に三尺三寸箸の話しというのがあります。

助け合いこそが地獄と極楽を分けているという話です。(決して箸を短くもてばいい、とかいう話ではありません)

あなたはどちらの住人なのだろうか

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