【note129枚目】 浅草ロック座へ行ってきた 4
平日の快晴天とロック座。エグい背徳感。
先月ぶりに浅草ロック座へやってきました。秋公演は源氏物語を原典に大胆解釈を施した『夢幻』今回はその2nd。去年が『秘すれば花』という能・狂言をベースにした公演だったので、浅草の秋は古典なのかな?と勝手に思ってる。たぶん違う。なので去年のように各景でベースになっているタイトルのペーパーがあるもんだとばかり思っていた…贅沢な心になっていました(こ、コラー!!) なので終演後に先に見た方々の感想を拝読しながら、原典と照らしながら……って作業中です。「ここ間違ってるよ!」ってとこがあれば教えてください。書き終わる頃にはまとまってたらいいな。あの中休憩の相関図をzipでくれ。
ホッピー横丁楽しかったです。ゴリゴリの観光地価格だから財布には優しくないけど、食べものがなんでも美味かった。
0景 徳永しおりさん
今回は0景を含めると全8景構成。暗色艶やかな衣装で観客を作品世界へ誘い、1景の白鳥すわんさんと出会わせる。そんな立ち位置に見えた。
1景 白鳥すわんさん 朧月夜
は、初乗り…!?え?ほんまに言ってる…?白鳥さんがおそらく強固なバレエの下地をお持ちだと思う、そうとしか思えない体幹の強さ、軸のぶれなさ、ポーズの安定感。何より堂々としてる。表情管理も抜群。すごい新人さんでした。新人とは…?早速武藤光の君が登場してペアダンスを披露するんですけど、白鳥さんは盆、肩や花道で全く触れ合わない。目線も合わない。でも動作に合わせて白鳥さんのお召し物は解けてゆく…何これ!?エロ!?!!??まぼろし??なんかこう、やることだけやってさっさと寝所を後にしてゆく武藤光の君…後腐れのないプレイボーイ感(プレイボーイ側並感)あまりに光源氏。目が合わなくても、触れられなくてもそれでも悲壮感どころかそれさえ楽しんでる風にすら見えたのは、原典の朧月夜の自由奔放な人物像によるものなんだろうか?1景にはキラキラでつやつやなエロに溢れてた。太鼓もあったからエネルギッシュでもあったな。
2景 椿りんねさん 若紫
「ぼくのさいこうのおよめさん」育成ゲームのメインキャラ。美しく成長してゆく前の紫の上を椿りんねさんが演じています。
誰にも負けないこの気持ち!
りんねに向かって咲いている!
世界で1番大好きな!
りんねにもーっと恋したい!
失礼。りんねさんが浅草に乗る。こんなん何回あってもいいですからね。庭先で遊ぶ若紫を垣間見した光源氏が見初めるシーンを、大胆に現代風にアレンジ。まだ何者でもない、ステージに立つ前に一生懸命練習に打ち込んでいるお嬢さんのよう。振りがまだ身体に入り切っていないからか?音楽と身体の動きに微妙なズレがあるような…?これ、別に演出でもなんでもなかったらめっちゃ申し訳ないな。私がそう感じたってだけです。この景は群舞が無ければダンサーさんも出てこない。たった一人の舞台。でもそれが若紫なのかなと。まだ何者でもなく、出てくる人物の中で最も幼い。無垢で無邪気。盆での表現も何かを誘うというより「見てー!!!」という可愛らしさが勝っていて、ツインテールなヘアスタイルもあってどことなく幼女感が…幼女ではないが…。衣装替えとヘアチェンジをあんな一瞬で出来るもんなのだろうか?踊り子さんってほんとすげーや。
3景 須王愛さん 夕顔
これは後追いで原典を調べる前の呟き。夕顔ってめちゃくちゃ複雑な立場の女性なんですね。身分を偽って市井に暮らす上、光源氏の現・愛人かつライバルの元カノ。群舞と表現していいのだろうか?夕顔の傍らに頭中将の影がずっといて、彼女自身もそこからは離れきれずにいて、それでも光源氏に心惹かれる自分もいる。そんな別方向に向かう気持ちを抱えたままあの景を一生懸命に生きてるように感じた。須王愛さんの表現がなんとも苦しくて、切なくて、でも須王愛さんのお身体がめちゃくちゃえっちで、見てるこっちも別方向に向かう感情と理性に裂かれそうだった。
4景 橋下まこさん 六条御息所
怖いのよ。生き霊なんよ。でも人間なのよ。去年の秘すれば花では1景で「御来光やぁー!!!」とあまりのありがたさに合掌していたけど今回は六条御息所。気高く、聡明な年上の女。相手が年下の男だからこそ歯痒く、それこそ身悶えするほど苦しい嫉妬の感情に焼かれそうな狂気。見ているこちらが息をするのも忘れるほど激しいダンスはダンサーさんと、そしてまさに嫉妬で焼かれそうな葵の上:白鳥すわんさんとの息がぴたりと合っていて素晴らしい以外言葉が出ない。葵の上が事切れたあとにようやく我に帰った時すでに遅し。贖罪とも後悔ともとれる舞に心が締め付けられるようでした。ベッド着に彼岸花があしらわれているのも「この世」から「あの世」への気持ちの表れなのかな。
中休憩の相関図をzipでくれ
5景 武藤つぐみさん 光源氏
アーーーーーッ!!!かっこよすぎるー!!!!!!この世の人類みんなハニーみたいな顔してる!!!
