西洋美術史Ⅱ (ムサビ通信)
レポート2本の内容を振り返ります。
ロマン主義を選択し、評価は【A】でした。
広義のロマン主義(感情や非合理性を称揚する態度、つまり教条主義や古典主義の対概念)と、狭義のロマン主義(教科書で言うところの新古典主義とリアリズムの間に挟まれた範囲)の違いについて明確に記述できていなかったので、文中で触れたナザレ派やラファエル前派の扱いが曖昧だと指摘がありました。ロマン主義美術の多様性が整理できていないが故に色々と盛り込んでしまっていたので、どこまでの範囲をロマン主義として扱うか自身の態度を明確にすべきでした。
モネ《睡蓮》(1916 年 国立西洋美術館所蔵)を取り上げ、評価は【S】でした。この課題では構図、色彩の配置、モティーフや奥行きの表現、筆触の使い分け、視線の誘導など作品の鑑賞からのみ得られる情報について記述します。私は水面、葉、花についてそれぞれ分析しました。
ただ、いくら入念に分析したとしても絵画を記述する語彙を持ち合わせていないとただの稚拙な感想文になってしまい、2000字を書き切るのは難しいです。そこで取り組んだのは以下の点です。
■ 絵画技法を学ぶ。『巨匠から学ぶ実践シリーズ』(グラフィック社)や『巨匠に教わる 絵画の技法』(視覚デザイン研究所)がおすすめです。「こうやって描かれてるのか…」と知ることが分析の一助となるので対象作品には使用されていない技法も大いに参考となりますし、思い返すと技法を学ぶことがこの課題の一番の助けとなった気がします。
■ 実物を見に行く前にレポートの構成を練る。どの課題にも通じることですが、事前にレポートの骨組みを作っておくと、実物の鑑賞が「仮説を検証する」という一歩踏み込んだものになるので「せっかく美術館に行ったのにレポートが書き進められない」という事態を避けることができます。
■ プロの文章を読む。作品集、図録、論文、書籍から自分が目指す切り口で書かれた文章を探し、絵画の文脈で使う語彙や言い回しをメモします。鑑賞の視点も増えますし、今後の学習にも役立ちます。
■ 色を正確に知る。「ブルー」に見える色が実際は「グレー」だったりします。自分の目は信じず、以下のサイトを利用して記述したい箇所の色を分析しました。作品の画像を使って色解析で得た16進のコードをEncycolorpediaに入力すると色の名前が分かります。そうすると例えば「グリーン」ではなく「オリーブグリーン」「アーモンドグリーン」というように正確に色彩について記述できるので、分析の客観性が増します。(独自の方法なのでご参考までに…。)