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もし誰かが

駅で切符を落とした、らしいことに気づいたのは、ウインドウショッピングをしている途中だった。
ちゃんとあるよなあ?とポケットに手を入れたら、ない。近くのベンチに座ってもう一回全部出して見たけど、ない。
あれ?いつもこのポケットなのに、財布に入れちゃった?と思って財布を見ると、さっき切符を買ったときの領収書が出てきた。
家計簿をつけようと、もらっておいたのだ。
いや、それをもらって本体がないならダメじゃない。優先順位が違うじゃないか。

くそー、買いなおすか・・・と再び券売機に向かうことにした。
さっき、カフェに行きたいと思ったけど、行かなくてよかった。雑誌も買わなくてよかった。それらの分ということにして、新しい切符を買おう。
落とし物の失敗は回数を重ねたせいか、私は前ほど焦らなくなっていた。でも、携帯だったらほんとに焦ると思うな。電子マネーや定期券だったらもっと焦るのだろうか。

ほんとは、さっき歩いた道を全部辿るのがいいと思ったけど、何となく早く券売機に行きたかった。
財布に領収書を入れたときのことを疑っていたのかもしれない。
その勘は当たりで、券売機の前に切符が一枚、落ちていた。
額面が自分の買ったのと同じ、切符だった。
周りの目が少し気になって、さっきの領収書を取りだし、時刻を確認した。同じだ。ちゃんと私のものである。
よかったー!ラッキー!助かったー!

それにしても。
もし誰かが気を利かせて、駅員さんに切符を渡してくれていたら?
今日の私は声をかけることができていなかったかもしれない。親切は行動する方だと思うけど、何をラッキーと受けとるかは状況によるのかな・・・なーんて思いながら、すぐに改札をくぐったのだった。お騒がせしました、切符ありました。ありがとうございました。

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つめだ えん
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