たぶん源氏物語にも私みたいなモブ下女山ほどいたと思うよ。存在だけで尊い、お姿拝見できるだけでも徳を積んだ甲斐あったと思えるほど。そんな眩しく光り輝く珠のような、武藤つぐみさん演じる光源氏。武藤光の君と呼びます。武藤光の君、登場して1秒で姫君4人も侍らせてるのおもろすぎでしょ。助かります。5景は出てくる人も多くてバラエティ豊かで賑やかな景!ってイメージがあったんだけど、今回もそれに違わぬおもしろ賑やかな景。いや光源氏は光GENJIでもそこまでやれと誰が言ったってんだ……目に映るもの全部ハニーなんか……姫君たちとキャッキャしてる(お尻触ったりやりたい放題である)のに、1人になってからのどこか冷たさや陰すら感じるあの鋭い儚さ、なんなんだろうね?光が強ければ陰も濃くなる。言い尽くされた表現になってしまうけど、そういうところも光源氏が人を惹きつけて止まないチャームなんだろうか、と思った。武藤光の君、あまりに罪深い。武藤光の君に刻まれているタトゥーがまた「罰」を背負ってるゆうにも見えていいね…とてもえっちです……。
6景 ゆきなさん 明石
なんでこうも愛らしいんだろう。ゆきなさんってほんと愛らしさと可愛らしさの塊みたいな踊り子さんだ。そんな方が去年はあの鵺をされてたというのだから底知れない、すごい人だとも思ってます。今回は流された果ての地で出会う明石の君。海に映る月が美しいステージ演出がめっちゃ綺麗で、ドレスもベッド着も青を基調にされていて美しい。美しくて可憐。何これ?「海と悲しみ」が心に沁みる景だなと思います。明石はずっと月の下でふわふわと可憐に舞い続ける、御簾の向こうでは知らずのうちに彼女の行く末が占われている…と感じたけどどうかな?盆での美しいポーズの連続は、この地を去っていく光源氏への手向けなのかもしれない。
7景 徳永しおりさん 紫の上
「ぼくがかんがえたさいこうのおよめさん」最終章。こんなに美しくファビュラスに育ちましたよ!!!!徳永しおりさん、あまりに美しい。ゴージャス。全員総出で花を添えてもまだ足りないくらいの美しさ。ほんと素晴らしいですね。公演のメイン景なので、原典の紫の上にもしんどい話が数あれど、ここでは「めちゃくちゃ愛されました!」「そんでもってめちゃくちゃ祝福されてます!!」な場面を拡大して引き伸ばしてゴージャスな仕上がりになってる。紫の上お召し物も美しい。あの時の無邪気な少女のまま、身体がしっかりと大人の女になったアンバランスな魅力みたいなものも備えてるしおりーぬの上様でした。
とか言ってたらそろそろ最寄りっぽい。今回も非常に良い遠征となりました。大好きな人たちのステージを見て、朝から晩までめちゃくちゃ呑んでええ気分で〆といたします。
次は11月頭か中で行きます!