「心を強くする」の紹介

6冊目に紹介するのは「心を強くする」(サーシャ・バイン著 高見浩訳 飛鳥出版 2019年)です。サーシャ・バイン氏はプロテニスプレイヤーの大阪なおみ選手のコーチとして全米優勝を勝ち取ったコーチです。NHK放送の「奇跡のレッスン」でサーシャ・バイン氏が大阪の女子高校生をコーチする映像を見て、そのコーチ方法に感動してこの本を手にとりました。

心を強くする

1)サーシャ・バイン氏は選手との対話を通じて、選手の自覚を促しています。上から目線ではなく、戦う同志との心構えで接しています。

・挫折を乗り越えた者の武器は、「どんな困難に直面しても自分は乗り切れる」という自信だろう。人間には生存本能が備わっている。何か苦境にすれば、その本能がたちまち目覚めて、生き延びる方法を見出そうとする。(p18)
・メンタルも同じこと。あなたの脳は筋肉と変わらない。失敗や苦戦によって脳を鍛えると、一段と強くなる。強力なライバルがいて初めて進歩がある。(p38)
・今苦しめば、だからこそ将来は明るい、と自分に言い聞かせよう。この苦しみは単なるプロセスであって、最後の必ずいい結果がもたらされる。そう思って間違いない。(p39)
・苦しい体験は両手を上げて歓迎だ。逆境からでなければ学ぶこともできず。強くもなれない。失敗が怖ければ、騙されたと思って失敗してみるといい。そんなに悪いものじゃないとわかる。(p40)
・才能があっても猛練習しない者は、才能がなくても猛練習した者には後れをとる。(p56)
・大事なイベントに備えているとき、ルーティーンくらい効果的な調整法はない。ともすれば気後れしてしまうような、初めて体験する大事を前にしても、きちんと日頃の習慣、ルーティーンを守る。すると、いつもと変わらないリラックスした気分に包まれて、最良のプレイを引き出してくれる。(p62)
・プレッシャーをネガティブにとらえず、ポジティブにとらえよう。プレッシャーは自分の足を引っ張るものではなく、自分の背中を押してくれるもの、ととらえよう。(p75)
・10秒あったら、深呼吸。一つ深呼吸をして、肺を酸素でいっぱいにする。それが不安に対処する一番簡単で、手っ取り早い方法だ。(p98)

2)選手が発する言葉に注目し、その根底にある感情を対話でポジティブに変えていく。選手は顔を上げてフィールドへ向かっていく。

・気安く、「ごめん」と言っていると、「悪いのはみんな自分のせい」と思いがちに。あなたは万事に消極的になり、成功から遠ざかりかねない。場合によっては、「他の人が悪いんだ」と考えることも必要。(p135)
・疑問を持ち、質問できる人ほど強い。無知はメンタルの成長を阻む。すること、見るもの、すべての意味を問いただそう。自分のしていること、のみならず、自分を取り巻く世界、取り巻く人々についても、好奇の眼差しを向けよう。好奇心とは、あなたのメンタルが急速な成長をとげようとしている何よりの証しである。それは学びたいという情熱の代名詞であるのだから。(p144)

・信頼されたければ、まず先に信頼する。(p222)
・信頼とは努力して勝ち得るもの。プレイヤーとコーチの関係のみならず、ビジネス上の関係にあっても、信頼を勝ち得る一番手っ取り早い方法は、隠し事をせず真っ正直に交わることだ。(p222)
・結局のところ、人はおのれを信頼してくれる人を信頼する。(p223)
・もしポジティブなメンタルを手に入れたかったら、陽気で前向きな人たちと付き合うに限る。私自身の人生経験から言えるのだが、陰気で万事後ろ向きは人たちと付き合っていると、こちらまで消極的になってしまって、望ましくない方向に引きずられてしまう。(p233)

「感想」
「信頼されたければ、まず先に信頼する」との言葉があります。組織のメンバーと対話する時、相手を信頼しているかどうか。それには日頃の行動で、まずこちらが信頼をしなければ、相手からの信頼は得られない。信頼を得ていなければ、どんなに素晴らしい言葉も相手の心に届かない。

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