見出し画像

夕陽にスキンヘッド

私には瞬時にものを見抜く眼力が有る。そういうと猛禽類の如く対象物をビームでも出てるかってくらいの勢いで見ちゃってると思われるが違う。薄ら細い目でこれ見えてんの?ってくらいの鶴瓶師匠のような目で一瞥する。こないだ見た光景はそのほっそい入り口から脳裏へと突き抜け、焼き付いた。夕暮れどきに海坊主のようなスキンヘッド男が新装開店のカットサロン前に参列していたからだ。一見厳つい、上下白っぽいスーツであったか、なかなかの体躯&オシャレ。彼は入口で店内を覗き込み順番待ちでもしているのだろう、そう思えた。でも待て。スキンやぞ?ああ、ひょっとしてそのお店で働いてる娘さんを迎えにきたのかなとも思った。しかしよくよく見ると彼の表情には何やら楽しげなワクワクするような高揚が感じられた。案外可愛いらしい。コレはお客に違いない。しかし待て、スキンやぞ?2度目のリフレインがシナプス受容体にキャッチされた今新たな創造が始まる。彼はそのまま入店し、ドッカとキャプテンシートにすわりワープ!って叫ぶ。わけないよね。でもそのSFチックに縁取られた瀟洒なお店の綺麗なお姉さんの前でそう叫んで欲しいと願うくらいミスマッチしてた。彼は本当に無いものをカットすべく、禅問答の如くシザーズを西部劇のガンマンの様に構えたカウボーイハットはかぶってないカットボーイにそのスキンヘッドを差し出すのか?そうなれば挑戦状を突きつけられたボーイのアクションや如何に。

「好きにやってくれぃ」

そんな声が聞こえて来そうだった。ボーイは怯まず腰のイチモツに手を触れず助手にタオルと秘薬の入った小瓶を持ってこさせる。秘薬をビシャビシャとヘッドにふりかけ、アタタタタァー!の叫びと共にマッサージ&タオルでのブラッシング。デキル、ヤルな!スキンはそう思ったはず。育毛&艶出しとは。オレの鏡面頭皮仕上げに更に磨きをかけおって、生やしの希望を断つ気よのう。これもまた潔ヨキ、ってか。

そんな2人の情景が、夕暮れ時の車窓から切り取られました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?