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サンデル教授の大統領選挙分析

サンデル教授の大統領選挙分析  2020年11月02日
サンデル教授「バイデンが大統領選で勝っても、根本的な問題は消えない」

11/1(日) 18:00配信 クーリエ・ジャポン 画像クーリエ・ジャポン マイケル・サンデル教授「民主政治を壊すのは、トランプかフェイスブックか?」 | クーリエ・ジャポン

米大統領選目前、分断された今の社会に必要なのは、政治を変える以前に、「エリートたちが謙虚さを養う」こと──ハーバード大学の政治学者マイケル・サンデルが語った。

ボストンはザーザー降りの雨だった。哲学者マイケル・サンデルとのインタビューは、新型コロナ感染予防のため密閉空間を避けて彼の自宅の庭でする予定だった。しかし、前もって言われていたように、雨だったら場所を変更するしかない。

サンデルは午前中、オンライン授業で忙しい。だから、屋外だけれども雨に濡れずにすむ、代わりの場所を探すのは、ジャーナリストの私の役目となった。
私が思いついたのは、「ハーバード大学カーペンター視覚芸術センター」の無機質なコンクリートのベンチくらいだった。この建物は、ル・コルビュジの北米唯一の建築で、ベンチはカーブを描くスロープの下にあった。

サンデル教授は、名門のハーバード大学の教室でも、数百万人がYouTubeで視聴する正義についての講義動画でも、聴衆の先入観を吟味するソクラテス式問答法を実践することで知られる。私の場所のチョイスについては「いいところを思いつきましたね」と言ってくれた。(画像は別)

「心に響きそうですよ。記憶に残る気がします」

サンデルの新著『メリトクラシーの暴政』(未邦訳)は、ここ数十年の革新派の政治を率いてきた人物たちにとって「心に響く」というよりも「耳が痛い」内容だ。
サンデルに言わせると、革新派の政治家がグローバル化に対応するにあたってメリトクラシー(能力主義)の文化を持ち上げてしまったせいで、労働者階級の人々が当然のごとく怒りを抱き、それが今回のパンデミックへの対応も含め、惨憺たる結果を招いてしまったという。

格差が拡大し、社会移動が停滞するなか、「誰でもトライすれば成功できる」という呪文を唱える罠にはまってしまったわけだ。

サンデル教授に言わせれば、能力主義の文化は、勝ち組を傲慢にし、置いてけぼりにされた人たちに対して優しさを示さない社会を作ってしまったという。見下された人たちの不満と怒りから世界各地でポピュリズムの抗議運動が起き、それがトランプ政権を出現させたというわけだ。

サンデルが提言するのは、成功と失敗の概念を再考することだ。社会が分断され、人々がそれぞれの狭い世界で暮らすようになっているが、謙虚な姿勢をつらぬくことで、民主主義の経験をともに分かち合えるようになるはずだと語る。

世界的に人気が高いサンデル教授は、いわば思想界のロックスターである。オリエンタル柄のマスクを装着して現れると、優しく親しみやすい雰囲気でル・コルビュジェのコンクリートですら少しだけやわらぐかのようだった。

エリートは労働階級の人々を見捨てた

──パンデミックに対応する心構えが整っていなかったと指摘されています。どういう意味ですか。

かつてないほど社会が分断され、バラバラになっているときにパンデミックに襲われたからです。市場を重視する新自由主義的なグローバル化が40年続き、格差はとんでもなく大きくなっていました。成功と失敗に関する社会の見方のせいで、勝ち組と負け組の間に深刻な分断もできていました。

パンデミックでは、私たちがお互いを必要としており、高いレベルでの社会的連帯が必要だということを再認識させられました。しかし、社会に深い分断があったので、連帯心を発揮してパンデミックに効果的に対処することはできませんでした。 (以下割愛 全文はリンクで)



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