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バノン逮捕の衝撃

2020年08月21日

バノン逮捕
トランプ大統領の元側近逮捕 国境の壁建設の寄付 私的流用疑い
2020年8月21日 5時01分 nhk.or.jp/news
アメリカの司法省は、トランプ大統領の側近だったバノン元首席戦略官が、メキシコ国境での壁の建設のために募った寄付の一部を個人的な出費にあてていたとして、詐欺の疑いで逮捕したと発表しました。

アメリカの司法省は20日声明を出し、メキシコとの国境に壁を建設する目的で、数十万人の市民から集めた寄付の一部を個人的な出費にあてていたとしてトランプ大統領の元首席戦略官のバノン容疑者を詐欺の疑いで逮捕したと発表しました。

バノン氏は仲間と共謀し、インターネットを通じ壁の建設費用として集めた2500万ドル以上の寄付のうちおよそ100万ドル、日本円で1億円余りを自身が関係するNPOを通じて受け取り、一部を私的に流用した疑いが持たれています。

バノン氏らは、2018年12月ごろから偽の請求書を作ったり資金洗浄をしたりして着服していたということで声明は「犯罪を隠蔽し、法律や真実を一切尊重しようとしなかった」と厳しく批判しています。

バノン氏はトランプ大統領の側近として2016年の大統領選挙で重要な役割を果たし、政権入りしましたが翌年、解任されていました。

元側近の逮捕についてトランプ大統領は「私は何も知らないし関係してもいない。壁は政府がつくるもので、個人がつくるものではない」と述べ、秋の大統領選挙を前に、自身の看板政策でもある国境の壁の建設にマイナスのイメージがつかないよう、関係がないことを強調しました。


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スティーブン・ケヴィン・バノン

スティーブン・ケヴィン・バノンは1953年11月27日、バージニア州ノーフォークで生まれた。母親のドリスは専業主婦で、父親のマーティン・J・バノン・ジュニアはAT&Tで電話架線作業員および中間管理職として働いていた。彼の労働者階級、つまりアイルランド系カトリック教徒の家庭はケネディ、労働組合、民主党を支持していた。1971年、バージニア州リッチモンドにある私立カトリック系高校ベネディクティン・カレッジ・プレパラトリーを卒業後、バージニア工科大学に入学した。大学では学生自治会会長を務めた。夏の間、彼は地元の解体業者で働いた。あまりに汚い姿で帰ってくるので、彼の母親はしばしば家に入るのを許す前にホースで水をかけて彼の汚れを落とした。1976年、同大学建築・都市学部を卒業し、都市計画で学士号を得た。

大学卒業後、1976年から83年までの7年間、海軍で大尉(O-3)を務めた。その間、太平洋艦隊第7艦隊将校としてUSSポール・F・フォスター駆逐艦に乗艦し、太平洋やアラビア海に派遣された。日本の横須賀基地にも何度も訪れ、海上自衛隊や韓国海軍との演習に参加した。また、ペンタゴンの海軍作戦部長特別補佐官としても勤務した。

海軍兵役中にジョージタウン大学エドムンド・A・ウォルシュ外交大学院で安全保障論を専攻し1983年に修士の学位を取得した。

同年にハーバード大学ビジネススクールに入学し、1985年経営学修士を優等で取得した。

ハーバード大学卒業後、ゴールドマン・サックスM&A部門で投資銀行業務に携わり、1990年に退職、ビバリーヒルズでメディア専門の投資会社バノン株式会社を立ち上げ、成功を収めた。この時にはテレビ番組制作会社キャッスル・ロック・エンターテインメントをテッド・ターナーに売却する交渉を手がけた。娯楽メディアにも参入し、1993年にアメリカの国民的コメディドラマ『となりのサインフェルド』の番組放映権販売に携わった。当時、日商岩井を貿易のパートナーとしており、「90~93年にかけて、私は50%ほどの時間を日本と関わっていた」と述べている。1998年にバノン株式会社をソシエテ・ジェネラルに売却した。また、1993年には調査事業「バイオスフィア2」の代行取締役となった。

2005年から2008年まで香港と上海に滞在し、オンラインゲーム会社の経営に携わった。

1990年代にハリウッドでエグゼクティブ・プロデューサーとなり、保守派の市民運動ティーパーティーを称賛する映画や、2008年の大統領選挙で共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリンを擁護する映画など1991年から2016年までの間に18本の映画を製作した。2010年に大統領選への出馬を考えていたドナルド・トランプと出会い、助言を求められた。バノンは次のように述べている。「〔トランプ氏には〕カリスマ性があり、人間的に魅了されました。しかも鋭い直感を持った人です。大統領候補(当時)としてこれほど魅力にあふれた人は会ったことがありません。」

ブライトバートとトランプ選挙戦
2012年、ブライトバート・ニュース・ネットワークの創業者アンドリュー・ブライトバートが死去した後、その経営権を引き継ぎ、会長に就任し、論客として知られるようになる。このころから反ヒラリー・クリントンの情報戦を本格化させる。選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ役員でもあった。バノンの活動を支えたのが、ヘッジファンドであるルネッサンス・テクノロジーズの共同CEOロバート・マーサーで、マーサーはブライトバート・ニュースに1000万ドル(約10億9000万円)、トランプ陣営には1350万ドル(約14億7000万円)の資金提供を行った。

大統領選挙の投票を2ヶ月後に控えた2016年8月17日、バノンは大統領選挙の共和党候補であるトランプ陣営の選挙対策本部長に任命される。起用されたのは、バノンの分析力がトランプ、その娘イヴァンカ、娘婿ジャレッド・クシュナーらに信頼されたからとされる。大統領選挙では白人労働者をトランプ陣営に取り込む論拠をトランプ陣営に提供した。そして既成政治に絶望していた白人労働者層の有権者に焦点を当てた選挙キャンペーン・メッセージを積極的に発信した。

2018年3月17日、選挙コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ」のリサーチディレクターであったクリストファー・ワイリーが内部告発し、Facebook 5000万人超のユーザー情報が不正に外部に流出したことが判明。バノンは、自身が大株主となっているケンブリッジ・アナリティカを通してヒラリー陣営切り崩しのためのターゲティング広告を行っていたことが判明する。

大統領選挙で勝利したトランプは同年11月13日早々に大統領に上級顧問および新設ポストの首席戦略官にバノンを指名した。政権発足直後には「バノン大統領」「影(陰)の大統領」「ホワイトハウスの暗黒卿」「黒幕」「トランプ大統領の産みの親」などと呼ばれた。2017年1月28日、トランプ大統領はバノンを国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーに指名し、統合参謀本部議長と国家情報長官を常任メンバーから外す大統領令を出した。これに伴いバノンはNSCで閣僚級の高官と同席することになった。オバマ政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたスーザン・ライスは「イスラム国やシリア、アフガニスタン、北朝鮮に関する政策を決定する上で軍事的な助言(や機密情報)が必要なのは誰なのだ」として、今回の組織再編は「まったくいかれている(stone cold crazy)」と評した。 ウイキペディア



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