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「強いつながり」にどっぷりとつかっている「既得権者」を壊し、動かす方法論

 前回の記事で、現代にも根強く残っている「強いつながり」について、「”強いつながり”を全否定するのではなく、強さを変えながら生かしていく」ことを提案した。

 とはいうものの、それを進めるのはなかなか容易なことではない。
 「強いつながり」の世界にどっぷりとつかってきた人にとって、そこは自分の権力の源泉であり、その世界が変容することは自分を自分たらしめる存在理由の否定につながる。
 いつまでたっても地域共同体のトップに居続ける長老や、パワハラ気質の上司を見ればおのずと理解いただけるであろう。

 この方々にとってみれば、その「強いつながり」=「組織」は、自分のアイデンティティそのものであり、大きなうまみのある既得権そのものである。それを自ら手放すはずがない。 
 彼らにとって「改革」「変化」は絶対避けたい。

 押しても引いても動かない目の前にそびえたつ岩石のような存在。
 それをどう崩し、動かしていけばいいのであろうか?
 その岩石が風化して自分から崩れていくまでの長い間待つのか?
 それとも何か崩し、動かしていく方法はないか?
 

 
 今のように重機もない時代。昔の人は知恵を絞った。
 大きな岩石を壊すときは、底がV字状のクサビである「矢」を使って、石を割った。直線状にノミで何か所も「矢穴」と呼ばれるクサビ状の穴を掘り、その穴に鉄製の矢を差し込み、上から叩いて、岩を壊していった。
 大きな岩石を動かすときは、岩石の下に「コロ」と呼ばれる丸太を何個もならべ、転がしながら動かした。
 ピラミッドや、バベルの塔のような古代遺跡、日本でも見られる城壁の石垣に使われる岩石はこうやって運ばれた。

 今、強いつながりにどっぷりとつかっている「既得権者」を、崩し、動かす時である。


 正面から「組織を柔軟にする」提案や、「異質者」の参画を訴えても動くはずはない。
 まずは「クサビ」を打つこと。
 相手に取り込まれては元も子もないが、相手の懐に飛び込んで「既得権者」に理解をしめしながら、本当に小さな改革案をしのびこませること。
 一つの「クサビ」では岩石はおそらく壊れない。
 自分ひとりでは何ともならなければ、多くの仲間を得ていくつもの「クサ ビ」を打ち込むこと。
 「クサビ」を打ち込んだら、少しづつ石を切り出していくこと。
 何か一つでもいい。ちょっとの「変革」、ちょっとの「改善」。
 そういう小さな積み重ねが、巨大な岩石を切り崩していく。

 そして岩石が動かせるくらいの大きさになったなら、コロで動かしてやって、「強いつながり」から退場願おう。
 そうなってはじめて、新たな組織として生まれ変わることができる。


 僕らの力は小さいかもしれない。
 巨大な「強いつながり」=「組織」であれば、それを変えるには尚更パワーがいる。
 だが、あなたには「知恵」がある。
 そして少しの勇気で世界は変わる。

 もし自分ひとりでやるのが難しいのであれば相談してほしい。
 それに応えるのがオレの仕事である。

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