見出し画像

【note160枚目】 浅草ロック座へ行ってきた9

 HEIANも呟きを繋げるだけで満足していた。それらを下地に思い出したことを書き加えながら浅草ロック座訪問記。渋谷道頓堀劇場の翌日に足を運びました。

1景 須王愛さん 藤原道長
 欠けることのない満月が強く美しく輝く姿。ミラーボールが光り輝きまくってて眩しかった〜 それ以上に須王さんの道長様がその…あまりに凛々しくて素敵すぎた。匂い立つ色気と立ち振る舞いに心を掴まれてしまいました。
『With』でのメイン景は私が大好きなゆったりセクシーな須王愛さんだキャッキャして、サブとして出てきた須王愛さんの男装に強烈にキュンとして帰阪した思い出があって、今回は平安のイケイケ貴族の頂点を比喩ではなく後光を携えて演じられていたので完全に須王さんの夢女になってしまったのでした。上背があると男装の決まり方が段違いだ…。<後日つけたし:須王愛さんの道長様にヒャー!!!となっていた気持ち、武藤つぐみさんの光源氏様にヒャー!!!となっていたのと似てると思ってたけど、それはそう>

2景 椿りんねさん 崇徳天皇
 
またりんねさんはこんなドスンとくる演目をさぁ…好きがさらに好きになっちゃう。血文字の大乗経、叫んでも叫んでも届かない声。牢の向こうから僅かに漏れる光が映す後ろ姿が悲しくて、切なくて、やり切れない。 何度も手を伸ばす手が光に届くことは決してない…。浅草ロック座はりんねさんに重い景背負わせるよね。『浪』のパワパフの方が幻だったのかもしれない。重く、暗いほどりんねさんの良さが光るように感じてしまうのはどうしてだろう。<後日つけたし:りんねさんの2景『崇徳院』を見て、初めて浅草ロック座へ行った時に見た沢村れいかさんの『鵺』でのゾワゾワ感を思い出した。そういえばどちらも2景だ>

3景 桜庭うれあさん とりかへばや物語
 
ま、まゆれあだー!!???動きづらい着物から男の子の装いに変わって、新たに命を得たみたいに踊り回る姫君の姿が、溌剌としたうれあさんのダンスと相まって爽快。ミラーボールが回らんなら自分がなる!!って感じのベッド着が光を四方八方へ飛ばしててかっこよかった。あのベッド着本当にすごかった。場内の光を集めて反射してキラキラしていた。「自分を偽らなくていい」喜びを身体いっぱいに表現しているように感じて涙が出た。うれあさんが3景にいてるの地味に珍しくない?

4景 赤西涼さん 祇王
 
弟子筋の白拍子に寵愛を掠められて仏門に入る、祇王はそんな話なんですね。不勉強でした。 赤西さんと須王さんも先輩後輩にあたると思うんですけど、恨まず、憎まず、想いを残さないように捧げる最後の舞、と感じたベッドの迫力がすごかったです。これも静かに哀しくちょっと暗い景。

 贅沢言っているのかもしれないけど、やっぱり原典やベースにしている作品の解説を手元に残る形で欲しいね。中休憩でなるほどってなるけど、鳥頭だから地下鉄に乗ったところあたりで忘れてるんよね。他のお客さんのレポ、いつも拝読して記憶の呼び起こしをさせていただいています。ありがとうございます。

5景 瀬能優さん 紫式部
 
5景はいつもキラキラ賑やかでいいなぁ。大盛り上がりな浅草五歌仙の百人一首大会。いや、競技かるた? 瀬能さんのゆったり音を取って、たっぷりと余裕を残す嫋やかなベッドが本当に素敵だった…緞帳を撫でる様子が想いを書き綴っているようだった。2年前にDX東寺で拝見した「かごめかごめ」の演目がすごかったのを今も覚えている。本当は違う踊り子さんで急遽のご出演になったみたいなんだけど、またパフォーマンスを観られてよかったなあ。あと、この景できちんとした貴族装束で五歌仙の1人として百人一首に興じる崇徳院様、大変雅やかで楽しそうで、きっとありし日の本当のお姿はこうなんだろうなぁ…など思いを馳せた。

6景 藤咲茉莉花さん 羅城門
 「平安」とは言い難い民草の有様を藤咲さんたった1人で作り上げる。圧巻の景。蜘蛛の巣が張る城門で、今にも切れそうな蜘蛛の糸に一手、また一手と手繰る時に盆がせり上がって驚いた!ほんまに動くんや!?一気に暗転して幕切れになる様子は下人が事切れたのか否か…。

7景 南まゆさん 壇ノ浦
 
ひとり、また1人と瀬戸内へ沈んで行く。幼い安徳天皇もまた、母に抱かれて海の藻屑と消えていく。 紅白の旗、青の照明演出がとても印象的。重しと身体を縄で結びつける表現をだったのかな。 反撃虚しく自決を選ぶ「仕舞い」のベッドの南さん。大トリ然としてかっこよかったです。

 傷を持たずに生きている人間なんていないし、光があれば影もある。舞台に表された『HEIAN』から踊り子さんや演目を通じてそんなことを感じた公演でした。

イェソン兄さんと日本のストリップ劇場


ヒチョルとビールで〆