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世界に入り込む

メソッドアクティングを習い始めた頃、身体運動に頼りすぎる傾向の強かった僕は、周りの俳優達と比べると集中力が欠けていることにコンプレックを感じていました。集中が上手く出来ないときに、無駄に表情や身体を動かしてごまかす演技を続けていたのです。明らかに集中が長く続かない傾向にありました。ところがある時、先生から与えられた課題を一旦無視をして、僕にしか判らない事柄(ぼくが特別に詳しいジャンル)にサブジェクトを置き換えて演じてみました。すると瞬時に集中に対する心配は消え、不思議なほど濃密で深い世界を体験できたのです。それはまさにMagicalのようでした。何十人もの俳優達に囲まれているクラスの中だということを完全に忘れるほど没頭していたのです。その時に学んだことは「如何に自分を操作するか」ぼくは僕自身のSheep Herderになることが出来たのです。他の俳優達と同じよう取り組んでいたら太刀打ちできないことも「これは自分が得意としている分野だ」というものを目的に据えれば、物語の世界へ無理なく連れていけることに気づいたのでした。これは今も自分を支えています。周りと自分を比べる必要もなく、自己を卑下する必要もなく、ヒントは全てぼくの中にあったのです。

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