有り難う、スタンド・バイ・ミー(2024/05/29)

高校生の頃、図書室にライトノベルに多数あり、そこで「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」という作品にハマりました。

主人公が良いやつで、作中に出てくる多数のヒロインも魅力溢れる方々が多く、気が付けば全巻読破していたことを覚えています。

この体験をキッカケに読書って面白いのかも知れないな感じた私は、クラスメイトや知り合いにオススメの小説ってなんかある?と質問してみたのですが、

当時、私はゴリラでも入学できると地元で噂されていた程の学校に在籍していた為、周りの友人知人たちは誰も小説を読んでいませんでした。

私も少し前まではそうだったので、気持ちはとても良く分かります。

文字を読むという作業になれていない為に読書という行為は酷く疲れます。私もそうでした。

そんなこんなで流れ流れて辿り着いたのは図書室の司書さんです。

司書さんは賢そうな眼鏡が素敵な中年女性という出で立ちで、我が校にしては珍しく、品みたいなものを感じる雰囲気。

そんな司書さんに私は「最近、読書が面白くなってきたんですけど、オススメありますか?」と質問をしてみると、

司書さんは「ライトノベルみたいな若者に人気なジャンルは嫌…というか苦手なので純文学をよく読みますね。」と仰られた。

おん?喧嘩か?喧嘩なのか?喧嘩しようってのかい?

おめぇさん司書だわな?何回も図書室でお会いしてますわな?

私が「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」を借りてるの知ってますわな?それでいてその踏み込みの鋭さってことはよぉ?あれかい?私の頬に右ストレートを放ったってことかい?

そんな思いが湧いては消え、湧いては消えていく。

その間も司書さんは何冊かオススメを教えて下さった気もしますが、右から左に流れてしまってアンマリ覚えていません。

そんな経験があったもので、私は純文学というジャンルに反抗的な思いを抱くようになり、

それの範囲はいつの間にか肥大化して、映画などの他媒体にまで拡がり、

立派な雰囲気を出している作品。

考えさせられるような雰囲気を出している作品。

そんな感じのものを食わず嫌いして、分かりやすく面白い作品だけを見て、聴いて、楽しむ日々を送っていました。

ある日、金曜ロードショーでスタンド・バイ・ミーという映画が放送されるという情報を見て、私は何となく、

「何かやたら人気な映画だよなぁ…あらすじ見たけど何だこれ?これ面白いんかな?純文学っぽそう。純文学味を感じる…」という余り良くない感情を抱いたのですが、

同じ趣味を持つ友人が「スタンド・バイ・ミーは好きだから、暇があったら見てほしい」と言われていた事を思い出し、取り敢えず見てみることに。

細かい内容はネタバレが嫌な人のために省いて結果から言いますと面白かったんです。

でも、今までの私が感じていた面白いとは別の味がした面白いだったんですよね。

なんていうんでしょうか?

私が好きで今まで見ていた作品が料理で言ったらお子様ランチで、

スタンド・バイ・ミーは蕎麦とか湯葉みたいな印象。

お子様ランチは料理名ゆえに舐められがちですが、ぶっちゃけ私はレストランで一番美味しい料理だと思っているんです。美味しい者たちが手と手を取り合っている。あんなもんはレストラン界のアベンジャーズだと思っています。

蕎麦や湯葉などは単純な旨味勝負ではお子様ランチに及ばないかも知れませんが、それでも、それ以外の美味しさを感じている気がします。だからどらちも大好き。

そんなことを思っていたら、ふと気付いたんですよね。そもそも私は美味しい食べ物に対して、

これはこれより上だとか、下だとか考えてないなと。

好きな食べ物と、普通な食べ物と、ちょっと苦手な食べ物みたいに大まかに分割された引き出しの中から「今日はこれの気分だな」と特に深く考えずに選択して食べていることに。

食べてもいないのに嫌だから食べないという感情をあまり持っていない。

アイツが食べてるやつ、何か気に入らんから絶対食べない。なんていう人がいたら、

え?別にいいけど勿体ないなって思う。一回くらい食べてみれば良いのにと。

私が娯楽に対して抱いている感情も、それと同じなのではないか?と、そんな事に気が付きました。

スタンド・バイ・ミーをキッカケに、今まで余り見なかった立派そうな映画を少しずつ見ていくことにして、

グリーンブックとか、コーダ あいのうたとかを見てみたのですが、作中のキャラクター達の心情を推察して、自分の人生や経験に掠っている部分を重ねてみると、

キャラクターが感じているであろう喜怒哀楽の感情や思いに共感したり、反発したりして、それが何とも言えない面白さだということを知りました。

今ではそういった作品も好きになり、従来から好きだった完全な娯楽的な作品も大好きなままで、

楽しめる作品が増えて良かったなと感じております。

映画作品ではそう思えたので、近々、ついに純文学というジャンルの小説に手を出そうと思っているのですが、はてさて何から手を出して良いものか…。

皆さん何かオススメがあれば教えて頂けませんかね?

参考になるかは分かりませんが、

俺の妹がこんなに可愛いわけがないで一番好きなキャラクターは田村麻奈実ちゃんです。

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