装飾という意味でデザインという言葉を使うのそろそろやめない?
デザイン とは
デザイン(英語: design)とは、審美性を根源にもつ計画的行為の全般を指すものである。意匠。設計。創意工夫。
デザインとは具体的な問題を解き明かすために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。
日本では図案・意匠などと訳されて、単に表面を飾り立てることによって美しくみせる装飾(デコレーション)と解されるような社会的風潮もあったが、最近では語源の意味が広く理解・認識されつつある。
デザインはさらに形態や意匠に限らず、人間の行為(その多くは目的を持つ)をより良いかたちで適えるための「計画」も意味する。人間が作り出すものは特定の目的を持ち、それに適うようデザイナー(設計者)の手によって計画されるのである。
(Wikipediaより抜粋)
ローソンのプライベートブランドのパッケージデザインの新装について賛否両論ある。
最初にわたしの意見を示すと、このパッケージは良くないデザインだと思う。
初めて店頭で見たときからモヤっと感はあったが、冷静にモヤモヤをひとつずつ解いてみた。そしてわたしなりの答えにたどり着いた。
賛成意見
・見た目が可愛くてわざわざ足を運んででも欲しくなる。
・選ばれる商品をめざしたターゲッティングにおいては的を射ている。
・部屋に置いて馴染む商品という生活目線で考えられている。
批判が出た意見
・商品が陳列された状態での視認性が悪い。欲しいものがみつからない。
・商品名がローマ字表記でなんの商品かわからない。
・似た商品を間違えて買ってしまった。
・ユニバーサルデザインが取り入れられていない
https://wezz-y.com/archives/77514わ
わたしはこの記事で指摘されているある部分がとても気になった。
商品の裏側のデザインについて。
レンジで温めるタイプのレトルト製品。
旧パッケージには
加熱後はここをお持ちください
やけどに注意
という文字が赤色で書かれている。
色彩において赤色は誘目性が高い色。
誘目性というのは特に注意を向けなくても目に飛び込んでくる性質のこと。日常生活の中でも信号機や標識でも特に強く示される色なので目をひきやすいということは経験としてわかるはず。
新パッケージでは裏面の表示がすべて茶色に統一されており、注意書きに目がいかない状態になってしまっている。
特定のターゲット層のための商品だとしても、これでは"選んで買った人"にも危険がおよびかねないデザインなのではないか。
ちょっとやけどするかどうかの注意書きで大げさな、と思うかもしれないけどこのモヤモヤにはもうひとつ理由がある。
同じデザイン事務所の設計でコフフンという駅前広場のデザインがある。
ぱっと見かわいくておしゃれでこどもが楽しめそうな遊び心もあって人がたくさん集まりそうな素敵な広場だ。
しかし、こちらの広場の一部遊具に危険性があり使用停止になっている遊具があったり、すべて白で塗られたことにより特に階段の視認性が悪く危険なことや、日差しが強い日は真っ白の照り返しがとてもまぶしかったりする。
デザインはそれを使う人やまわりの環境、そのものの動き方を考えたうえでつくっていくべきだと思う。
ターゲット層に届けばいいという考え方もあっていいとは思うが、あぶないデザインはすべての人にとってあぶない状況となり得る。
デザイン事務所のファンの方はこれをみてモヤモヤしてるかもしれません。
nendoのデザインは方向性として普通とはかなり違うとんでもない角度からのアイデアを形にしていて、天才だと思います。
しかもそれがものすごいペースででるわでるわ。いつもびっくりする。
今回のデザインも部屋に置いておきたい、足を運んでわざわざ買いたい、集めたいと思えるデザインへの方向転換という視点は素晴らしいと思うし、実際それを素敵だと思って支持している人もたくさん見た。わたしの友達もたくさん買ってた。
わたし自身もあの見た目は可愛いと思う。
でも安全性がきちんと確保されない"あぶないデザイン"にはやはりNOを伝えていくべきだと思う。
ちょっとまって。それって大丈夫?
という目線があればもう少しかわっていただろうし、そのままの方向性で、かつ広く受け入れられるものもできたかもしれない。
それ大丈夫?と思う人がいなかったのか、いても声が届かなかったのかはわからない。
話が脱線するが、私が大好きなブランドのミナペルホネンの皆川明さんは服飾学生時代に自分でなかなか縫製がうまくできずに課題の提出が絶望的でいつも友だちに縫ってもらっていたそう。すべてのことが上手にできなくてもそれを補えるチームで作り上げる力があればいい、と。
ちょっとまって。という補う声がなかったのは残念に思う。
デザインはただの装飾ではなく、それによってまわりの環境や人々の行動に大きな影響がある。
人間工学という言葉を知らない人は調べてみてほしい。物における安全性や使いやすさを追求するため、人の心理や構造に沿った構造を考えるもので、人間工学はデザインの根元にあるべきものだと思う。
今回私のモヤモヤのうちになかったことだったので詳しくは触れなかったけれど、インフラとしてのコンビニの立場やユニバーサルデザイン(UD)についての意見をみて、あらゆる人に対する目線もやはり必要だと思った。
"デザイン"という言葉はもっと深く広い意味で語られるべきだし、「可愛いからそれでいい」で擁護していいような簡単なものであって欲しくない。
という私の願いです。
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