漆黒

目が慣れるまで数秒かかった。
ものの輪郭に触れ形を知覚しその複雑な構造に手こずる。ここまで私は不器用だったかと自己嫌悪。
難関ブラックホールである。
いやブラのホックに手こずる。
片手でパチンとなんかそんなテレビCMやってなかったけ、アレは嘘だな、結構初心者には熟練を要するではないかと思いつつ焦り、その焦りは彼女に伝染し吐息が荒い。
彼女の吐息は柑橘系ではなく彼女の匂いだった。
暗闇で胸をまさぐり彼女の吐息を感じながら今この瞬間をもて遊ぶのも悪くない。ジレッたさが心地よい。さあてどれどれ、なんて余裕は30年後の自分だ。
焦る焦る。
程なくして彼女が意を決して姿勢を正し、屹立する。上半身だけ。
手を後に回し自ずから手をかけ、着る手順のリバース所作。でもちょっとまった!私は慌ててその手を止めた。
脱がしたかったのだ。
克服したかったのだ。
この漆黒の中、ブラックホールをこくフックしなければ私のフューチャーに光はない。その思いが伝わったのか彼女は優しく手懐けるよう手ほどきをしてくれた。
こうするのよ、と2人で解き放ったブラホックにブラックホールは消え去った。
光が一点に差している。
釣鐘状のたわわな房のトップに星の輝き。
乳首をガン見していた。
とても美しく神々しい頂きだ。
なんびともその頂きに触れる事を拒んできた前人未到の頂き。それが今あらわになり眼前に露出している。
そんなに見ないで、と彼女は言うけれどそれは無理だった。
多くの時間を費やしここまで隠匿し美しく成長し君臨する秘めた象徴を私は幸運にも鑑賞閲覧する機会を得た事に感謝の念を覚え思わず拝みたくなる。この世のものとは思えない心地良い弾力を想像して接近する。
生まれ落ちて初めてものを掴む赤子のように房に触れ乳首を吸う。
この動作は深くDNAに刻まれた本能だ。
私は夢中で赤子のように出るはずもない母乳を求めて音を立てて吸った。
前戯なる予備知識は皆無で本能に従うしかない。乳房を両手で鷲掴みにし揉みしだき、寄せた両の乳首を同時に吸う。
上手くいかなくて舌を使う。
絡めて寄せる。転がす。
唇も動員する。渾然一体となって今その前人未到の頂きを犯す。
何度も何度も犯され、冒されたその頂きは屈服し、更なる跳躍を遂げ彼女の口からは、もはや吐息ではなく雄を舞妓する雄叫びとなっていた。
のけぞり悶え反ったそのトップオブトップ!
私は征服者だ。
彼女は私の支配下だ。
いよいよ次のステップだ。
ここに留まってばかりはいられない。
私は進まなければならないのだ
#創作大賞2024
#エッセイ部門



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