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殻王。王国へのご招待。

梅雨晴れのある日、

川を見下ろせる高台へ行ってみた。

ゆったりと流れる

川からの風が気持ち良い。

風はひんやり、一方で、太陽は照り付けあつい。

藤棚の木陰にベンチを見つけ、避難した。

藤の花はだいぶ前に咲き終わっていた。

すでに剪定され、新緑がまぶしい。

すると、若々しい葉のうえに、

お客さんがいた。

お客さんは、2、3、3、2、1、・・・・(数えきれない)

ここは、一体・・?!

お客さんはわたしの方なのだ。

彼らこそ、ここの主たちであった。

どうやら、

かたつむり王国に、

招待されてしまったようだ。

殻の大きさは、小さいものから、成人サイズのものまで。

陽射しから隠れるように、

地面の方を向いて、殻はくっついていた。

・・・一瞬、

かたつむりのいる葉っぱをいちまい頂戴し、

お持ち帰りしようか考えたが、

すぐにやめた。

かたつむりは寄生虫のいる代表格。

糞にもいるため、

かたつむりハウスのお手入れには、気を使うだろう。

そもそも、ベンチに立って背伸びしても、藤棚の葉まで手が届かないしな。

微動だにしない殻たちを、

しばし鑑賞したのち、

王国をあとにした。








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