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コロナウイルス拡散経過実体(2~8)

アメリカ最悪のシナリオ「9600万人が感染、48万人が死亡」新型コロナ治療最前線の米教授が推定
飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト 2020/3/9(月) 7:17記事 
 前回の記事“「新型コロナで死亡する日本人は57万人」米著名シンクタンクが掲載する報告書の中身”では、オーストラリア国立大学の教授が分析した、新型コロナウイルスによる推定死亡者数を紹介した。その数に驚かれた方も多いことと思うが、その数に近い死亡者数を推定している博士がいる。ネブラスカ大学医療センター教授のジェームズ・ローラー博士だ。

新型コロナ治療最前線の教授
 ネブラスカ大学医療センターは、中国や「ダイアモンド・プリンセス号」で感染したアメリカ人感染者が搬送されて治療を受けている施設だ。また、新型コロナの治療薬として期待されているエボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」の有効性と安全性を立証するための臨床試験が行われていることでも注目されている。

 新型コロナの治療と治療薬開発の中心ともいえる医療センターで重要な役割を果たしているローラー博士は感染症専門医として知られ、2017年~2018年には、隔離されたエボラ出血熱患者の治療に当たった。今回も、搬送された新型コロナ感染者の治療に当たっている。

 博士は、また、ジョージ・W・ブッシュ政権下では国土安全保障会議のメンバーを、オバマ政権下ではアメリカ国家安全保障会議のメンバーを務めた。

アメリカ最悪のシナリオ
 感染症研究の第1人者と言えるローラー博士は、2月26日、アメリカ病院協会主催のオンラインセミナーで、“アメリカ最悪のシナリオ”を紹介していた。博士はそのセミナーで「医療のリーダーたちが知っておくべきこと:COVID-19に対する準備」と題するプレゼンテーションを行い、衝撃の数字を発表していたのだ。その数字が出ているドキュメントをビジネス・インサイダーが入手し、紹介している。

 その数字とは、アメリカで新型コロナに感染する人数は推定9600万人、死亡する人数は推定48万人。

 ちなみに、前回の記事で紹介したオーストラリア国立大学のマッキビン教授が分析したアメリカにおける推定死亡者数は、最善のシナリオで23万6000人、最悪のシナリオで106万人だ。マッキビン教授が分析のために想定した7つのシナリオの1つでは、58万9000人の死亡者数も推定されているので、ローラー博士の推定はこの数字に近いといえる。

 また、そのドキュメントによると、高齢者は新型コロナで重症化し、80歳以上の人々は死亡率が14%になるという。

 70~79歳の死亡率は8%、60~69歳は3.6%と推定されている。

 また、心臓に問題を抱えている人の死亡率は10%、持病を抱えていない人の死亡率は1%と推定している。ちなみに1%というのは、季節性インフルエンザの死亡率約0.1%の10倍である。そのため、スライドの最後では「季節性インフルエンザの約10倍重い疾病に対する準備をしよう」と呼びかけられている。

 ローラー博士の様々な推定が記されているプレゼンテーション用のスライド。ビジネス・インサイダーが入手した。出典:Business Insider
 ビジネス・インサイダーが入手したスライドによると、コミュニティ罹患率は30~40%、入院する感染者は5%、集中治療室で治療を受ける感染者は1~2%、人工呼吸器が必要な感染者は1%と推定されている。

病院は増える感染者対策を
 アメリカ病院協会は「オンラインセミナーは、病院側の見解ではなく、スピーチする専門家の見解を反映したものだ」と、ローラー博士の報告に対して客観的な見方をしているが、博士が報告した推定は、マッキビン教授が報告した推定に近いことは注目に値すると思う。

 ローラー博士は、病院がこれから増加する感染者に対応する準備を行って死者数を抑える必要性を感じ、推定した数字を報告したという。

 日本の病院も、検査件数の増加とともに増える感染者数に対する準備が急務だ。

(ライター飯塚真紀子 在米ジャーナリスト)

コロナ、昔と今のデータ比較 最大感染国アメリカ感染者数の概要 2020年8月1日現在(UTC)
アメリカ合衆国 464万新規  感染者66,364 件
回復者数227万 死亡者数15.6万

全世界全世界 1760万
新規 29.3万 件
回復者数1030万
死亡者数67.9万


クルーズ船内(ダイヤモンド プリンセス) 岩田健太郎医師
【全文】「ものすごい悲惨な状態で、心の底から怖い」
ダイヤモンド・プリンセスに乗り込んだ医師が告発動画
2/19(水) 14:31配信 BuzzFeed Japan 

告発動画の全文は下記の通り。(本文のみ引用)

岩田健太郎です。神戸大学病院感染症内科教授をしていますけれど、いまからお話しする内容は神戸大学など所属する機関とは一切関係なく、私個人の見解です。あらかじめ申し上げておきます。

きょう2月18日に「ダイヤモンド・プリンセス」に入ったんですけども、1日で追い出されてしまいました。なぜそういうことが起きたのかについて、簡単にお話ししようと思います。

もともとダイヤモンド・プリンセスはすごくCOVID-19の感染症がどんどん増えているというとで、感染対策がうまくいっていないんじゃないかという懸念がありました。
(日本)環境感染学会が入り、FETP(実地疫学専門家養成コース:Field Epidemiology Training Program)が入ったんですけど、あっという間に出ていってしまって。中がどうなっているか、よくわからないという状態でした。

で、中の方からいくつかメッセージをいただいて、「すごく怖い」と。「感染が広がっていくんじゃないか」ということで、私に助けを求めてきたので、いろんな筋を通じて何とか入れないかという風に打診してたんですね。

そうしたら昨日、2月17日に、厚労省で働いている某氏から電話があって、「入ってもいいよ」と。で、やり方を考えましょう、ということでした。
最初は環境感染学会の人として入るという話だったんですけども、環境感染学会はもう中に人を入れないという決まりをつくったので「岩田一人を例外にできない」ということでお断りをされて。
結局、DMAT(厚生労働省の災害派遣医療チーム:Disaster Medical Assistance Team)ですね。「災害対策のDMATのメンバーとして入ったらどうか」というご提案を厚労省の方からいただいたので、わかりましたと。



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