BFC千字戦の帰り

 BFC千字戦が終わって、私はカラオケを出ました。
 私はカラオケに居ました。カラオケだったら大きな声を出してもいいし。あとヒトカラも好きですから。千字戦は20時からでしたので、18時からの夜のフリータイムで入りました。
 セッティングというか、まあ、千字戦の準備を整えてから、滅多に使わないノートパソコンを充電して、スマホをネットにつなぐための機器にして、タブレットを準備して、メモ用紙なんかを準備して、それから飲み物を汲んできて、それからヒトカラをしました。雑念を追い払う為です。
「もしかしたら出来ないかもしれない」
「もしかしたら何も書けないかもしれない」
「もしかしたらズタズタにされるかもしれない」
 もしかしたら。もしかしたらを取り払う為です。私は隙があるとすぐにもしかしたらに憑りつかれてしまうのです。だから、それを、もしかしたらを取り払う為にヒトカラをしました。
 千字戦が終わってからカラオケを出ると、もう日が変わっていました。
 私は家に帰りました。
 家に帰る途中にファミリーマートがありました。私はファミリーマートに入りました。ファミリーマートで、その日のお酒、RAINBOWっていうオーストラリア産のワインと、トルティーヤ牛肉味ハムチーズ味を買いました。
 袋は貰いませんでした。
 だぶついたdポイントが999ポイントあったので、それを使いたかったのですが、袋も購入するという事になると、合計が999ポイントを超えてしまうのです。だから袋はもらわず、ワインとトルティーヤは手でもって家に帰りました。ちなみに片手にはノートパソコンを入れたケースを持っていました。
 家は集合住宅です。二階です。手に色々と持った非常に無防備な状態で階段を上がりました。その途中、鍵がズボンのポケットに入ってる事を思い出して。ワインを脇に挟んだり、トルティーヤを右手に持ち替えたりしました。その時不具合が発生して、トルティーヤが手から落ちました。あ、っと思った時にはもう遅くて、トルティーヤが階段を滑落して行きました。
 千字戦のあった日の午前中、ようつべで野生動物の滑落集を眺めていたばかりの私はただただそれを成すすべなく見ていました。
 世界一のロッククライマーと称される山羊ですら時には滑落するのです。だから私のトルティーヤはもう、それはもう簡単に滑落してしまうだろうな。私は階段を滑落するトルティーヤを眺めながらそう思いました。

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