イングランド × スロベニア Euro2024



メンバー

ゲームレビュー

ともに負けなければ決勝T進出が決まるチーム同士の試合。
イングランドが押し込む時間が長いが決定機は作れず。
スロベニアは重心を落とした442のブロックで、カウンターはシェシュコとスポラルを走らせたいが、大きなチャンスは作れず。
結果はスコアレスドローに。

イングランドの保持は基本442に見えたが、ベリンガムとフォーデンの位置取りがフリーで、明確なものはつかめなかった。
おそらくフォーデンが絞りたがるので、ベリンガムが人数調整のため左サイドに張る時間が長かった。
非保持は442でベリンガムがケインと並ぶ。ネガトラの足並みが揃わず、簡単に剥がされるシーンがいくつかあったが、最終ライン+ライスの個人能力が高く、大きな問題には繋がらなかった。

スロベニアの攻撃はまず前線2枚を狙う。特にスピードがあるシェシュコの裏が第一優先。
それが消された場合はサイドからの前進。正直シェシュコとオブラクを除いて知らない選手ばかりであったが、中盤から前の選手は皆カウンター時も見込み薄い時は止まれるし、孤立させない適切な距離のサポートはできていた。
非保持は442ブロックでライスやギャラガーに入ってからケア。最終ラインまではいかない。
ロングカウンターは割としんどそうであったので、勝たなきゃいけない試合であればもう少し前から出ていってショートカウンターを繰り出したいところだが、引き分けで良いし、ピンチも作られないしという試合であったので、ブロック作った守備で悪くないよねといった感じだったように思える。

チームレビュー

イングランド

つまらないのは昔からと思いつつ、確かに良くない。どこから崩したいのかが見ててわからない。

崩しの鉄則はまずペナ角をいかにとるか。
では、誰がどのようにとるか。
もちろん一辺倒ではダメだが、ドイツであればハヴァーツのラン、スペインであれば両WGのアイソレーションからのドリブルなど、強みを活かしながらペナ角を取る工夫が見られる。

イングランドはどうか。
1つはベリンガムのラン。後半サイドに張る時間が長くなるにつれ減ってしまったが、奥行きを意識していた数少ない選手の一人。
もう1つはサカの個人技。サイド2枚で彼をケアしてるためかなり難しかったが、ウォーカーとレーン交換しながら相手を動かす明確な意図が伝わってきた。

ではなぜうまくいかないか。やはり3人目の連携が乏しいことが挙げられる。
トリッピアー、ギャラガー(後半からメイヌー)、フォーデン、ケインは与えられたポジションから必然的に彼らの近くに位置取るが、誰がどのように関わるのかが全く持って不明瞭。
(メイヌーはサカの近くでプレーする意図が感じられ、後半は右から動かすシーンがいくつか見られた。)

決して彼らを批判するつもりはなく、一定の戦術の落とし込みも、うまくいかないときの手当もできていないコーチ陣の問題が大きいか。
ドイツやスペイン、スイスなど完成度高いチームが今大会上がってきているので、このまま何も改善されないようだと、決勝Tで勝ち進むことはかなり難しいように感じる。

スロベニア

引き分けで良い彼らにとってはそこまで難しくない試合であった。ただ、決勝Tで勝ち上がるには何かを変えないと難しい。
シェシュコが沈黙しているのが個人的には気になった。非保持でもライスやギャラガーに入ったらプレススタートだが、だいぶ緩慢に見えた。
トーナメント戦において、不利なチームがPK戦を狙って守備的に戦うことは立派な戦術であると思っているが、ただ引くだけでは到底敵わない。
彼らがどのように戦うのかはわからないが、前線からの守備、カウンターの切れ味など、質を高めないとなかなか厳しいように思える。

プレイヤーレビュー

ベリンガム

奥行きを取るラン、左の幅取りと気を遣ったプレーが見てとれた。やはり周りを見ながらのプレーができるのは流石レアルクオリティ。
ただ、気持ちが前傾し過ぎなように思える。
チームを引っ張る気概は素晴らしいが、逆にイライラを見せるシーンが多いし、何よりネガトラの反応が非常に悪いのはいかがなものか。
フィジカル・スピード・テクニック。全ての能力が高い彼をゴールに近づけたい気持ちは分かるが、イングランドにはクロースもモドリッチもいないので、3列目からスタートさせてもっと後ろからボックス内に侵入させたい。

ケイン

チームレビューにて選手に非はないと書いたが、彼は明らかに精彩を欠いている。
サイドへのサポートが遅いし、ペナ内の動き直しも少ない。そして単純にボールが収まらない。
位置取りに関しても、バイタルエリアを使うのが上手い選手だが、チームにはフォーデンがいるので、もう少し我慢してDFラインを引っ張って欲しい。
このクオリティであれば、ちゃんと奥行きがとれて、ペナ内の動き直しもサボらないワトキンスが見たいが、サウスゲートはその判断はしないだろう。

サカ

彼とウォーカーの右サイドがこの試合の希望。
裏へのラン、ボールキープ、ターンで剥がす、一つ奥へのパス。派手ではないが効果的なプレーを繰り返していた。
あとはもう一人、サカと近い距離で関われる選手がいれば、右サイドの崩しをチームのストロングポイントまでもっていける。
ただ、運動量豊富にサポートに動き、スモールスペースで活きるようなキャラクターの選手がいないので、いっそ決勝Tからはサカをインサイドに置いて、右サイドにフォーデンかパーマーを置く形を提案したい。

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