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動物のカメラ目線を強要し過ぎない方がいい訳

動物を撮影し始めて、カメラの使い方だけではなく動物を知るために動物行動学を独学で学び、図書館がお友達な今日この頃。図書館の楽しさはまだまだ続きます。
無料で本がしっかり読めるというだけではないんです。
図書館のあの空気って、独特な集中力が生まれて読むチカラになっています。

で。いきなりそれた。
お出かけの先や公園などでご家族が愛犬にカメラ目線を要求している姿を最近よく見ます。が、結構その技法が様々でおもしろいです。

1・名前を呼びまくる

2・「おやつ」「ごはん」のワードで向かせる

3・「ご家族やお友達の名前」+「どこ?」で目線誘導

4・おやつを見せちゃう

この辺がトップじゃないでしょうか。カメラは向けたままで。
でも、この動きは犬にカメラというものを理解してもらっていなかったら単純にご家族の一方通行的な熱い思いだけなんですよ。

カメラというもの、それを使った写真を撮るということの一連の流れが理解できているのはカメラを構えている人間だけ。
犬はなんのことやらさっぱり…みたいな。
「どうしてそんなことをしているの?」ではなくて、「あ、それ写真撮るのね。知ってるー」と思ってもらわないといけません。
犬に少しでも理解してもらえればカメラ目線もらうなんて簡単。

動物らしい動物の傾向が強ければ強いほど、カメラレンズを向けると攻撃的な面が強くなってしまう傾向にあります。
というのが、動物同士のアクションのひとつに緊張モードになった時は相手の目をじっと見てしまうというもの。
カメラのレンズには動物の目を思わせてしまうことがあるんです。
デジタル一眼レフやミラーレスカメラのレンズを正面からしっかり見てみると、何を始めるかわからないけどなんかその緊張状態の動物の目かのように力強くまん丸に見えています。
正面から見てた状態でシャッターを切るとレンズが開いて閉じてってしますよね。瞬きみたいな。
レンズ径が70mm以上の大きなとかもうもしかしたら恐怖以外の何物でもないかもしれないです。
新しいiPhoneのまるまるまるレンズなカメラなんてどうしましょう。。

過去、レンズ交換のできるデジタル一眼レフで撮影しようと思った時にレンズに突っ込まれて保護フィルターが割れたことがありました。
私もこの時 動物とカメラのレンズに対しての知識が少なすぎたため、これを機に動物研究の大学の先生に質問メールをしたり、おすすめ頂いた本を買ったり読んだりして知識を深めた経緯があります。
そして、きちんと知ってもらおう。カメラを通じて犬に安心感を増やしてあげようと思ったのでした。学べばこれって犬が悪いわけではないのが分かってもらえるからです。

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犬の視力は0.3程度と言われ、色も少しの色が認識できていると最近の学会では発表されています。以前は【犬は白黒しかわからない!】と言われ続けてきていました。
ですが、研究が進み今は犬が見えている世界はモノクロではないという論文発表がなされるようになりました。
目は良くないけれど、それ以上に動いているものには人よりも早く気づきます。それが動体視力の能力が発達している犬の特徴のひとつ。
狩猟などでお仕事をしている犬なんかが代表格ですかね。

普通に人と暮らす犬でも歩いている虫に興味がいったり、住宅街で自転車やバイクのカバーが風に吹かれて【ふわん】とするだけで「ヒエェ!!」と驚きます。
犬自身が動かしているわけではないから脳が突然の出来事に驚くんですよね、これは人も同じ。
もちろんこれだけでなく、犬を含めた動物は人よりもデリケートで様々なものに敏感に反応します。
気の小さいデリケートな性格の犬は思わず目を閉じたりそらすはずです。
人で言うところの「あああアレあんまり見たくないですぅ」となっちゃう感じ。
スマホのカメラだと小さくて動物の目にはわかりにくいこともありますが、カメラが苦手になった犬はスマホも向いてくれないことが多いんです。
これを悩みにするご家族が本当に多い。

じゃぁ、どのようにカメラ目線の写真をゲットすればいいのか?

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今まで数百頭たくさんの様々な犬を撮影してきた経験で皆さんとシェアします。
すぐにできるかもしれないし少し時間はかかるかもしれません。でもこれって犬の個性ですし、人が変わるヒントなのかなとも。
通常の愛犬撮影でも行っているヒントもありますので、ご興味ありましたらご購読ください。

私たちのドーベルマンです。パピーの頃からカメラ大好き。
カメラは犬にとって【緊張状態になるもの】【怖いもの】ではないということを時間をかけてその犬のペースに合わせて知ってもらう必要があります。
最初からカメラで構えることはしませんでした。

1/犬のそばにカメラを置いてみる。
2/機械の匂いを嗅いでもらって覚えてもらう。
3/それがカメラが自分に攻撃しないものだと認識してもらう。
4/そしてカメラと仲良くなれるんじゃないかと思わせる。
5/とりあえずシャッターを切ってシャッター音にも慣れてもらう。
6/シャッターを切る。
7/シャッター切った後のフォローも忘れない。

この時必要だったのは笑顔とおやつ(補助的なポジション)。

1/笑顔で犬のそばにカメラを置いてみる。
2/機械の匂いを嗅いでもらって覚えてもらい、こっちを見たら笑顔を送る。
3/それが自分に攻撃しないものだと認識してもらえたら笑顔で返す。
4/そして仲良くなれるんじゃないかと思ってくれそうなら笑顔を送る。
5/笑顔でしれっと出したシャッター音も聞いてもらい、慣れてもらう。
6/笑顔でシャッターを切る。
7/シャッター切った後の笑顔なフォローも忘れない。

笑顔とおやつをプラスすることは、ポジティブなイメージを増やしてあげるということです。

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カメラを持っているだけで構えずに犬へ笑顔を送ることも大切
時々構えるフリとかして笑顔を送るのも大切
声の高さや抑揚をつけることも大切
カメラを犬へ向けたりしたりしなくても、あげるおやつは毎回じゃなくていいと思います。
頭のいい犬ほどおやつ目当てに演技することもありますし、あげすぎるのも犬の健康面から少し考えないといけません。

さらにカメラやスマホを持ったりした時に大きな音を立てたりしない。
カメラやスマホをテーブルに置く時もそーっと、「ゴンッ」なんて音をさせてしまったらもうゼロからやり直し。犬は結構こういう音が嫌いです。
犬との信頼関係も築き直しになることも。
ちゃんと謝ってくださいね。人が思うより犬は物音を敏感に感じます。
犬にとっての大丈夫を増やすことが犬の苦手意識を小さくしてあげるために人が毎日できることです。

そこまでしなきゃいけないの?って思っている人もいるはずなんです。
ここまでしないといけないんです、犬って。かしこいから。

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思っている以上に繊細な生き物なんです、人の感情も共有する傾向があったりもするので、今までは大丈夫だったものが大丈夫ではなくなることだって普通にあります。
だから犬と暮らすのは時に本当に大変な事も。病気やケガの介護だけが大変な訳ではないのが犬なんです。

サポートいただきありがとうございます。 愛玩動物飼養管理の基礎に忠実に、一人でも多くのペットのご家族へ正しい知識を広めることができるための活動に使わせていただきます。