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チークをつける

母が亡くなってから化粧をする気力も湧かず、
しばらくはそのまま。
人前に出れるようになって、
なんとか眉毛だけは描けるようになり、
一周忌と二ヶ月が過ぎた今日、
あ、チーク、つけてみようかな、という気持ちになった。

母が亡くなる前までは
表参道にあるトリートメント専用と髪を切る美容院とをわけて通い、
ネイルやマツエクにも1ヶ月に一度は通っていて
帽子と靴と、洋服が大好きで、
(おしゃれが好きな母の影響もあり)
世の中に溢れている大好きを無邪気に受け取っていたのに

そこへ戻る気にもならず
欲という欲がなくなり

存在感の小さくなった体と
色のない顔で過ごしていたら、
ふと鏡を見て「白い・・・」
白い顔の自分に、初めて寂しい感情が生まれた。

チーク、つけてみようかな。
以前は必ず化粧の手順で欠かさなかった、頬骨の上のピンク。
鏡に映った顔に、色がのっただけで
ちょっとハートが温かくなった。

気持ち、変わるもんだね。
かと言って、母が突然いなくなった寂しさや
救えなかった罪悪感はまるきり消えていないし、
襲ってくる波濤の山は、けして低くならない。
泣かない日はない。

けれども、
ずっと母にむけていた気持ちの矢印が
ちょっとだけ自分に向いたような。

日々の揺れや
変わっていく気持ちを残しておきたい、と
noteを始めたのも、ものすごい変化だ。